病因
病態生理
呼吸性アルカローシスの発症様式には以下の種類がある:
区別は代謝性代償の程度に基づく。過剰なHCO3−は細胞外の水素イオン(H+)によって数分以内に緩衝されるが,より顕著な代償は2~3日かけて腎臓でのH+排泄が減少するにつれて生じる。
偽性呼吸性アルカローシス
偽性呼吸性アルカローシスは,機械的人工換気を受けており,全身灌流不良(例,心原性ショック,心肺蘇生中)による重度代謝性アシドーシスのある患者に起こり,動脈血Pco2低値およびpH高値となる。偽性呼吸性アルカローシスは,機械的人工換気(しばしば過換気)によって正常より多くの肺胞二酸化炭素(CO2)が除去されるときに生じる。多量の肺胞CO2の呼出は動脈血の(したがって動脈血ガスの測定値上にも)呼吸性アルカローシスをもたらすが,全身灌流不良および細胞虚血は細胞性アシドーシスを引き起こし,静脈血のアシドーシスを来す。診断は,Pco2およびpHが動脈血と静脈血で著明に異なることを証明し,また動脈血ガスで呼吸性アルカローシスを示す患者において乳酸濃度の上昇を確認することによる;治療は全身血液動態の改善である。
症状と徴候
診断
呼吸性アルカローシスおよび適正な腎性代償の確認( 酸塩基平衡障害 : 診断)には,動脈血ガスおよび血清電解質の測定が必要である。細胞内への移動による軽度の低リン血症および低カリウム血症ならびにタンパク結合増加によるカルシウム(Ca2+)の減少を認めることがある。
低酸素症がある場合,または肺胞気-動脈血(A-a)O2分圧較差(吸気Po2−[動脈血Po2+ 5/4 動脈血Pco2])の上昇がみられる場合は,原因の検索が必要である。その他の原因はしばしば病歴や診察から明らかになる。しかし,肺塞栓症はしばしば低酸素症を伴わずに生じるため,過換気患者では原因が不安にあると断定する前に塞栓症を十分に考慮しなければならない。