Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

読み込んでいます

抜毛症(トリコチロマニア)

(抜毛症)

執筆者:

Katharine A. Phillips

, MD, Weill Cornell Medical College;


Dan J. Stein

, MD, PhD, University of Cape Town

最終査読/改訂年月 2014年 3月
ここをクリックすると家庭版へ移動します
本ページのリソース

抜毛症は,自身の毛髪を抜くことを繰り返し,それにより毛髪が喪失することにより特徴づけられる。

抜毛症の患者は,美容以外の理由で毛髪を繰り返し引っ張ったり,引き抜いたりする。最も多いのは頭皮,眉,および/または眼瞼からの抜毛であるが,あらゆる部位の体毛が対象となりうる。抜毛の部位は時間の経過とともに変化することがある。

この行動を若干自動的に(すなわち,十分に意識することなく)行う患者もいれば,この行動をより意識している患者もいる。抜毛は強迫観念または外見に関する悩みに誘発されるものではないが,緊張感または不安感が先行して,それが抜毛により軽減することがあり,しばしばその後に満足感を覚える。

典型的には,抜毛は思春期の直前または直後に始まる。本疾患の時点有病率は約1~2%である。患者の約90%は女性である。

症状と徴候

通常,抜毛は慢性に経過し,症状は一進一退を繰り返す。

脱毛のパターンは患者により異なる。一部分の毛髪が完全に喪失する患者もいれば,睫毛および/または眉毛のみが喪失する患者,毛が薄くなるだけの患者もいる。

抜毛に様々な行動(儀式)を伴う場合もある。患者は引き抜く対象とする特定の種類の毛髪を入念に探すことがあり,また毛を必ず特定の方法で引き抜こうとすることもある。患者は毛を抜いた後に,指に挟んで転がしたり,毛の房を歯に挟んで引っ張ったり,毛を噛んだりすることがある。多くの患者が毛を飲み込む。

患者は自分の外見に当惑したり,恥ずかしく感じることがある。多くは脱毛部位を覆う(例,かつらやスカーフを着用する)ことで脱毛を隠そうとする。脱毛を隠すために,広範にわたる部位から毛を引き抜く患者もいる。患者は他者から脱毛を見られる可能性のある状況を避けることがある;典型的には,家族以外の他者の前で毛を引き抜くことはない。

他者またはペットの毛を引き抜いたり,線維性の物体(例,衣服,毛布)の線維を引き抜いたりする患者もいる。大半の患者には,皮膚をむしる,爪を噛むなど,他の身体集中反復行動も認められる。

診断

  • 臨床基準

典型的には,診断基準は以下の通りである:

  • 毛を引き抜く行為が認められる

  • 毛を引き抜くのをやめようと繰り返し試みている

  • 本行動により著しい苦痛または障害を経験している

苦痛には当惑感または恥辱感(例,自分の行動をコントロールできないことに対して,脱毛による美容上の結果に対して)を含めてもよい。

治療

  • SSRIまたはクロミプラミン

  • 認知行動療法

併存するうつ病または不安症群にSSRIまたはクロミプラミン(強力なセロトニン作動性の効果を有する三環系抗うつ薬)が有用となる場合がある。抜毛については,デシプラミン(ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する三環系抗うつ薬)よりもクロミプラミンの方が効果的なようである。一方,SSRIの成績は期待外れのものであった。N-アセチルシステイン(グルタミン酸受容体部分作動薬)が効果的であることを示唆するエビデンスもある。低用量のドパミン受容体遮断薬が効果的であるとした限定的なエビデンスもあるが,リスク-ベネフィット比を注意深く評価する必要がある。

抜毛症の具体的な症状に合わせて個別化した認知行動療法が,現時点で第1選択の精神療法である。例えば,主に行動療法である習慣逆転法を用いることができるが,これは症状への気づき訓練(例,セルフモニタリング,行動の誘因の同定),刺激統制(抜毛を開始する可能性を低下させるために状況を変更すること—例,誘因の回避),および競合反応訓練(抜毛の代替に他の行動を用いる)から成る。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP