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依存性パーソナリティ障害(DPD)

執筆者:

Lois Choi-Kain

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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依存性パーソナリティ障害は,面倒をみてもらいたいという広範かつ過度の欲求を特徴とし,それにより従属的でしがみつく行動がみられる。診断は臨床基準による。治療は精神療法,場合により抗うつ薬による。

依存性パーソナリティ障害患者では,面倒をみてもらいたいという要求のために,自律性および関心を失う。自分の面倒をみることに強い不安を抱いているため,過度に依存的,服従的になる。

米国の一般集団の1%未満が依存性パーソナリティ障害を有していると推定されている。女性の方が多く診断されるが,いくつかの研究では男性と女性で有病率は同程度であった。

併存症がよくみられる。患者は抑うつ障害 抑うつ障害群 抑うつ障害群は,機能を妨げるほど重度または持続的な悲しみ,および興味または喜びが減退することにより特徴づけられる。正確な原因は不明であるが,おそらくは遺伝,神経伝達物質の変化,神経内分泌機能の変化,および心理社会的因子が関与する。診断は病歴に基づく。通常,治療は薬物療法,精神療法,またはその両方,および電気痙攣療法から成る。 うつ病という用語は,しばしばいくつかの抑うつ障害群のいずれかを指して用いられる。一部はDiagnostic... さらに読む (うつ病または気分変調症),不安症 不安症の概要 恐怖や不安は誰もが日常的に経験するものである。恐怖とは,直ちに認識可能な外部からの脅威(例,侵入者,凍結した路面でスピンする車)に対する情動的,身体的,および行動的な反応である。不安とは,神経過敏や心配事による苦痛で不快な感情状態であり,その原因はあまり明確ではない。脅威が生じる厳密な時期と不安との間に強い結びつきはなく,不安は脅威の前に... さらに読む アルコール使用障害 アルコール中毒および離脱 アルコール(エタノール)は中枢抑制薬である。短時間で大量に飲酒すると,呼吸抑制と昏睡を来たし,死に至ることがある。長期にわたる大量の飲酒は,肝臓や他の多くの臓器を損傷する。アルコール離脱症状は振戦から,重度の離脱(振戦せん妄)でみられる痙攣発作,幻覚,および生命を脅かす自律神経不安定状態に至るまで,連続的な病態として現れる。診断は臨床的に行う。 (アルコール使用障害とリハビリテーションも参照のこと。)... さらに読む ,または他のパーソナリティ障害(例,境界性 境界性パーソナリティ障害(BPD) 境界性パーソナリティ障害は,対人関係の不安定性および過敏性,自己像の不安定性,極度の気分変動,ならびに衝動性の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神療法および薬剤による。 (パーソナリティ障害の概要も参照のこと。) 境界性パーソナリティ障害患者は孤独に対する耐え難さを有する;見捨てられることを避けるために死に物狂いの努力を払い,他者が救助または面倒をみてくれるよう仕向ける形で自殺のそぶりをみせるなどの危機を生み出す... さらに読む 演技性 演技性パーソナリティ障害(HPD) 演技性パーソナリティ障害は,過度の情動性および注意を惹きたいという欲求の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神力動的精神療法による。 (パーソナリティ障害の概要も参照のこと。) 演技性パーソナリティ障害患者は自分の身体的外見を利用し,他者の注意を得るために不適切に誘惑的または挑発的な形で行動する。患者は自主独往の感覚を欠いており,非常に被暗示性が高く,しばしば他者の注意を維持するために服従的に行動する。... さらに読む )も有していることが多い。

病因

依存性パーソナリティ障害の原因に関する情報は限定的である。文化的因子,幼児期の否定的な体験,および不安と関連する生物学的脆弱性が依存性パーソナリティ障害の発症に寄与していると考えられている。服従性,自信のなさ,控えめな行動などの家族特性も寄与している可能性がある。

症状と徴候

依存性パーソナリティ障害患者は自分で自分の面倒をみることができると考えていない。患者は服従することで他者に自分の面倒をみてもらおうとする。

この障害の患者は典型的に,通常の判断を下す際に大量の安心および助言を必要とする。患者はしばしば他者,しばしば1人の人間に,自分の生活の多くの側面について責任を負ってもらう。例えば,患者は配偶者に依存し,何を着て,どのような種類の仕事を探し,誰と付き合うべきかを教えてもらう。

このような患者は自分が劣っていると考え,自分の能力を卑下する;患者はあらゆる批判や否認を自分の無能力の証拠と受け取り,さらに自信を失う。

患者は,支持や承認を失うことを恐れるため,他者との意見の相違を表明することが困難である。他者の支援を失うリスクを冒すくらいなら間違っていることがわかっていることに同意する場合もある。怒りが適切な場合でも,患者は支援を失うことを恐れて友人や同僚に怒りを向けない。

このような患者は自分が1人では何もできないと確信しているため,新しい課題を始めたり,独立して働いたりすることに困難があり,責任を負う必要のある課題を避ける。患者は,常に支援と安心を必要とする無能力な存在として振る舞う。能力のある人物が患者を監督したり,承認したりして安心した場合,患者は適切に機能することが多い。しかしながら,患者は見捨てられることを恐れてあまりに能力があるようにみられることを望まない。その結果,患者の経歴が損なわれることがある。患者は自立した生活を営む技能を学ばない傾向があるため,依存性を永続させる。

このような患者は世話と支援を得るために多大な労力を払う(例,不快な課題をこなす,不当な要望の言いなりになる,身体的,性的,または情緒的虐待に耐える)。患者は自分で自分の面倒をみることができないと恐れるため,1人でいることに極度の不快感を感じたり,恐れたりする。

依存性パーソナリティ障害の患者は,依存対象のごく少人数の人としか社会的に交流しない傾向がある。親密な関係が終わると,患者はすぐに代わりとなる人を見つけようとする。患者には面倒をみてもらうのに必死であるため,代わりとなる人を選ぶにあたり,見境がない。

患者は,理由がない場合でも,依存している相手に見捨てられることを恐れている。

診断

  • 診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])

依存性パーソナリティ障害の診断を下すには,患者に以下が認められる必要がある:

  • 服従および依存に至る,面倒をみてもらいたいという持続的で過剰な要求

この持続的な要求は,以下のうちの5つ以上が認められることによって示される:

  • 他者からの法外な量の助言および安心なしに日常的判断を下すことが困難である

  • 生活のほとんどの重要な側面について他者に責任を負ってもらう必要がある

  • 支援や承認を失うことを恐れるあまり,他者との意見の不一致を表明することが困難である

  • 自分の判断および/または能力に自信がないあまり(意欲や気力がないためではなく),1人で計画を始めることが困難である

  • 他者からの支援を得るために多大な労力(例,不快な課題をこなす)を払う意思がある

  • 自分の面倒を見ることができないことを恐れるあまり,1人でいるときに不快感または無力感を感じる

  • 親密な関係が終わったときに,世話と支援を提供してくれる人と新たな関係を築く差し迫った必要が生じる

  • 1人にされて自分の面倒をみることになる恐れに対して非現実的な心配をする

また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

鑑別診断

拒絶に対する過敏性を特徴とするパーソナリティ障害は他にもいくつかある。しかしながら,それらは,以下のように,特有な特徴に基づいて依存性パーソナリティ障害と鑑別することが可能である:

依存性パーソナリティ障害を他の精神障害(例,気分障害 気分障害の概要 気分障害は,長期間にわたる過度の悲しみ,過度の喜び,またはその両方から成る情動の障害である。気分障害は小児や青年にも発生することがある(小児および青年における抑うつ障害を参照)。 気分障害は以下のように分類される: 抑うつ障害群 双極性障害 不安症および関連症群は,気分障害には分類されないが,気分に影響を及ぼす。 さらに読む パニック症 パニック発作およびパニック症 パニック発作は,身体症状および/または認知面での症状を伴う強い不快感,不安,または恐怖が,突然に,個別に,短時間発現する現象である。パニック症は,パニック発作が繰り返し発生し,典型的にはそれに付随して,将来の発作に対する恐怖,または発作を起こしやすいと考えられる状況を回避しようとする行動の変化が生じる。診断は臨床的に行う。個々のパニック発作は治療を要さないこともある。パニック症は薬物療法,精神療法(例,曝露療法,認知行動療法),またはそ... さらに読む 広場恐怖症 広場恐怖症 広場恐怖症とは,強い不安が生じた場合に容易に逃げる方法がなく,助けも得られない可能性がある状況または場所にいることに対して恐怖や不安を抱く状態である。 (不安症の概要も参照のこと。) それらの状況は回避されるか,または耐えるためには強い不安を伴う。広場恐怖症患者の約30~50%はパニック症も併発している。 パニック症を伴わない広場恐怖症は,12カ月間で約2%の女性および1%の男性が罹患している。発症年齢のピークは20代前半であり,40歳... さらに読む )でみられる依存性と鑑別する必要がある。

治療

  • 認知行動療法

  • 精神力動的精神療法

  • 場合により抗うつ薬

自立への怖れと自己主張の困難を検討することに焦点を置く精神力動的精神療法および認知行動療法が,依存性パーソナリティ障害患者の治療に役立つ可能性がある。医師は治療関係の中で依存性を助長しないように注意する必要がある。

依存性パーソナリティ障害に対する薬物療法に関する知見は乏しい。回避性パーソナリティ障害に有効なモノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)が有効な場合があり,SSRIも同様である。

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