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依存性パーソナリティ障害(DPD)

執筆者:

Lois Choi-Kain

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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依存性パーソナリティ障害は,世話をしてもらいという広汎で過度の要求を特徴とし,服従的でまとわりつく行動を生じる。診断は臨床基準による。治療は精神療法,場合により抗うつ薬による。

パーソナリティ障害の概要も参照のこと。)

依存性パーソナリティ障害患者では,世話をしてもらいたいという要求のために,自律性および関心を失う。自分の面倒をみることに強い不安を抱いているため,過度に依存的,服従的になる。

一般人口の約0.7%が依存性パーソナリティ障害を有していると推定されており,女性に多い。

併存症がよくみられる。患者は抑うつ障害(うつ病または気分変調症),不安症アルコール使用障害,または他のパーソナリティ障害(例,境界性演技性)も有していることが多い。

病因

依存性パーソナリティ障害の原因に関する情報は限定的である。文化的因子,幼児期の否定的な体験,および不安と関連する生物学的脆弱性が依存性パーソナリティ障害の発症に寄与していると考えられている。服従性,自信のなさ,控えめな行動などの家族特性も寄与している可能性がある。

症状と徴候

依存性パーソナリティ障害患者は自分で自分の面倒をみることができると考えていない。患者は服従することで他者に自分の世話をしてもらおうとする。

この障害の患者は典型的に,通常の判断を下す際に大量の安心および助言を必要とする。患者はしばしば他者,しばしば1人の人間に,自分の生活の多くの側面について責任を負ってもらう。例えば,患者は配偶者に依存し,何を着て,どのような種類の仕事を探し,誰と付き合うべきかを教えてもらう。

このような患者は自分が劣っていると考え,自分の能力を卑下する;患者はあらゆる批判や否認を自分の無能力の証拠と受け取り,さらに自信を失う。

患者は,支持や承認を失うことを恐れるため,他者との意見の相違を表明することが困難である。他者の支援を失うリスクを冒すくらいなら間違っていることがわかっていることに同意する場合もある。怒りが適切な場合でも,患者は支援を失うことを恐れて友人や同僚に怒りを向けない。

このような患者は自分が1人では何もできないと確信しているため,新しい課題を始めたり,独立して働いたりすることに困難があり,責任を負う必要のある課題を避ける。患者は,常に支援と安心を必要とする無能力な存在として振る舞う。能力のある人物が患者を監督したり,承認したりして安心した場合,患者は適切に機能することが多い。しかしながら,患者は見捨てられることを恐れてあまりに能力があるようにみられることを望まない。その結果,患者の経歴が損なわれることがある。患者は自立した生活を営む技能を学ばない傾向があるため,依存性を永続させる。

このような患者は世話と支援を得るために多大な労力を払う(例,不快な課題をこなす,不当な要望の言いなりになる,身体的,性的,または情緒的虐待に耐える)。患者は自分で自分の面倒をみることができないと恐れるため,1人でいることに極度の不快感を感じたり,恐れたりする。

この障害の患者は依存対象のごく少人数の人としか社会的に交流しない傾向がある。親密な関係が終わると,患者はすぐに代わりとなる人を見つけようとする。患者には世話をしてもらうのに必死であるため,代わりとなる人を選ぶにあたり,見境がない。

患者は,理由がない場合でも,依存している相手に見捨てられることを恐れている。

診断

  • 診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])

依存性パーソナリティ障害の診断を下すには,以下の5つ以上により示される,服従および依存に至る,世話をしてもらいたいという持続的で過剰な要求が認められる必要がある:

  • 他者からの法外な量の助言および安心なしに日常的判断を下すことが困難である

  • 生活のほとんどの重要な側面について他者に責任を負ってもらう必要がある

  • 支援や承認を失うことを恐れるあまり,他者との意見の不一致を表明することが困難である

  • 自分の判断および/または能力に自信がないあまり(意欲や気力がないためではなく),1人で計画を始めることが困難である

  • 他者からの支援を得るために多大な労力(例,不快な課題をこなす)を払う意思がある

  • 自分の面倒を見ることができないことを恐れるあまり,1人でいるときに不快感または無力感を感じる

  • 親密な関係が終わったときに,世話と支援を提供してくれる人と新たな関係を築く差し迫った必要が生じる

  • 1人にされて自分の面倒をみることになる恐れに対して非現実的な心配をする

また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

鑑別診断

拒絶に対する過敏性を特徴とするパーソナリティ障害は他にもいくつかある。しかしながら,それらは,以下のように,特有な特徴に基づいて依存性パーソナリティ障害と鑑別することが可能である:

  • 境界性パーソナリティ障害この障害の患者は,依存性パーソナリティ障害患者と同程度の支配に従うことは怖くてできない。境界性パーソナリティ障害患者は,依存性パーソナリティ障害患者とは異なり,服従と怒り狂った敵意との間を揺れ動く。

  • 回避性パーソナリティ障害この障害の患者も,依存性パーソナリティ障害患者と同程度の支配に従うことは怖くてできない。回避性パーソナリティ障害患者は自分が批判されることなく受け入れられる確信がもてるまで引きこもるのに対し,依存性パーソナリティ障害患者は他者との関係を求め,維持しようとする。

  • 演技性パーソナリティ障害この障害の患者は,安心(依存性パーソナリティ障害患者のように)ではなく,注意を惹こうとするが,抑制度は低い。この障害の患者はより華やかで,活発に注意を惹こうとするが,依存性パーソナリティ障害患者は控えめで内気である。

依存性パーソナリティ障害を他の精神障害(例,気分障害,パニック症,広場恐怖症)でみられる依存性と鑑別する必要がある。

治療

  • 認知行動療法

  • 精神力動的精神療法

  • 場合により抗うつ薬

依存性パーソナリティ障害の一般的治療は全てのパーソナリティ障害に対するものと同様である。

自立への怖れおよび自己主張の困難を検討することに焦点を当てた精神力動的精神療法および認知行動療法が依存性パーソナリティ障害患者に有用となることがある。医師は治療関係の中で依存性を助長しないように注意する必要がある。

依存性パーソナリティ障害に対する薬物療法に関する知見は乏しい。回避性パーソナリティ障害に有効なモノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)が有効な場合があり,SSRIも同様である。

依存性パーソナリティ障害患者は薬物依存症のリスクが高いためにベンゾジアゼピン系薬剤は使用されない。

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