原発性脳リンパ腫の発生率は,特に易感染性患者および高齢者において増加している。リンパ腫は,しばしば脳室に隣接した多中心性腫瘤として,びまん性に脳に浸潤する傾向があるが,孤立性の脳内腫瘤として発生することもある。リンパ腫は髄膜,ぶどう膜,または硝子体液に発生することもある。大半はB細胞腫瘍であり,しばしば免疫芽球性である。エプスタイン-バーウイルスは,易感染性患者におけるリンパ腫の発生に寄与することがある。大半の患者で全身性リンパ腫の続発はみられない。
診断
治療
大半の原発性脳リンパ腫は,脳にびまん性に浸潤するため,治癒は困難である。通常,初期にはコルチコステロイドにより急速な改善が得られる。多くの化学療法,特にメトトレキサートを含むレジメン(高用量を点滴静注)が効果的であり,メトトレキサートを使用した場合の生存期間中央値は4年に達することもある。メトトレキサートは髄腔内投与することも可能であり,通常は皮下に埋め込んだ脳室内投与装置(Ommaya reservoir)を介して投与する。また,ときに全身麻酔を導入して,25%マンニトールの静注により血液脳関門を開いた後に,メトトレキサートを頸動脈に点滴することもある。
化学療法に続いて放射線療法を行うことがあり,通常は12~16週間後に行うが,腫瘍が再発するまで放射線療法を延期することもある。延期は放射線毒性を軽減するのに役立つ。