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痙性斜頸

(攣縮性斜頸)

執筆者:

Hector A. Gonzalez-Usigli

, MD, HE UMAE Centro Médico Nacional de Occidente

最終査読/改訂年月 2018年 12月
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痙性斜頸は,頸筋の不随意の強直性収縮または間欠的な攣縮を特徴とする。原因は通常不明である。診断は臨床的に行う。治療には,理学療法,薬剤,手術またはボツリヌス毒素の局所注射による頸筋の選択的な脱神経などがある。

攣縮性(成人期発症)斜頸は,痙性斜頸の最も頻度が高い型である。通常は特発性である。少数の患者には家族歴があり,その中には遺伝因子が同定されている場合もある(例,ジストニア-6[DYT6],ジストニア-7[DYT7],またはジストニア-25[DYT25;GNAL遺伝子と関連がある]をもつ患者)。これらの患者の一部には,その他のジストニア(例,眼瞼,顔面,下顎,手)がみられる。

痙性斜頸には以下の種類がある:

  • 先天性

  • 脳幹や基底核の病変またはドパミン遮断薬(例,ハロペリドール)の使用など他の病態に続発するもの

まれに,ジストニアに心因性の原因が存在することがある。この病型のジストニアは,病態生理が十分に解明されていないが,脳機能の変化が機能的神経画像検査によって検知されている。多くの症例で,精神的ストレス因子または異常な中核的信念が誘因として同定されている。そのような症例では,神経科医,精神科医,および心理士を含めた多職種チームでの対応が必要である。

症状と徴候

痙性斜頸の症状はあらゆる年齢で起きうるが,発症年齢は通常20~60歳であり,ピークは30~50歳である。

通常,症状は徐々に出現するが,まれに急性に発症し,急速に進行することがある。ときに,頸部を回す(左右に振る)振戦から症状が始まることがある。

痙性斜頸の主症状は以下の通りである:

  • 胸鎖乳突筋,僧帽筋,その他の頸部の筋に生じる,有痛性の強直性収縮または間欠性攣縮であり,通常は片側性に生じ,頭位の異常を引き起こす

片側性の胸鎖乳突筋の収縮は,頭部の対側への回転(回旋)を引き起こす。その回転はあらゆる面を含みうるが,ほぼ常に水平成分を有する。回旋性の傾斜(斜頸)の他に,頭部は外側(側屈),前方(前屈),後方(後屈,ドパミン遮断薬が原因の場合によくみられる)に傾斜しうる。

ジストニア肢位または振戦を軽減させる感覚または触覚刺激(例,偏位している側と対側の顔面に触れる)を患者が発見することがある。睡眠中,筋攣縮は消失する。

攣縮性斜頸は,軽度から重度の範囲がある。通常,疾患は1~5年間にわたって徐々に進行し,その後横ばい状態になる。約10~20%は,発症後5年以内に自然に回復する(通常は若年発症した軽症例で)。しかしながら,生涯持続することもあり,動作の制限や姿勢の変形をもたらす結果となることもある。

診断

  • 臨床的評価

痙性斜頸の診断は,特徴的な症状と徴候を確認し,以下のような他の診断を除外することに基づく:

  • 遅発性ジスキネジアは斜頸を引き起こすことがあるが,通常は慢性の抗精神病薬の使用歴や頸部の外側の筋肉の不随意運動によって鑑別できる。

  • 基底核疾患やときに中枢神経系感染症は運動障害疾患を引き起こすことがあるが,通常は他の筋肉も侵す;中枢神経系感染症は通常急性であり,他の症状を引き起こす。

  • 頸部の感染症または腫瘍は,通常は一次的な病態の特徴によって鑑別される。

  • 抗精神病薬やその他の薬剤は,急性斜頸を引き起こしうるが,症状は通常,数時間のうちに発生し,薬剤中止後数日以内に解消する。

治療

  • 理学療法

  • ときにボツリヌス毒素または経口薬

ときに攣縮は,感覚バイオフィードバック法(例,頭部回旋と同側下顎への軽い触圧)や軽い接触などの理学療法とマッサージによって一時的に抑制される。

薬物

頸部の失調筋肉内へのA型またはB型ボツリヌス毒素の注射は,約70%の患者において1~4カ月の間,有痛性の筋攣縮を軽減し,頭部をより中立位置に改善できる。しかしながら,少数の症例では,毒素が繰り返し注入されると毒素に対する中和抗体が生じ,効果が低くなる。

経口薬で通常は疼痛を軽減できるが,ジストニア運動を抑制できるのは全患者の約25~33%にすぎない。このような薬剤としては以下のものがある:

  • 抗コリン薬(トリヘキシフェニジル10~25mg,経口,1日1回または1日2回など)(ただし,有害作用によって使用が制限されることがある)

  • ベンゾジアゼピン系薬剤(特にクロナゼパム0.5mg,経口,1日2回)

  • バクロフェン

  • カルバマゼピン

全ての薬剤は,低用量で開始すべきである(例,トリヘキシフェニジル2mg,経口,1日3回)。用量は,症状がコントロールされるか,耐えられない有害作用(特に高齢者で起こる可能性が高い)が発現するまで,増量すべきである。

手術

手術については議論がある。最も効果的な外科的アプローチは,侵された頸筋に向かう神経を選択的に切断することであり,それらの頸筋の筋力を永続的に弱めるか,または麻痺させる。この手術が経験豊富な施設で施行された場合の成績は良好である。

遺伝性の全身性ジストニアが重症であるか,薬剤に抵抗性を示す場合には,脳深部刺激療法が次の治療選択肢となる。この処置はジストニアを引き起こしている大脳基底核領域を標的とする。

要点

  • 攣縮性斜頸は成人期発症の一般的な痙性斜頸であり,通常は特発性である。

  • 診断は臨床的に行い,遅発性ジスキネジア,基底核疾患,中枢神経系感染症,頸部の感染症および腫瘍,ならびに薬剤性を除外する必要がある。

  • 治療法としては,理学療法,ボツリヌス毒素注入,および/または経口薬が最も頻用される。

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