Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

レビー小体型認知症およびパーキンソン病認知症

執筆者:

Juebin Huang

, MD, PhD, Department of Neurology, University of Mississippi Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 3月

レビー小体型認知症は,皮質ニューロン細胞質内のレビー小体と呼ばれる細胞封入体を特徴とする,慢性の認知機能低下である。パーキンソン病認知症(Parkinson disease dementia)は,黒質のレビー小体を特徴として認知機能が低下する病態であり,パーキンソン病の後期に発生する。

認知症とは,慢性的かつ全般的で,通常は不可逆的な認知機能の低下である。

レビー小体型認知症は3番目に頻度の高い認知症である。発症年齢は典型的には60歳以上である。

レビー小体は,球状で好酸性の神経細胞質内封入体で,シナプスタンパク質の一種であるαシヌクレインの凝集物で構成される。原発性レビー小体型認知症患者の一部では皮質内に認められる。神経伝達物質の濃度と線条体から新皮質までのニューロンの経路に異常がみられる。

レビー小体はレビー小体型認知症とパーキンソン病認知症で生じるため,この2つの疾患は中枢神経系および末梢神経系を侵す,より全般的なシヌクレイノパチーの一部であると考える専門家もいる。レビー小体はときにアルツハイマー病 アルツハイマー病 アルツハイマー病は進行性の認知機能低下を引き起こし,大脳皮質および皮質下灰白質におけるβアミロイド沈着および神経原線維変化を特徴とする。 (せん妄および認知症の概要と認知症も参照のこと。) 神経認知障害の1つであるアルツハイマー病は,認知症の最も一般的な原因であり,高齢者の認知症の60~80%を占める。米国では,65歳以上の人々の10%がアルツハイマー病を有すると推定されている。アルツハイマー病の有病率は加齢とともに上昇する:... さらに読む の患者に発生し,また逆にレビー小体型認知症の患者に老人斑(neuritic plaque)と神経原線維変化がみられることもある。レビー小体型認知症,パーキンソン病,およびアルツハイマー病はかなり重なりがある。これらの関係の解明にはさらなる研究が必要である。

レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症の両方が,予後の悪い進行性の経過をたどる。

  • 認知症は主に記憶に影響を及ぼし,典型的には脳の解剖学的変化によって生じ,発症がより緩徐で,一般に不可逆的である。

  • せん妄は主に注意力に影響を及ぼし,典型的には急性疾患または薬物中毒(ときに生命を脅かす)によって引き起こされ,可逆的であることが多い。

症状と徴候

レビー小体型認知症

錐体外路症状(典型的には筋強剛,動作緩慢,歩行不安定など)が起こる(運動障害疾患および小脳疾患の概要 運動障害疾患および小脳疾患の概要 随意運動には,皮質脊髄路(錐体路),基底核,および小脳(協調運動の中核)の複雑な相互作用が必要であり,それにより円滑かつ無関係な筋収縮のない,意図された運動を確実に行うことが可能となる。 錐体路は延髄の錐体を経て,大脳皮質と下位の運動中枢である脳幹および脊髄とを結ぶ。 基底核(尾状核,被殻,淡蒼球,視床下核,および黒質)は錐体外路系を形成... さらに読む も参照のこと。)しかしながら,レビー小体型認知症では(パーキンソン病とは異なり),通常認知機能の症状と錐体外路症状は互いにいずれかの発生後1年以内に始まる。また,錐体外路症状はパーキンソン病のものと異なり,レビー小体型認知症では,早期に振戦はみられないが,歩行不安定を伴う体軸筋の強剛が早期からみられ,機能障害が対称性となる傾向がある。繰り返す転倒がよくみられる。

認知機能の変動は,レビー小体型認知症に比較的具体的な特徴である。機敏で発話内容に一貫性があって見当識が保たれている時期と,混乱して問いかけに反応しない時期が交互に現れ,通常は数日から数週間単位で交替するが,ときに面接中に交替がみられることもある。

記憶が損なわれるが,その記憶障害は,記憶の獲得の障害よりも機敏性や注意の障害に起因するようである;したがって,短期的な想起は数唱記憶課題(7桁の数字を順唱,5桁の数字を逆唱する能力)ほど影響を受けない。

長時間,空間を凝視することがある。日中の過度の眠気がよくみられる。

視空間認知および視覚構成能力(積木課題,時計描画課題,図形模写課題で検査される)は,他の認知障害よりも大きく障害される。

幻視はよくみられるが,パーキンソン病でみられる良性の幻視とは異なり,しばしば脅迫的である。幻聴,幻嗅,および幻触の頻度はより低い。妄想は50~65%の患者でみられるが,アルツハイマー病でよくみられる単純な被害妄想と比べると,しばしば複雑かつ奇妙である。

自律神経機能障害はよくみられ,説明のつかない失神が起こることがある。自律神経機能障害は認知障害の発症と同時か,その後に起こる。抗精神病薬に対する過敏反応が典型的にみられる。

パーキンソン病認知症

パーキンソン病認知症(Parkinson disease dementia)では(レビー小体型認知症とは異なり),認知症に至る認知障害が典型的には運動症状の出現から10~15年後に始まる。

パーキンソン病認知症では,注意,記憶,視空間認知,構成,遂行機能など,複数の領域の認知機能が障害される。遂行機能障害は,パーキンソン病認知症ではアルツハイマー病の場合より早期からみられるのが典型的であり,頻度もより高い。

精神症状(例,幻覚,妄想)は,レビー小体型認知症に比べて頻度はより低く,かつ/または,重症度も低いと考えられる。

パーキンソン病認知症では,認知症を伴わないパーキンソン病に比べて,姿勢不安定および歩行異常がより多く,運動機能の低下はより早く,転倒はより頻繁である。

診断

  • 臨床基準

  • 脳画像検査による他の疾患の除外

診断は臨床的に行うが,感度および特異度は低い。

  • 認知症状または行動(神経心理学的)症状が仕事や日常的な活動を行う能力を妨げている。

  • それらの症状が以前の機能レベルからの低下を反映している。

  • それらの症状をせん妄または主な精神障害によって説明することができない。

レビー小体型認知症の診断では,次の3つの特徴のうち2つが存在する場合は可能性が高いとみなし,1つのみ存在する場合は可能性ありとみなす:

  • 認知機能の変動

  • 幻視

  • パーキンソニズム

診断を裏付ける所見は,繰り返す転倒,失神,レム睡眠行動障害,および抗精神病薬に対する過敏性である。

レビー小体型認知症とパーキンソン病認知症は症状が重複することから,診断が複雑になることがある:

  • 運動障害(例,振戦,動作緩慢,筋強剛)が先行し,認知障害よりも重度である場合は,通常はパーキンソン病認知症と診断される。

  • 早期の認知障害(特に遂行機能障害)および行動障害が優位である場合は,通常はレビー小体型認知症と診断される。

  • 薬剤(特に抗コリン薬,向精神薬,およびオピオイド)

  • 脱水

  • 感染症

CTおよびMRIでは特徴的な変化はみられないが,初期には認知症の他の原因を除外するのに役立つ。フッ素18(18F)標識デオキシグルコース(フルオロデオキシグルコース,FDG)を用いたPET,およびフルオロアルキル基をもつコカインアナログである123I-FP-CIT(N-3-フルオロプロピル-2β-カルボメトキシ-3β-[4-ヨードフェニル]-トロパン)を用いたSPECT(単一光子放出型CT)は,レビー小体型認知症の確定診断に役立つが,ルーチンには行われない。

確定診断には脳組織の剖検標本が必要である。

治療

  • 支持療法

治療は一般に支持療法 治療 認知症とは,慢性的かつ全般的で,通常は不可逆的な認知機能の低下である。診断は臨床的に行い,治療可能な原因の同定には通常,臨床検査および画像検査を利用する。治療は支持療法による。コリンエステラーゼ阻害薬はときに認知機能を一時的に改善する。 (せん妄および認知症の概要も参照のこと。) 認知症はいかなる年齢にも起こりうるが,主として高齢者を侵す。介護施設入居者の半数以上にみられる。... さらに読む による。例えば,居住環境は明るく,にぎやかで,親しみ慣れたものとし,見当識を強化できるような配慮を施す(例,大きな時計やカレンダーを部屋に置く)べきである。患者の安全を確保する対策(例,徘徊する患者に対して遠隔モニタリングシステムを使用する)を講じるべきである。

厄介な症状は治療することがある。

薬物

コリンエステラーゼ阻害薬であるリバスチグミンはレビー小体型認知症およびパーキンソン病認知症の治療に使用できる。開始量は1.5mg,経口,1日2回とし,認知機能の改善を試みるため,必要に応じて6mg,1日2回まで漸増できる。また他のコリンエステラーゼ阻害薬も使用できる。

セロトニン5-HT2A受容体の非ドパミン作動性の選択的逆作動薬であるピマバンセリン(pimavanserin)は,パーキンソン病患者の精神病症状(幻覚,妄想)の治療に使用できる。

レビー小体型認知症では,従来の抗精神病薬は非常に低用量であっても錐体外路症状を急激に悪化させる傾向があるため,使用を避けるのが最善である。

要点

  • レビー小体はレビー小体型認知症とパーキンソン病で生じるため,この2つの疾患は中枢神経系および末梢神経系を侵す,同じシヌクレイノパチーの一部であると考えている専門家もいる。

  • 認知症がパーキンソン病の特徴の出現とほとんど同時に発症し,認知機能の変動,注意の欠如,精神症状(例,幻視;複雑で奇怪な妄想),および自律神経機能不全を伴う場合,レビー小体型認知症を疑う。

  • 認知症がパーキンソン病の特徴の出現から数年後に発症した場合,特に遂行機能障害が早期に発生した場合は,パーキンソン病認知症(Parkinson disease dementia)を疑う。

  • 認知機能の改善を試みるため,リバスチグミンおよびときに他のコリンエステラーゼ阻害薬の使用を考慮する。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS

おすすめコンテンツ

医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP