(好酸球性肺疾患の概要も参照のこと。)
慢性好酸球性肺炎とは対照的に,AEPは通常再発しない急性疾患である。発生率および有病率は不明である。AEPはあらゆる年齢で発生しうるが,しばしば20~40歳の患者に生じ,男女比は2:1である。AEPの原因は不明であるが,その他の点では健常な人における未確認の吸入抗原に対する急性過敏反応である可能性がある。タバコまたは他の煙への曝露も関係することがある。
症状と徴候
診断
呼吸不全へと進行する急性肺炎症状があり,抗菌薬に反応しない患者で,本症を疑う。診断は,ルーチン検査の所見に基づいて行い,気管支鏡検査で確定する。AEPは除外診断により診断し,好酸球性肺炎を引き起こす既知の原因(例,薬剤および毒素誘発性,蠕虫および真菌感染関連,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症[チャーグ-ストラウス症候群],特発性好酸球増多症候群,腫瘍)がないことが必要である。慢性好酸球性肺炎と異なり,血算では著明な好酸球の増加がみられないことが多い。赤沈値およびIgE値は高いが,非特異的である。
胸部X線は初期には微妙な網状影またはすりガラス陰影のみを示し,しばしばKerley B lineを伴うことがある。孤立性の肺胞陰影(症例の約25%)または網状陰影(症例の約25%)も,認められることがある。慢性好酸球性肺炎と異なり,AEPの陰影は末梢肺野に位置するという特徴はない。患者の3分の2で少量の胸水が生じ,しばしば両側性である。
HRCTでは常に異常所見があり,両側のランダムな斑状のすりガラス陰影または網状陰影を伴う。
胸水検査は,pH高値を伴う著明な好酸球増多を示す。肺機能検査は,しばしばDLcoの低下を伴う拘束性パターンを示す。
洗浄およびときに生検のために,気管支鏡検査を施行すべきである。気管支肺胞洗浄液では,しばしば好酸球の数および割合の上昇(> 25%)がみられる。生検で最もよくみられる病理組織学的特徴には,急性の器質化期のびまん性肺胞傷害を伴う好酸球浸潤があるが,肺生検を受けた症例はほとんどない。