Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

気管支鏡検査

執筆者:

Noah Lechtzin

, MD, MHS, Johns Hopkins University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2016年 10月
本ページのリソース

気管支鏡検査は,気道内に内視鏡を挿入する検査である。軟性の気管支ファイバースコープが,実質的に全ての診断適応および大部分の治療適応において,硬性気管支鏡に代わって使用されている。

硬性気管支鏡は,より優れた視認性および操作性を得るためにより大きな口径および太い吸引チャネルが必要とされる以下のような状況でのみ現在は使用されている:

  • 肺の活動性出血の探索(この場合,硬性気管支鏡を用いた方が出血源を同定しやすく,また吸引チャネルがより太いため,血液を吸引し窒息を防ぐことにも優れている)

  • 幼児が誤嚥した異物の視認および除去

  • 閉塞性の気管支内病変の観察(レーザー切除またはステント留置の可能性を考慮した観察)

軟性気管支鏡のほぼ全てがカラービデオに対応しており,気道の観察と所見の記録に役立つ。

診断上,気管支ファイバースコープにより以下が可能になる:

  • 気管支の亜区域を含む範囲まで気道を直接可視化

  • 気管支洗浄,ブラシ擦過,ならびに末梢気道および肺胞の洗浄による,気管支肺胞の分泌液および細胞の検体採取

  • 気管支内,肺実質,および縦隔構造物の生検

治療的使用法として,貯留分泌物の吸引,気管支内ステント留置,異物の除去,およびバルーンによる気道狭窄の解除などがある。

icon

気管支ファイバースコープの適応

手技

適応

診断

胸部画像所見の異常:次の患者における肺炎*の病因診断―易感染性患者;再発するまたは軽快しない疾患がある免疫能が正常な患者;気管傍/縦隔/肺門部腫瘤,肺実質腫瘤または結節が特に近位の肺領域にある患者

無気肺(持続性)*

咳嗽(持続性,原因不明)*

びまん性肺疾患(経気管支肺生検)

肺移植を受けた患者における拒否反応の評価

熱傷患者における気道評価

胸部外傷患者における気管破裂の評価

無歯の患者における肺膿瘍(気管支内病変を疑う)

胸部X線所見正常の患者における喀痰細胞診陽性*

気管食道瘻が疑われる場合

原因不明の嗄声または声帯麻痺

笛音(局所性/固定性)

治療

貯留分泌物の吸引*, †

気管支肺洗浄(肺胞タンパク症)

腫瘍のレーザー切除

気管支胸膜瘻の管理

光線力学療法

気道ステント留置

困難な状況(頸部損傷,解剖学的異常)における気管内チューブ留置

異物除去

*気管支ファイバースコープは,より侵襲性の低い検査および治療が不成功に終わった場合のみ適応となる。

気管支ファイバースコープは,胸部理学療法,気管支拡張薬の噴霧療法,および鼻腔気管内吸引の代替ではない;低酸素血症(人工換気下の患者)かつ/または分泌物の貯留による大葉性の無気肺のうち,従来の治療に抵抗性の症例にのみ用いるべきである。

硬性気管支鏡は軟性の気管支鏡に比べ操作性に優れるため,有用である場合がある。

禁忌

絶対的禁忌は以下の通りである:

  • 治療不可能な生命を脅かす不整脈

  • 手技を行う間,患者を十分酸素化できない場合

  • 高炭酸ガス血症を伴う急性呼吸不全(患者が挿管および換気されている場合を除く)

  • 高度の気管閉塞

相対的禁忌は以下の通りである:

  • 患者が非協力的な場合

  • 最近の心筋梗塞の既往

  • 補正できない凝固障害

経気管支生検を行う際は,尿毒症,上大静脈閉塞,または肺高血圧症の患者では,出血リスクが高いため慎重に行うべきである。しかしながら,気道の視診はこれらの患者で安全に行える。

手技

気管支鏡検査は,呼吸器科医または訓練された外科医がモニタリング下,典型的には気管支鏡室,手術室,またはICU(人工換気下にある患者)でのみ行うべきである。

患者は気管支鏡検査の少なくとも6時間前から絶食し,静脈路確保,間欠的な血圧測定,パルスオキシメトリーによる持続的測定,および心臓のモニタリングを実施すべきである。酸素投与を行うべきである。前投薬は,分泌物および迷走神経の緊張を抑えるため,アトロピン0.01mg/kgの筋注または静注が一般的であるが,最近の研究はこの処置に疑問を投じている。

患者には通常,手技の前に不安,不快感,および咳嗽を抑えるため,短時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤,オピオイド,またはその両方により意識下鎮静を行う。気管支鏡の前に全身麻酔(例,プロポフォールによる深い鎮静および気管挿管またはラリンジアルマスクの使用による気道確保)を行う施設もある。

咽頭および声帯は,噴霧状またはエアロゾル化リドカイン(1%または2%,70kgの患者では最大250~300mgまで)によって麻酔を行う。気管支鏡は潤滑剤をつけ,鼻孔から挿入するか,経口エアウェイもしくはバイトブロックを用いて口から,または気管内チューブなどの人工エアウェイから挿入する。上咽頭および喉頭の視診後,患者の吸気中に気管支鏡を声帯を通して気管へ,そしてさらに遠位に向かって気管支へと進める。

いくつかの補助的手技を必要に応じて,ときにX線透視下に行うことができる:

  • 気管支洗浄:気管支鏡を介して生理食塩水を注入し,その後気道から吸引する。

  • 気管支擦過:ブラシを気管支鏡内に通して進め,それを用いて疑いがある病変を擦過し細胞を得る。

  • 気管支肺胞洗浄:滅菌生理食塩水50~200mLを遠位の気管支肺胞系に注入し,続いて吸引することによって,肺胞に局在する細胞,タンパク,および微生物を回収する。洗浄により局所領域に生じた肺水腫が,一過性の低酸素血症を引き起こすことがある。

  • 経気管支生検:鉗子を気管支鏡および気道内に通して進め,1カ所または複数カ所で肺実質の検体を採取する。経気管支生検は,X線によるガイドなしでも行えるが,X線透視下に行うと診断率が向上し,気胸の発生率が下がることを支持するエビデンスがある。

  • 経気管支穿刺吸引:回収可能な針を気管支鏡に通して挿入し,これを腫大した縦隔リンパ節または腫瘤の検体採取に使用する。超音波気管支鏡(EBUS)ガイド下に針生検を実施できる。

手技の後は,患者に酸素投与を行い,2~4時間観察を行うのが一般的である。咽頭反射の回復と酸素投与なしで酸素飽和度を維持できることの2つが,主な回復の指標である。

標準的処置として,経気管支肺生検後は,気胸になっていないことを確認するため胸部X線後前像を撮影する。

合併症

重篤な合併症はまれである;生検部位からの少量の出血および発熱が患者の10~15%で生じる。前投薬によって,呼吸抑制,低血圧,および不整脈を伴う過鎮静が起こることがある。まれに,表面麻酔によって,喉頭痙攣,気管支攣縮,痙攣発作,治療抵抗性のチアノーゼを伴うメトヘモグロビン血症,または不整脈もしくは心停止が生じる。

気管支鏡自体による合併症としては以下のものがある:

  • 喉頭の軽度の浮腫または嗄声を伴う損傷

  • ガス交換能が低下している患者における低酸素血症

  • 不整脈(心房期外収縮,心室期外収縮,または徐脈がほとんど)

  • 器具の滅菌が不十分であることによる感染の伝播(非常にまれ)

死亡率は1~4/10,000人である。高齢者および重篤な併存症(重症COPD,冠動脈疾患,低酸素血症を伴う肺炎,進行癌,精神機能障害)のある患者は,最もリスクが高い。

経気管支生検は気胸(2~5%),重大な出血(1~1.5%),または死亡(0.1%)を引き起こすことがあるが,この手技を行うことでしばしば開胸手術の必要性を回避できる。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP