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無気肺

執筆者:

Başak Çoruh

, MD,

  • Assistant Professor, Division of Pulmonary, Critical Care, and Sleep Medicine
  • University of Washington
;


Brian Pomerantz

, MD, Madigan Army Medical Center;


Alexander S. Niven

, MD,

  • Adjunct Professor of Medicine
  • Uniformed Services University of the Health Sciences
  • Senior Associate Consultant
  • Division of Pulmonary and Critical Care Medicine, Mayo Clinic

最終査読/改訂年月 2013年 7月
本ページのリソース

無気肺は,肺組織の容量減少を伴う虚脱である。無気肺が広範囲に及ぶと,呼吸困難または呼吸不全を起こすことがある。肺炎を発症することもある。無気肺を起こす原因の中には胸膜性胸痛を伴うものもある。診断は胸部X線による。治療として,咳嗽および深呼吸の維持,ならびに原因そのものの治療がある。

以下によって,肺胞のような開放気腔が自然に虚脱しようとする力に対抗している:

  • サーファクタント(肺胞の表面張力を維持する)

  • 持続呼吸(肺胞の開放を維持する)

  • 断続的な深呼吸(サーファクタントを肺胞内に放出させる)

  • 定期的な咳嗽(気道から分泌物を除去する)

  • 無気肺の主な転帰には,人工換気下(低酸素症および換気/血流[V/Q]不均衡を伴う)および肺炎などがある。

病因

無気肺を来しうる最も頻度の高い因子は以下の通りである:

  • 内因性の気道閉塞(例,異物,腫瘍,粘液栓子による)

  • 外部からの気道圧迫(例,腫瘍,リンパ節腫脹による)

  • 呼吸または咳嗽の抑制(例,全身麻酔,過鎮静,重度の胸膜痛による)

  • 仰臥位(特に肥満患者において)

  • 肺実質の圧迫または虚脱(例,大量の胸水または気胸による)

胸部および腹部手術は,全身麻酔,オピオイドの使用(続発性の呼吸抑制を起こす可能性がある),およびしばしば呼吸時の疼痛を伴うため,無気肺の原因として非常に頻度が高い。気管内チューブの位置異常により,主気管支の閉塞による無気肺を起こすことがある。

より頻度の低い原因として,サーファクタント機能不全および肺実質の瘢痕または腫瘍などがある。

症状と徴候

低酸素血症や肺炎が発生しない限り,無気肺そのものは無症候性である。低酸素血症の症状は無気肺の急性度および重症度に関連する傾向がある。急性で広範囲にわたる無気肺では,呼吸困難または呼吸不全も発生することがある。緩徐に発生するより範囲の狭い無気肺では,症状は軽度か,または無症状であることがある。

肺炎により,咳嗽,呼吸困難,および胸膜痛が引き起こされることがある。胸膜痛は無気肺が生じた原因(例,胸部外傷または外科手術)によって生じることもある。

しばしば徴候を欠く。無気肺が広範囲にわたる場合,無気肺の領域における呼吸音減弱および打診時の濁音ならびに胸部の可動域減少がみられる。

診断

  • 胸部X線

原因不明の呼吸器症状を有する患者および危険因子(特に最近の大手術)をもつ患者では,無気肺が疑われるべきである。臨床的意義のある無気肺(例,症状がある,合併症のリスクを高める,または肺機能に実質的な影響を与える場合)は,一般に胸部X線で描出され,所見としては,肺野の透過性低下や肺容量の減少などがありうる。無気肺の原因が臨床的に明らかではない場合(例,原因が最近の手術でもなく,胸部X線で認められる肺炎でもない場合),または別の疾患が疑われる場合(例,肺塞栓,腫瘍)は,気管支鏡検査または胸部CTなど他の検査が必要となりうる。

治療

  • 咳嗽と深呼吸の回数を最大限に増やす

  • 腫瘍または異物による閉塞が疑われる場合,気管支鏡検査を施行する

無気肺に対する治療の多くは,効果に関するエビデンスが弱いか存在しない。それでもなお,一般的に推奨されている治療法として,換気の維持および分泌物の除去を補助する胸部理学療法,ならびに咳嗽介助やハフィング,深呼吸エクササイズ,およびインセンティブスパイロメトリーの使用など肺拡張のための手技の奨励などがある。挿管されておらず過剰分泌物のない患者では,持続陽圧呼吸療法が有用となりうる。挿管されている患者に関しては,呼気終末陽圧かつ/または1回換気量を高めに設定した人工換気が有用となりうる。

過鎮静を回避することは,換気ならびに十分な深呼吸および咳嗽の確保に役立つ。しかし,重度の胸膜痛は深呼吸および咳嗽を妨げることがあり,オピオイドのみが緩和できる。そのため多くの医師が,疼痛緩和に十分量のオピオイド鎮痛薬を処方し,患者に意識的な咳嗽および定期的な深呼吸を行うよう助言している。特定の術後患者では,呼吸抑制を起こさずに疼痛緩和を行うため,硬膜外麻酔または肋間神経ブロックを用いることがある。鎮咳薬の投与は避けるべきである。

最も重要なのは,無気肺の原因(例,粘液栓子,異物,腫瘍,腫瘤,胸水)を治療することである。粘液栓子が解消されない場合,ドルナーゼ アルファの噴霧およびときに気管支拡張薬が試行される。気管支収縮を起こしうるため,通常N-アセチルシステインは避けられる。他の方法が無効である場合,または粘液栓子以外の閉塞の原因が疑われる場合は,気管支鏡検査を施行すべきである。

予防

喫煙者は,禁煙により術後無気肺のリスクを低減できる可能性があり,手術6~8週前からの禁煙が理想的である。慢性肺疾患(例,COPD)の患者に対しては,外科手術の前に薬物治療の最適化が図られるべきである。胸部または上腹部手術が予定されている患者では,手術前の呼吸筋訓練(インセンティブスパイロメトリーを含む)が考慮されるべきである。術後は早期離床,および肺拡張のための手技(例,咳嗽,深呼吸エクササイズ,インセンティブスパイロメトリー)によってもまた,無気肺のリスクが低減しうる。

要点

  • 無気肺は肺容量の低下を伴う肺組織の可逆的虚脱であり,頻度の高い原因には,内部または外部からの気道圧迫,低換気,および気管内チューブの位置異常などがある。

  • 広範囲に及ぶ無気肺は症状を伴う低酸素血症を引き起こしうるが,その他の症状は原因である病態または肺炎の併発によるものである。

  • 診断は胸部X線によって行い,原因が臨床的に明らかではない場合,気管支鏡検査または胸部CTが必要となりうる。

  • 治療は,咳嗽と深呼吸の回数を最大限に増やすことである。

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