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喘息に対する薬物治療

執筆者:

Victor E. Ortega

, MD, PhD, Center for Genomics and Personalized Medicine Research, Wake Forest School of Medicine;


Frank Genese

, DO, Wake Forest School of Medicine

最終査読/改訂年月 2019年 7月
本ページのリソース

喘息および喘息増悪の治療に一般的に用いられる主要な薬剤の種類は以下の通りである:

  • 気管支拡張薬(β2作動薬,抗コリン薬)

  • コルチコステロイド

  • ロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier)

  • 肥満細胞安定化薬

  • メチルキサンチン類

  • 免疫調節薬

これらの薬剤(慢性喘息に対する薬物治療の表を参照)は吸入,経口,皮下注射または静脈内注射で投与される;吸入薬には霧状および粉末状のものがある。霧状の吸入薬使用時にスペーサーまたはチャンバーを用いることで,薬剤が咽頭よりも気道に沈着しやすくなる;細菌汚染を防ぐために,スペーサーは使用毎に洗って乾かすよう患者に指示する。また,霧状の吸入薬では,吸入器の作動(薬剤の供給)と患者の吸入が同調して行われる必要がある;粉末状の吸入薬では,患者が思い切り吸入した時のみ薬剤が供給されるため同調の必要性が減少する。

喘息および喘息の急性増悪に対する治療も参照のこと。)

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喘息に対する薬物治療*

薬物

投与形態

用量

備考

小児

成人

短時間作用型β作動薬

サルブタモール

HFA:90μg/パフ

成人と同様

4~6時間毎に必要に応じて2パフ,および運動の15~30分前に2パフ

サルブタモールは主にレスキュー薬として使用される。

維持療法には推奨されない。

常用は,喘息コントロールが失われつつあり,薬剤の追加が必要であることを示す。

MDI-DPIは,患者がスペーサーおよびチャンバーを用いてうまく吸入操作ができれば,ネブライザー療法と同等の効果がある。

噴霧用のサルブタモールは他のネブライザー溶液と混合できる。

DPI:90μg/パフ

≥ 4歳:成人と同様

< 4歳:使用されない

4~6時間毎に必要に応じて2パフ,および運動の15~30分前に2パフ

ネブライザー溶液:5mg/mLならびに0.63,1.25,および2.5mg/3mL

< 5歳:生理食塩水3mLに0.63~2.5mg,4~6時間毎に必要に応じて投与

≥ 5歳:生理食塩水3mLに0.05mg/kg,4~6時間毎に必要に応じて投与(最小1.25mg,最大2.5mg)

生理食塩水3mLに1.25~5mg,4~6時間毎に必要に応じて投与

レバルブテロール(levalbuterol

HFA:45μg/パフ

< 5歳:未確立

≥ 5歳:成人と同様

4~6時間毎に必要に応じて2パフ

レバルブテロール(levalbuterol)はサルブタモールのR-異性体である。0.63mgがラセミ体サルブタモール1.25mgに相当する。

レバルブテロール(levalbuterol)は有害作用がより少ない可能性がある。

ネブライザー溶液:0.31,0.63,および1.25mg/3mLならびに1.25mg/0.5mL

< 5歳:生理食塩水3mLに0.31~1.25mg,4~6時間毎に必要に応じて投与

5~11歳:0.31~0.63mg,8時間毎に必要に応じて投与(最大で0.63mgを8時間毎)

12歳:成人と同様

0.63~1.25mg,6~8時間毎に必要に応じて投与

長時間作用型β2作動薬(単独治療としては用いられない)

アルフォルモテロール(arformoterol

ネブライザー溶液:15μg/2mL

未確立

15~25μg,12時間毎

アルフォルモテロール(arformoterol)はホルモテロールのR-異性体である。

ホルモテロール

ネブライザー溶液:20μg/2mL

未確立

20μg,12時間毎

DPIの剤形は現在では利用できない。

サルメテロール

HFA:21μg/パフ

12歳:成人と同様

12時間毎に2パフ;運動前に服用する際は,少なくとも運動の30~60分前に服用

作用持続時間は12時間である。

毎晩1回の服用は夜間喘息に役立つ。

サルメテロールは増悪時の急性症状緩和に使用すべきではない。

DPI:50μg/パフ

< 4歳:未確立

4歳:成人と同様

12時間毎および運動の30分前に1パフ

超長時間作用型β2作動薬(単独治療としては用いられない)

インダカテロール

DPI:75μg/パフ

未確立

1パフを1日1回

オロダテロール

SMI:2.5μg/パフ

未確立

2パフを1日1回

ビランテロール

DPI:25μg/パフ

未確立

1パフを1日1回

ビランテロールは,フルチカゾン100μgまたは200μgとの合剤としてのみ利用できる。

抗コリン薬

イプラトロピウム

HFA:17μg/パフ

< 12歳:未確立

12歳:成人と同様

6時間毎に必要に応じて2パフ(最大12パフ/日)

イプラトロピウムはサルブタモールと同じネブライザーに混合する場合がある。

第1選択薬として用いるべきではない。

常用は長期的な維持療法を行う上で明らかな便益はないが,急性症状の治療に追加すべきである。

ネブライザー溶液:500μg(0.02%,2mL)

< 12歳:未確立

≥ 12歳:成人と同様

500μg,6~8時間毎に必要に応じて投与

チオトロピウム

SMI:1.25μg/パフ

< 6歳:未確立

≥ 6歳:成人と同様

2パフを1日1回(最大2パフ/日)

チオトロピウムはイプラトロピウムより作用時間が長い。

SMIによる低用量での使用は,喘息に唯一推奨される用量である。

DPI:18μg/カプセル

未確立

18μg(1カプセル)1日1回

コルチコステロイド(吸入)

ベクロメタゾン

HFA:40~80μg/パフ

< 5歳:未確立

5~11歳:12時間毎に1パフ(通常最大で80μgを1日2回まで)

12歳:成人と同様

12時間毎に1~2パフ(通常最大で320μgを1日2回まで)

1~2パフから喘息コントロールに必要な量まで,重症度によって用量を調節する。

長期的に使用すれば,どの薬剤も全身に影響がでる可能性がある。

最大閾値は,その値を超えると,視床下部-下垂体-副腎系の抑制が生じるレベルである。

喘息コントロールに,より高用量が必要である場合は,専門医へのコンサルテーションが推奨される。

ブデソニド

DPI:90または180μg/パフ

< 6歳:推奨されない

6歳:初回投与量は180μgを1日2回(最大で360μgを1日2回)

初回投与量は360μgを1日2回(最大で720μgを1日2回)

ネブライザー溶液:0.25,0.5,または1.0mg(いずれも2mL溶液に対して)

1~8歳のみ:それまでに気管支拡張薬のみを使用していた場合,初回投与量は0.5mgを1日1回,または0.25mgを1日2回(最大0.5mg/日)

それまでに吸入コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は0.5mgを1日1回,または0.25mgを1日2回

それまでに経口コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は0.5mgを1日2回,または1mgを1日1回(最大1mg/日)

成人には適応なし

シクレソニド

HFA:80または160μg/パフ

≤ 5歳:160μg,毎日

6~11歳:低用量 = 80μg,1日1回,中用量 = 80~160μg,1日1回,高用量 = > 160μg,1日1回

≥ 12歳:成人と同様

それまでに気管支拡張薬のみを使用していた場合,初回投与量は80μgを1日2回(最大で320μgを1日2回)

それまでに吸入コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は80μgを1日2回(最大で640μgを1日2回)

それまでに経口コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は320μgを1日2回(最大で640μgを1日2回)

フルニソリド

HFA:80μg/パフ

< 5歳:未確立

5~11歳:1パフを1日2回(最大で2パフを1日2回[320μg/日])

12歳:成人と同様

2パフを1日2回(最大で4パフを1日2回[640μg/日])

プロピオン酸フルチカゾン

HFA:44,110,または220μg/パフ

4~11歳:88μg,1日2回

12歳:成人と同様

それまでに気管支拡張薬のみを使用していた場合,初回投与量は88μgを1日2回(最大で440μgを1日2回)

それまでに吸入コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は88~220μgを1日2回(最大で440μgを1日2回)

それまでに経口コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は440~880μgを1日2回(最大で880μgを1日2回)

DPI:50,100,または250μg/パフ

0~4歳:未確立

5~11歳:初回投与量は50μgを1日2回(最大で100μgを1日2回)

12歳:成人と同様

それまでに気管支拡張薬のみを使用していた場合,初回投与量は100μgを1日2回(最大で500μgを1日2回)

それまでに吸入コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は100~250μgを1日2回(最大で500μgを1日2回)

それまでに経口コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は500~1000μgを1日2回(最大で1000μgを1日2回)

フランカルボン酸フルチカゾン

DPI:50,100,または200μg/パフ

0~4歳:未確立

5~11歳:1パフ(50μg)を1日1回

≥ 12歳:成人と同様

それまでに気管支拡張薬のみを使用していた場合,初回投与量は100μgを1日1回(最大で200μg/日)

それまでに吸入コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は100~200μgを1日1回(最大で200μg/日)

モメタゾン

DPI: 110または220μg/パフ

< 4歳:未確立

4~11歳:110μgを1日1回夕方

12歳:成人と同様

それまでの使用薬剤が気管支拡張薬のみ,または吸入コルチコステロイドである場合,初回投与量は220μgを1日1回夕方(最大で220μgを1日2回または440μgを1日1回夕方)

それまでに経口コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は440μgを1日2回(最大で880μgを1日2回)

HFA:100または200μg/パフ

< 12歳:未確立

12歳:成人と同様

それまでに気管支拡張薬のみを使用していた場合,初回投与量は220μg(吸入量は200μg)を1日1回 または2回(最大で440μg/日)

それまでに吸入コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は110~220(吸入量は100または200μg)μgを1日2回(最大で800μg/日)

それまでに経口コルチコステロイドを使用していた場合,初回投与量は440μg(吸入量は400μg)を1日2回(最大で800μg/日)

コルチコステロイドの全身投与(経口)

メチルプレドニゾロン

錠剤:2,4,8,16,または32mg

0~11歳:短期間の集中投与(burst):1~2mg/kgを1日1回(最大60mg),3~10日間

12歳:成人と同様

7.5~60mgを1日1回朝,または2日に1回朝

短期間の集中投与(burst):40~60mgを1日1回(または20~30mgを1日2回),3~10日間

維持量は,コントロールの必要に応じて,毎朝または隔日の朝に単回で投与すべきである。

午後3時に投与すると,副腎抑制を増大させずに臨床的有効性を増大させられることを示すエビデンスがある。

短期間の集中投与(burst)は,治療開始時または徐々に悪化している時期のコントロール確立に効果的である。

集中投与はPEFが自己最良値の80%に達するまで,または症状が消失するまで続けるべきであり,おそらく3~10日以上の投与が必要である。

プレドニゾロン

錠剤:5mg

溶液:5mg/5mLまたは15mg/5mL

プレドニゾン

錠剤:1,2.5,5,10,20,または50mg

溶液:5mg/mLまたは5mg/5mL

配合薬

イプラトロピウムおよびサルブタモール

SMI:イプラトロピウムを20μg/パフおよびサルブタモールを100μg/パフ

未確立

1パフを1日4回(最大6パフ/日)

イプラトロピウムはサルブタモールの気管支拡張効果を延長する。

ネブライザー溶液:バイアル1本(3mL)にイプラトロピウム0.5mgおよびサルブタモール2.5mg

外来でのレスキューとして,バイアル3mL噴霧を1日4回(24時間に最大6回まで)

フルチカゾンおよびサルメテロール

DPI:フルチカゾンを100,250,または500μgおよびサルメテロールを50μg

< 4歳:未確立

4~11歳:1パフ(100/50)を1日2回

12歳:成人と同様

1パフを1日2回

低~中用量の吸入コルチコステロイドでコントロールできない喘息には250/50の用量が適応となる。

中~高用量の吸入コルチコステロイドでコントロールできない喘息には500/50の用量が適応となる。

HFA:フルチカゾンを45,115,または230μgおよびサルメテロールを21μg

< 12歳:未確立

12歳:成人と同様

2パフを1日2回

ブデソニドおよびホルモテロール

HFA:ブデソニドを80または160μgおよびホルモテロールを4.5μg

< 12歳:未確立

12歳:成人と同様

2パフを1日2回(最大で160/4.5μgの2パフを1日2回)

低~中用量の吸入コルチコステロイドでコントロールできない喘息には80/4.5の用量が適応となる。

中~高用量の吸入コルチコステロイドでコントロールできない喘息には160/4.5の用量が適応となる。

モメタゾンおよびホルモテロール

HFA:モメタゾンを100または200μgおよびホルモテロールを5μg

< 5歳:未確立

≥ 5歳:成人と同様

2パフを1日2回

低~中用量の吸入コルチコステロイドでコントロールできない喘息には100/5の用量が適応となる。

高用量の吸入コルチコステロイドでコントロールできない喘息には200/5の用量が適応となる。

フルチカゾンおよびビランテロール

DPI:フルチカゾンを100または200μgおよびビランテロールを25μg

未確立

1パフを1日1回

推奨される開始量は喘息の重症度に基づく。

肥満細胞安定化薬

クロモグリク酸(cromolyn

ネブライザー溶液:20mg/アンプル

< 2歳:未確立

2歳:成人と同様

1アンプルを1日3回または4回

クロモグリク酸(cromolyn)は運動前またはアレルゲンへの曝露前に使用すべきである。

1回の服用で1~2時間の予防効果がある。

ロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier)

モンテルカスト

錠剤,チュアブル錠,および顆粒:4,5,または10mg

12カ月~5歳:4mgを経口で1日1回夕方

6~14歳:5mgを経口で1日1回夕方

15歳:成人と同様

10mgを経口で1日1回夕方

運動誘発喘息:運動の2時間前に10mgを経口投与

モンテルカストはロイコトリエン受容体拮抗薬であり,ロイコトリエンD4およびE4を競合的に阻害する。

ザフィルルカスト

錠剤:10または20mg

< 5歳:未確立

5~11歳:10mgを経口で1日2回

12歳:成人と同様

20mgを経口で夕方

ザフィルルカストはロイコトリエン受容体拮抗薬であり,ロイコトリエンD4およびE4を競合的に阻害する。

食事の1時間前または2時間後に服用すべきである。

ジロートン(zileuton

錠剤,即放性:600mg

< 12歳:未確立

12歳:成人と同様

600mgを経口で1日4回

ジロートン(zileuton)は5-リポキシゲナーゼを阻害する。

投与はアドヒアランスを制限する可能性がある。

ジロートン(zileuton)は肝酵素の上昇を引き起こし,CYP3A4による薬物の代謝(テオフィリンを含む)を阻害することがある。

徐放性:1200mg

< 12歳:未確立

≥ 12歳:成人と同様

1200mgを経口で1日2回,朝食後および夕食後1時間以内

メチルキサンチン類

テオフィリン

カプセル,徐放性:100,200,300,および400mg

エリキシル:80mg/15mL

錠剤,徐放性:100,200,400,450,または600mg

初回投与量は10mg/kg/日から600mg/日まで,その後,血清中濃度が定常状態で5~15μg/mLに達するまで用量を調節

初回投与量は10mg/kg/日から600mg/日まで,その後,血清中濃度が定常状態で5~15μg/mLに達するまで用量を調節

代謝クリアランス,薬物相互作用,有害作用の可能性は様々であるため,血中濃度モニタリングをルーチンに行う必要がある。

より安全な代替薬が利用可能となり,この薬剤の使用は減少している。

目標濃度を < 10 μg/mLとすると安全性が高まりうる。

免疫調節薬

ベンラリズマブ

皮下注射:30 mg/mL

< 12歳:未確立

≥ 12歳:成人と同様

30mgを皮下注射で4週毎に3回,その後8週毎

ベンラリズマブは好酸球性表現型の患者で追加治療として使用される。

デュピルマブ

皮下注射:300mg/2mLまたは200mg/1.14mL

< 12歳:未確立

≥ 12歳:成人と同様

400mgを皮下注射で1回とその後200mgを2週間毎,または600mgを皮下注射で1回とその後300mgを2週間毎

初回は二回の注射で投与すること。

デュピルマブは好酸球性表現型の患者で追加治療として使用される。

メポリズマブ

皮下注射:100mg

< 12歳:未確立

≥ 12歳:成人と同様

100mgを皮下注射で4週毎

オマリズマブ

皮下注射:150mg/1.2mL

< 12歳:75~375mgの皮下注射を2~4週毎,体重および治療前の血清IgE値に基づき調節

≥ 12歳:成人と同様

150~375mgの皮下注射を2~4週毎,体重および治療前の血清IgE値に基づき調節

注射部位毎の最大投与量は150mgである。

レスリズマブ(reslizumab

静脈内投与:100mg/10mL

未確立

静注で3mg/kg,4週毎

*特に明記しない限り全年齢を表す。

DPI = ドライパウダー吸入器;HFA = ハイドロフルオロアルカン; MDI = 定量噴霧式吸入器;SMI = ソフトミスト吸入器;PEF = 最大呼気流量。

Adapted from the National Heart, Lung, and Blood Institute: Expert Panel Report 3, Guidelines for the diagnosis and management of asthma―full report 2007.August 28, 2007. Available at www.nhlbi.nih.gov/guidelines/asthma/asthgdln.pdf.

β2作動薬

β2作動薬は気管支平滑筋を弛緩させ,肥満細胞の脱顆粒およびヒスタミン放出を減少させ,気道への微小血管からの漏出を抑制し,粘膜線毛クリアランスを高める。β2作動薬の製剤には,短時間作用型,長時間作用型,または超長時間作用型がある(慢性喘息に対する薬物治療および喘息増悪に対する薬物治療の表を参照)。

短時間作用型β2作動薬(例,サルブタモール)は急性の気管支収縮の緩和および運動誘発喘息予防のために選択すべき薬剤であり,必要に応じて4時間毎に2パフ投与する。これは慢性の喘息の長期管理に単独で用いるべきではない。数分以内に効果が現れ,持続時間は薬剤によって6~8時間である。頻脈および振戦は,吸入β2作動薬の最も一般的な急性の有害作用であり,その発生は用量に関連する。軽度の低カリウム血症がまれに生じる。レバルブテロール(levalbuterol)(サルブタモールのR-異性体を含む溶液)の使用は,理論的には有害作用を最小化するが,長期的な効力および安全性は証明されていない。経口β2作動薬は全身作用がより強いため,一般には避けるべきである。

長時間作用型β2作動薬(例,サルメテロール)は最長12時間作用が持続する。これらは中等症および重症の喘息に用いられるが,決して単独療法として用いるべきではない。これらは吸入コルチコステロイドと相乗的に作用し,コルチコステロイドの用量を減量できる。

超長時間作用型β2作動薬(例,インダカテロール)は最長24時間作用が持続し,長時間作用型β2作動薬と同様,中等症から重症の喘息に用いられるが,決して単独療法として用いるべきではない。これらは吸入コルチコステロイドと相乗的に作用し,コルチコステロイドの用量を減量できる。

β2作動薬の長期的に常用することの安全性は不明である。長時間作用型ベータ2作動薬を単独療法として用いると,喘息関連死のリスクを高める可能性がある。そのため喘息患者の治療の際には,これらの薬剤(サルメテロール,ホルモテロール,ビランテロール)は,その他の喘息コントロール薬(例,低~中用量の吸入コルチコステロイド)では病態が十分コントロールできない患者,または明らかに追加の維持療法を必要とする重症度の患者に対し,必ず吸入コルチコステロイドとの併用にて使用すべきである。短時間作用型β2作動薬の日常的使用もしくは効果の減弱,または1カ月に1缶以上の使用は,喘息コントロールが不十分であり,他の治療法の開始または強化が必要であることを示唆する。

抗コリン薬

抗コリン薬は,ムスカリン性(M3)アセチルコリン受容体を競合的に阻害することにより気管支平滑筋を弛緩させる。イプラトロピウムは,短時間作用型β2作動薬との併用で相加効果がみられることがある。有害作用としては,散瞳,霧視,口腔乾燥などがある。チオトロピウムのソフトミスト吸入器による投与(1.25μg/パフ)は,喘息患者に使用できる24時間作用型の吸入抗コリン薬である。喘息患者では,複数の臨床試験においてチオトロピウムに吸入コルチコステロイドまたは吸入長時間作用型β2作動薬とコルチコステロイド併用のいずれかを追加した場合,肺機能の改善および喘息増悪の減少が示されている。

コルチコステロイド

コルチコステロイドは,気道の炎症を阻害し,β受容体のダウンレギュレーションを解除し,サイトカインの産生および接着タンパク質の活性化を阻害する。コルチコステロイドは,吸入アレルゲンに対する遅延反応を阻止する(しかし早期反応は阻止しない)。投与経路には経口,静注,および吸入がある。喘息の急性増悪では,全身投与コルチコステロイドの早期使用により,しばしば増悪が回避され,入院の必要性が減少し,再発が予防され,かつ回復が早まる。経口投与と静脈内投与は,同等の効果がある。

吸入コルチコステロイドは,急性増悪における有用性はないが,炎症および症状の長期抑制,コントロール,および回復に適応がある。吸入コルチコステロイドは,経口コルチコステロイドによる維持療法の必要性を大幅に減少させる。吸入コルチコステロイドの局所的な有害作用としては,発声障害や口腔カンジダ症などがあるが,スペーサーの使用,コルチコステロイド吸入後のうがい,またはその両方を患者に指導することにより,予防または最小化できる。全身性の有害作用は全て用量に関連し,経口および吸入の両方で起こる可能性があり,主に吸入量 > 800μg/日で発生する。有害作用には副腎-下垂体系の抑制,骨粗鬆症白内障,皮膚萎縮,過食症,および紫斑ができやすいことなどが含まれる。吸入コルチコステロイドが小児の成長を抑制するかどうかは不明である。吸入コルチコステロイドによる治療を受ける小児のほとんどは,最終的には予測された成人身長に達する。潜在性結核がコルチコステロイドの全身投与によって再活性化しうる。

肥満細胞安定化薬

肥満細胞安定化薬は肥満細胞からの ヒスタミン放出を阻害し,気道反応性の亢進を軽減し,アレルゲンに対する早期反応および遅延反応を阻止する。運動誘発性およびアレルゲン誘発性の喘息の患者に対して,吸入により予防的に投与される。一旦症状が出現すると効果はない。全ての喘息治療薬の中で最も安全であるが,有効性は最も低い。

ロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier)

ロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier)は経口で投与され,軽症持続型から重症持続型の喘息患者において,長期コントロールおよび症状の予防に使用できる。主な有害作用は,肝酵素上昇(ジロートン[zileuton]で生じる)である。まれではあるが,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に類似した臨床症候群がみられることがある。

メチルキサンチン類

メチルキサンチン類は気管支平滑筋を弛緩させ(おそらくホスホジエステラーゼを阻害することによる),機序は不明であるが,心筋および横隔膜の収縮能を改善させる可能性がある。メチルキサンチン類はカルシウムの細胞内放出を阻害し,微小血管から気道粘膜への漏出を減少させ,アレルゲンに対する遅延反応を阻害すると考えられている。また,気管支粘膜への好酸球の浸潤および上皮へのT細胞の浸潤を減少させる。

メチルキサンチン類の一種であるテオフィリンはβ2作動薬の補助薬として,喘息の長期コントロールに用いられる。徐放性テオフィリンは夜間喘息の管理に役立つ。テオフィリンは他の薬物に比べ有害作用および相互作用が多いため,使用されなくなっている。有害作用には頭痛,嘔吐,不整脈,痙攣発作,および胃食道逆流症の悪化(下部食道括約筋圧の低下による)などがある。

メチルキサンチン類の治療域は狭く,また,多数の薬物(チトクロムP450経路により代謝される全ての薬物,例えば,マクロライド系抗菌薬)および病態(例,発熱,肝疾患,心不全)がメチルキサンチン類の代謝および排泄を変化させる。血清テオフィリン濃度を定期的にモニタリングし,濃度を5~15μg/mL(28~83μmol/L)に維持すべきである。

免疫調節薬

免疫調節薬には,抗IgE抗体であるオマリズマブや,IL-5に対する3つの抗体(ベンラリズマブ,メポリズマブ,レスリズマブ[reslizumab]),IL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害するモノクローナル抗体(デュピルマブ)などがあり,いずれも重症のアレルギー性喘息の維持療法に用いられる。

オマリズマブは,重症のアレルギー性喘息があり,IgE値が上昇している患者に適応がある。オマリズマブは,喘息の増悪,コルチコステロイドの必要量,および症状を軽減する可能性がある。投与量は患者の体重およびIgE値に基づいた用量チャートから決定される。皮下注射で2~4週間毎に投与する。

メポリズマブ,レスリズマブ(reslizumab),およびベンラリズマブは好酸球性喘息の患者に向けて開発されたもので,IL-5を阻害するモノクローナル抗体である。IL-5は気道内で好酸球性の炎症を促進するサイトカインである。

メポリズマブは,慢性的なコルチコステロイドの全身投与に依存している患者において,増悪の頻度,喘息の症状,およびコルチコステロイドの全身投与の必要性を軽減する。臨床試験のデータによると,血中の好酸球の絶対数が150/μL(0.15 × 109/L)を超えている場合に効果があるとされているが,慢性的なコルチコステロイドの全身投与を受けている患者では,効果が得られる閾値は不明である。メポリズマブは4週毎に皮下に100mg投与する。

レスリズマブ(reslizumab)も増悪の頻度と喘息の症状を軽減すると考えられている。臨床試験では,患者の血中好酸球の絶対数は約400/μL(0.4 × 109/L)であった。慢性的なコルチコステロイドの全身投与を受けている患者では,効果が得られる好酸球数の閾値は不明である。レスリズマブ(reslizumab)は3mg/kgを静注で20~50分かけて4週毎に投与する。

ベンラリズマブはIL-5受容体に結合するモノクローナル抗体である。12歳以上の好酸球性表現型の患者における重症喘息の維持治療への追加薬として適応がある。これにより増悪の頻度が減少し,経口コルチコステロイドの使用を軽減および/または中止できることが証明されている。推奨用量として30mgを4週毎に計3回,その後30mgを8週毎に皮下注射で投与する。臨床試験の参加者の治療レジメン(1, 2参照)では,高用量の吸入コルチコステロイドに加えて長時間作用型β2作動薬が使用され,他のコントローラーが併用される場合もあった。血中好酸球数は一般に > 300/μL(>0.3 × 109/L)であった。

デュピルマブはIL-4R-αサブユニットを阻害するモノクローナル抗体であり,それによりIL-4およびIL-13のシグナル伝達を同時に阻害する。12歳以上の好酸球性表現型または経口コルチコステロイド依存性喘息の患者における中等度から重症喘息の維持治療への追加薬として適応がある。推奨用量として初回400mgとその後200mgを2週毎に皮下注射,または初回600mgとその後300mgを2週毎に皮下注射で投与する。同時に経口コルチコステロイドを必要とする患者,または中等度から重度のアトピー性皮膚炎を併発している患者にはより高用量が推奨される。

このような免疫調節薬を投与する医師は,アナフィラキシーまたはアレルギー性過敏反応を同定し治療できるよう備えておくべきである。デュピルマブ,ベンラリズマブ,オマリズマブまたはレスリズマブ(reslizumab)の投与後には,用量にかかわらずアナフィラキシーが起こる可能性があり,以前は耐えられていた用量でも起こる恐れがある。アレルギー性過敏反応はメポリズマブによるものが報告されている。メポリズマブの使用は帯状疱疹を伴うことがあるとされている;そのため,治療開始前に帯状疱疹ワクチンの接種を考慮すべきである。

パール&ピットフォール

  • オマリズマブ,メポリズマブ,レスリズマブ(reslizumab),ベンラリズマブ,またはデュピルマブによる治療を受ける患者では,それまでにその治療に患者がどれだけ耐えられたかにかかわらず,アナフィラキシー反応またはアレルギー性過敏反応が起こる可能性に備えておくこと。

他の薬物

喘息の治療で使用される頻度は低いが,その他の薬物が特定の状況下で使用される。マグネシウムはしばしば救急診療部で使用されるが,慢性喘息の管理には推奨されない。

症状がアレルギーにより誘発されていることが,病歴により示唆されアレルギーテストで確定されれば,免疫療法が適応となりうる。免疫療法は概して成人よりも小児において効果的であることが多い。24カ月経過するまでに症状に有意な改善がみられなければ,治療を中止する。症状が緩和すれば,少なくとも3年間は治療を継続すべきであるが,治療の最適継続期間は分かっていない。

高用量経口コルチコステロイドへの依存を軽減するため,免疫系を抑制するその他の薬剤がときに用いられるが,これらの薬剤は毒性が生じるリスクが非常に高い。低用量メトトレキサート(5~15mg/週1回,経口または筋肉内投与)はFEV1を軽度に改善し,毎日の経口コルチコステロイドの使用量を若干減少させうる。金およびシクロスポリンもある程度効果的であるが,毒性およびモニタリングの必要性からその利用は限られている。

慢性喘息を管理するためのその他の治療法としては,リドカインやヘパリンのネブライザー投与,コルヒチン,大量免疫グロブリン静注療法などがある。いずれの治療法も使用を支持するエビデンスは限られており,便益も証明されていないため,臨床でのルーチンの使用は現在のところ推奨されていない。

参考文献

  • 1.Bleecker ER, FitzGerald AM, Chanez P, et al: Efficacy and safety of benralizumab for patients with severe asthma uncontrolled with high-dosage inhaled corticosteroids and long-acting β2-agonists (SIROCCO): a randomised, multicentre, placebo-controlled phase 3 trial.Lancet388(10056):2115–2127, 2016.doi: 10.1016/S0140-6736(16)31324-1

  • 2.FitzGerald AM, Bleecker ER, Nair P, et al: Benralizumab, an anti-interleukin-5 receptor α monoclonal antibody, as add-on treatment for patients with severe, uncontrolled, eosinophilic asthma (CALIMA): a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial.Lancet 388(10056):2128–2141, 2016.doi: 10.1016/S0140-6736(16)31322-8

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