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びまん性肺胞出血

執筆者:

Marvin I. Schwarz

, MD, University of Colorado Denver

最終査読/改訂年月 2018年 12月
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びまん性肺胞出血は持続性または再発性の肺出血である。数多くの原因があるが,自己免疫疾患が最も一般的である。患者の多くは呼吸困難,咳嗽,喀血,および胸部画像検査において新しい肺胞浸潤影を呈する。疑いのある原因に対して診断検査を行う。治療は,自己免疫性の原因をもつ患者に対しては免疫抑制薬によって行い,また必要があれば呼吸補助を行う。

病態生理

びまん性肺胞出血は,肺の小血管の広範な損傷に起因するものであり,その結果,肺胞内に血液が貯留する。多くの肺胞が傷害されれば,ガス交換が破綻する。具体的な病態生理および症候は原因によって異なる。例えば,孤立性のpauci-immune(血管壁に免疫複合体の沈着を認めない)型肺毛細血管炎は,肺に限局する小血管の血管炎である;唯一の症候は肺胞出血であり,18歳から35歳までの人に発症する。

病因

多くの疾患が肺胞出血を引き起こしうる;以下のような例がある:

症状と徴候

軽度のびまん性肺胞出血の症状および徴候は,呼吸困難,咳嗽,および発熱である;しかしながら,多くの患者は急性呼吸不全 急性低酸素血症性呼吸不全 (AHRF,ARDS) 急性低酸素血症性呼吸不全は,酸素投与に反応しない重症の動脈血低酸素血症である。気腔への体液貯留または虚脱により生じる血液の肺内シャントによって引き起こされる。所見には呼吸困難および頻呼吸などがある。診断は動脈血ガスおよび胸部X線による。通常,治療には機械的人工換気が必要となる。... さらに読む 急性低酸素血症性呼吸不全 (AHRF,ARDS) を呈し,ときに死に至る。喀血は一般的であるが,患者の最大3分の1では認められないこともある。患者のほとんどには貧血および持続性出血がみられ,ヘマトクリットの減少につながる。

特異的な身体所見はない。

その他の症候は基礎疾患によって異なる(例,僧帽弁狭窄のある患者における拡張期雑音)。

診断

  • 胸部X線

  • 気管支肺胞洗浄

  • 原因診断のための血清学的検査およびその他の検査

診断は,呼吸困難,咳嗽,および喀血に,びまん性両側性肺胞浸潤影の胸部X線所見を伴うこと,ならびにびまん性肺胞出血の疑いにより示唆される。診断確定のために気管支肺胞洗浄(BAL)を伴う気管支鏡検査 気管支鏡検査 気管支鏡手技では,気道内に内視鏡を挿入する。 軟性の気管支ファイバースコープが,実質的に全ての診断適応および大部分の治療適応において,硬性気管支鏡に代わって使用されている。 硬性気管支鏡は,より優れた視認性および操作性を得るためにより大きな口径および太い吸引チャネルが必要とされる以下のような状況でのみ現在は使用されている:... さらに読む 気管支鏡検査 が強く推奨され,特に症候が非典型的な場合または気道からの出血が除外されていない場合に推奨される。検体は多数の赤血球およびヘモジデリン貪食細胞を含む血液像を示す;洗浄液は典型的に,連続採取の後も血性を維持するか,または血性が増す。

原因の評価

ルーチンで行われるその他の検査には以下のものがある:

  • 血算

  • 凝固検査

  • 血小板数

  • 血清学的検査(抗核抗体,抗二本鎖DNA[抗dsDNA]抗体,抗糸球体基底膜[抗GBM]抗体,抗好中球細胞質抗体[ANCA],抗リン脂質抗体)

血清学的検査は,基礎疾患の検索を目的とする。孤立性pauci-immune(微量免疫)型肺毛細血管炎(isolated pauci-immune pulmonary capillaritis)の一部の症例では,perinuclear-ANCA(p-ANCA)の抗体価が上昇する。

その他の検査は臨床状況による。患者の容態が安定していれば,肺機能を記録するために肺機能検査 肺機能検査の概要 肺機能検査は,流量,肺気量,ガス交換,気管支拡張薬への反応,および呼吸筋機能を測定する検査である。 外来で利用できる基本的肺機能検査には以下のものがある: スパイロメトリー パルスオキシメトリー スパイロメトリーおよびパルスオキシメトリーは肺機能を生理学的に測定できるほか,鑑別診断を迅速に限定し,その後の追加検査または治療の戦略を考えるた... さらに読む を行うこともある。肺胞内Hbによる一酸化炭素の取込みが増大するため,検査ではDLcoの上昇が示される場合がある;しかしながら,この所見は出血と一致するものの,診断確定の補助にはならない。

予後

出血に関連する呼吸不全のため,患者は機械的人工換気 機械的人工換気の概要 機械的人工換気には以下の種類がある: 非侵襲的,様々な種類のフェイスマスクを使用する 侵襲的,気管挿管を伴う 適切な手法の選択および使用には呼吸力学の理解が必要である。 気管挿管および機械的人工換気の適応は極めて多彩であるが(Professional.see table 気道管理が必要となる状況),一般には,気道の確保または十分な酸素化も... さらに読む を必要とすることがあり,さらには死亡することがある。繰り返す肺胞出血は肺ヘモジデローシスおよび肺線維症を引き起こすが,いずれもフェリチンが肺胞内に凝集して毒性作用を及ぼす場合に発生する。顕微鏡的多発血管炎に続発する,繰り返すびまん性肺胞出血の患者の一部にCOPD 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,毒素の吸入(しばしばタバコ煙)に対する炎症反応によって引き起こされる気流制限である。比較的まれな原因として,非喫煙者におけるα1-アンチトリプシン欠乏症および様々な職業曝露がある。症状は数年かけて発現する湿性咳嗽および呼吸困難であり,一般的な徴候には呼吸音の減少,呼気相の延長,および喘鳴などがある。重症例で... さらに読む 慢性閉塞性肺疾患(COPD) が発生する。

治療

  • コルチコステロイド

  • ときにシクロホスファミドまたは血漿交換

  • 支持療法

治療としては原因を是正する。

コルチコステロイドおよびときにシクロホスファミドは,血管炎,結合組織疾患,グッドパスチャー症候群の治療に用いられる。びまん性肺胞出血におけるリツキシマブの有効性は研究されていない。

血漿交換がグッドパスチャー症候群の治療に用いられることがある。

治療に反応しない重症の肺胞出血の治療において,遺伝子組換え活性型ヒト第VII因子製剤の使用が奏効したと報告する研究が数例あるが,血栓性合併症が起こりうるため,この治療法については議論がある。

要点

  • びまん性肺胞出血には多くの原因(例,感染症,毒素,薬剤,血液疾患または心疾患)がありうるが,自己免疫疾患が最も一般的な原因である。

  • 症状,徴候,および胸部X線所見は非特異的である。

  • BALにより連続採取した洗浄液検体で出血の持続を証明し,びまん性肺胞出血の診断を確定する。

  • ルーチンの臨床検査,自己抗体検査,およびときにその他の検査を行い,原因を調べる。

  • 原因を治療する(例,自己免疫性の原因に対し,コルチコステロイド,シクロホスファミド,血漿交換,および/または免疫抑制薬)。

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