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心臓画像検査

執筆者:

Michael J. Shea

, MD, Michigan Medicine at the University of Michigan;


Thomas Cascino

, MD, MSc, University of Michigan

最終査読/改訂年月 2019年 8月
本ページのリソース

心臓の画像検査によって,心臓の構造および機能を描出することができる。標準的な画像検査としては以下のものがある:

心臓は絶えず拍動しているため,標準的なCTおよびMRIの適用範囲は限られるが,リズムが規則的で心拍数がコントロールされているのであれば,より高速なCTおよびMRI技術を用いることで有用な心臓の画像を撮影できる。ときに撮影中の心拍数を低下させるために薬剤(例,β遮断薬)を投与することもある。

心電図同期法では,画像の記録(または再構成)を心電図と同期させることで(心電図同期),心周期内の特定時点について単一画像を作成するために用いる複数の心周期の情報を得る。

心電図を用いて心周期内の関心対象部分でのみX線を照射する心電図同期CTでは,心周期内の関心対象部分のみの情報を単純に再構成するだけで,X線照射を中断しない心電図同期法と比較して,X線被曝量が低くなる。

胸部X線

胸部X線は心臓診断の出発点として,しばしば有用である。後前像と側面像から,心房および心室の大きさおよび形状と肺血管系の概要を知ることができるが,心臓の構造および機能を正確に評価するには,ほぼ常に追加検査が必要となる。

CT

ヘリカル(スパイラル)CTは,心膜炎先天性心疾患(特に動静系の交通の異常),大血管疾患(例,大動脈瘤大動脈解離),心臓腫瘍,急性肺塞栓症,慢性肺血栓塞栓症,および不整脈源性右室異形成症の評価で用いられる。しかしながら,CTには放射線不透過性の造影剤が必要であることから,腎障害を有する患者には施行できないことがある。

異常な心臓のCT
正常冠動脈の造影CT

電子線CTは,かつて超高速CTやシネCTと呼ばれていたもので,従来のCTとは異なり,X線源と標的を移動させることなく撮影が可能である。その代わりに,X線ビームの方向が磁場によって誘導され,据え置き型の一連の検出器によって検出される。機械的な動きを必要としないことから,1秒に満たない短時間での撮影(および心周期の特定時点での記録)が可能である。電子線CTは主に,動脈硬化の初期徴候である冠動脈石灰化の検出および定量化に用いられている。しかしながら,空間分解能が低く,また心疾患以外に機器を使用できないことから,心臓に対する使用でも,より新しい標準のCT技術が好まれつつある。

マルチスライスCT(MDCT)は,64列以上の検出器を備えることでスキャン時間が非常に短くなっており,一部の先進機器では1回の心拍で1つの画像を撮影できるが,一般的な撮像時間は30秒である。2管球CT(dual source CT)は,2つのX線源と2組の検出器列を単一のガントリー上で使用するもので,これによりスキャン時間が半分に短縮されている。どちらの方法でも,冠動脈石灰化や血流制限をもたらす冠動脈閉塞(すなわち,50%を超える狭窄)を同定することが可能と考えられる。典型的には静注造影剤が使用されるが,単純撮影で冠動脈石灰化を検出することが可能である。

現在,マルチスライスCTは主に,負荷試験の画像検査で確定的な結果が得られない患者に対して,冠動脈造影に代わる非侵襲的検査法として用いられている。マルチスライスCTの主たる有益性は,冠動脈疾患(CAD)のリスクが低いか中等度の患者において臨床的に有意な冠動脈疾患を除外できる点にあると考えられる。照射線量が約15mSvと相当量になる可能性があるものの(対して胸部X線では0.1mSv,冠動脈造影では7mSvである),新しい画像検査プロトコルでは被曝量を5~10mSv低減することができる。高密度の石灰化プラークが存在すると,画像にアーチファクトが発生し,解釈の妨げとなる。単純撮影による冠動脈石灰化の評価は,さらに低い被曝量で施行できる。冠動脈のカルシウムの量は,冠動脈疾患の10年リスクの推定に用いることができる。最近の研究では,冠動脈にカルシウムを認めなけば予後良好であることが示唆されている。

MRI

標準的なMRIは心臓周辺の領域,特に縦隔および大血管の評価(例,動脈瘤解離,狭窄の検査)に有用である。心電図に同期したデータ取得により,画像の解像度をCTや心エコー検査に近づけることができ,心筋の壁厚および壁運動,心腔容量,腔内の腫瘤または血栓,弁の性状を明確に描出できるようになる。

常磁性造影剤(ガドペンテト酸[Gd-DTPA])を投与してから連続MRIを施行すれば,核医学検査よりも高い分解能で心筋灌流のパターンを描出することができる。MRIは一般に,心室容積のほか駆出率に対する最も正確かつ信頼性の高い測定方法と考えられている。しかしながら,腎機能障害がある患者では,ガドリニウム造影剤の使用後に腎性全身性線維症を発症する可能性があり,これは生命を脅かす可能性がある疾患である。腎機能障害のある患者にも安全に使用できる造影剤が現在開発されている。

MRIに造影剤を使用すれば,梗塞のサイズおよび位置に関する3次元情報の取得や心腔内での血流速度の測定も可能になる。またMRIでは,ドブタミンによる変力刺激に対する収縮反応を評価するか,あるいは造影剤(例,Gd-DTPAは細胞膜に異常のない細胞からは排出される)を使用することにより,組織のバイアビリティを評価することができる。MRIでは浮腫を伴う炎症と心筋瘢痕を区別できる。マルファン症候群の患者では,心エコー検査よりMRIの方が上行大動脈の拡張をより正確に測定することができる。

MRアンギオグラフィー(MRA)は,関心部位(例,胸部または腹部の血管)の血液量評価に用いられ,全ての血流を同時に評価することができる。MRAは頸動脈,冠動脈,腎動脈,および末梢動脈の動脈瘤,狭窄,閉塞の検出に利用できる。深部静脈血栓症の検出への本検査法の利用が研究されている。

PET(陽電子放出断層撮影)

PETは心筋の血流と代謝を確認することができ,ときに心筋バイアビリティの評価や,SPECT(単一光子放出型CT)で判断が難しい場合の心筋血流の評価,あるいは重度の肥満患者の評価に用いられている。

血流評価用の薬剤は,特定の領域に流入する血液量を追跡するために用いられる放射性核種であり,安静時には明確でない心筋血流の低下を明らかにするのに有用である。具体的には11C二酸化炭素,15O水,13Nアンモニア,ルビジウム82(82Rb)などがある。82Rbのみ,施設内にサイクロトロンを設置する必要がない。

代謝評価用の薬剤は,細胞によって吸収・代謝される正常な生体物質に放射性核種を組み込んだ物質である。具体的には以下のものがある:

  • フッ素18(18F)標識デオキシグルコース(FDG)

  • 11C酢酸

FDGでは,虚血状態でのグルコース代謝の亢進を検出することから,虚血状態にあるがまだ生存可能な心筋を瘢痕組織と鑑別することが可能である。感度は心筋血流イメージングより高く,血行再建の対象となる患者を選択したり,瘢痕組織のみが認められる患者への血行再建術の施行を回避したりする上で,FDG画像が有用となる可能性がある。このような使用法により,PETにかかる高額の費用も正当化される可能性がある。18Fは半減期が十分に長いため(110分),FDGはしばしば施設外で調製できる。従来のSPECT装置でFDGイメージングを行えるようにする手法により,この種の画像検査が広く普及する可能性がある。FDGは,炎症性の心血管疾患(例,感染が起きたペースメーカーのワイヤー,大動脈血管炎,心サルコイドーシス)の検出にも使用されてきた。

11C酢酸の集積値は筋細胞による全体的な酸素代謝を反映すると考えられる。集積値は,FDGの分布に影響を及ぼしうる血糖値などの潜在的可変因子には依存しない。11C酢酸PETは,介入後の心筋機能の回復状況を予測する上ではFDGイメージングより優れている可能性がある。しかしながら,11Cは半減期が20分であることから,施設内に設置したサイクロトロンで製造する必要がある。

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