Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

感染後糸球体腎炎

(PIGN;溶連菌感染後糸球体腎炎;レンサ球菌以外を起因菌とするPIGN)

執筆者:

Navin Jaipaul

, MD, MHS, Loma Linda University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 1月
本ページのリソース

感染後糸球体腎炎は感染後に起こり,通常はA群β溶血性レンサ球菌の腎炎惹起性菌株による。診断は病歴と尿検査によって示唆され,補体価低値およびときに抗体検査によって確定される。予後は極めて良好である。治療は支持療法による。

病因

大部分の症例はA群β溶血性レンサ球菌の腎炎惹起性菌株によって引き起こされ,最も顕著なのは12型(咽頭炎を惹起)と49型(膿痂疹を惹起)であり,レンサ球菌咽頭炎患者の約5~10%および膿痂疹患者の約25%でPIGNが発生する。感染から糸球体腎炎発症までの潜伏期は6~21日間が典型的であるが,潜伏期は最長6週間まで延びる場合がある。

それより頻度の低い病原体には,レンサ球菌以外の細菌,ウイルス,寄生虫,リケッチア,および真菌(Professional.see table 糸球体腎炎の原因 糸球体腎炎の原因 腎炎症候群は,血尿および様々な程度のタンパク尿を認め,かつ尿沈渣の鏡検で通常は変形赤血球を,さらにしばしば赤血球円柱を認める場合として定義される。しばしば,浮腫,高血圧,血清クレアチニン値上昇,乏尿のうち1つ以上の要素が認められる。原因は原発性および続発性のいずれもある。診断は,病歴,身体診察,ときには腎生検に基づく。治療および予後は原因によって異なる。 (糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む )がある。PIGNが発生するその他の重要な病態としては,細菌性心内膜炎 感染性心内膜炎 感染性心内膜炎は,心内膜の感染症であり,通常は細菌(一般的にはレンサ球菌またはブドウ球菌)または真菌による。発熱,心雑音,点状出血,貧血,塞栓現象,および心内膜の疣贅を引き起こすことがある。疣贅の発生は,弁の閉鎖不全または閉塞,心筋膿瘍,感染性動脈瘤につながる可能性がある。診断には血液中の微生物の証明と通常は心エコー検査が必要である。治療... さらに読む 感染性心内膜炎 および脳室心房シャント 治療 水頭症とは,過剰な量の髄液が集積した状態であり,脳室拡大および/または頭蓋内圧亢進が生じる。症状と徴候には,頭部拡大,泉門膨隆,易刺激性,嗜眠,嘔吐,痙攣などがある。診断は,閉鎖前の泉門がある新生児および幼若乳児では超音波検査により,月齢の高い乳児および小児ではCTまたはMRIによる。治療は重症度と症状の進行度に応じて,経過観察から外科的介入までに及ぶ。 水頭症では,頭蓋腔内の過剰な髄液に起因する内圧上昇により,頭蓋骨が異常に拡大するこ... さらに読む 治療 の感染があり,脳室腹腔シャントはそれらに比べれば感染症に対する抵抗性がある。

機序は不明であるが,微生物の抗原が糸球体基底膜に結合し,主に代替補体経路の活性化を直接的および循環血中の抗体との相互作用の両方により惹起し,これにより巣状またはびまん性の糸球体障害がもたらされると考えられている。あるいは,循環血中の免疫複合体が糸球体基底膜に沈着する可能性がある。

症状と徴候

症状と徴候は無症候性の血尿(約50%)および軽度のタンパク尿から顕微鏡的または肉眼的血尿(コーラ色,褐色,くすんだ色,またははっきりした血尿),タンパク尿(ときにネフローゼレベル),乏尿,浮腫,高血圧,腎機能不全を伴う末期腎炎までの範囲がある。発熱はまれであり,持続性の感染症を示唆する。

まれに,重症例の回復後にネフローゼ症候群が持続することがある。

レンサ球菌以外を起因菌とするPIGNの臨床像は他の疾患(例,結節性多発動脈炎,腎塞栓,抗菌薬による急性間質性腎炎)に類似することがある。

診断

  • 最近の感染を示す臨床所見

  • 尿検査では,典型的には変形赤血球,赤血球円柱,タンパク尿,白血球,および尿細管細胞が認められる

  • しばしば低補体血症

レンサ球菌PIGNは,咽頭炎または膿痂疹の既往とPIGNの典型的な症状または尿検査での偶然の所見により示唆される。低補体血症が示されることで基本的に確定する。

確定診断のために行うべき検査は,臨床所見によって異なる。一般的には抗ストレプトリジンO抗体,抗ヒアルロニダーゼ抗体,および抗デオキシリボヌクレアーゼ(抗DNAアーゼ)抗体が測定される。血清クレアチニン値と補体価(C3および総溶血補体活性)も通常は測定する;ただし,典型的な臨床所見がみられる患者では一部の検査を省略できる。ときにその他の検査を施行する。生検は,診断を確定するが,必要になることはまれである。

抗ストレプトリジンO抗体の測定は,直近のレンサ球菌感染を確認する目的で最も頻用されている臨床検査項目であり,咽頭炎患者の約75%と膿痂疹患者の約50%では数カ月間にわたり高値が持続するが,特異的な所見ではない。抗ヒアルロニダーゼ,抗デオキシリボヌクレアーゼ,およびその他の抗体価をさらに測定するstreptozyme testは,最近のレンサ球菌咽頭炎の95%および皮膚感染症の80%を検出する。

尿検査では,典型的にはタンパク尿(0.5~2g/m2/日),変形赤血球,白血球,尿細管細胞がみられるほか,赤血球円柱,白血球円柱,顆粒円柱がみられることもある。随時(スポット)尿の尿タンパク/クレアチニン比は通常0.2~2の範囲にあるが(正常は0.2未満),ときにネフローゼレベル(3以上)となる場合もある。

血清クレアチニン値が急速に上昇する場合があるが,通常そのピーク値は透析を要する水準より低い。

C3および総溶血性補体価(CH50)の測定値は,疾患活動期には低下し,PIGN症例の80%では6~8週間以内で正常値に戻り,C1q,C2,およびC4値はごくわずかな低下を示すか正常を維持する。クリオグロブリン血症が発生して数カ月間持続する場合があるのに対して,循環血中の免疫複合体は数週間のみ検出可能である。

生検標本では,糸球体の腫大および細胞増殖がみられるほか,初期には好中球浸潤,後期には単核球浸潤を認める。上皮細胞の増殖は,早期によくみられる一過性の所見である。微小血栓症が生じることがあり,その創傷が重度の場合,糸球体の細胞増殖および浮腫に起因する血行動態の変化によって乏尿を来し,ときに上皮性の半月体形成(ボーマン腔内で上皮細胞の過形成により形成される)も伴う。内皮細胞とメサンギウム細胞が増殖し,しばしばメサンギウム領域が浮腫により大きく拡大し,好中球,壊死細胞,細胞残屑および高電子密度物質の上皮下沈着物を含む。

蛍光抗体顕微鏡検査では,通常IgGと補体を伴う免疫複合体の沈着が顆粒状パターンで示される。電子顕微鏡検査では,これらの沈着物は半月状またはコブ状を呈し,上皮下領域に認められる。これらの沈着物ならびに内皮下およびメサンギウムの小型沈着物の存在により補体介在性の炎症反応が生じ,糸球体障害に至る。主要な抗原はおそらくZymogen cysteine proteinase exotoxin B(Zymogen/SPE B)である。

予後

腎機能は85~95%の患者で正常レベルを維持するか,正常レベルまで回復する。GFR値は通常1~3カ月で正常レベルに復帰するが,タンパク尿は6~12カ月間持続し,顕微鏡的血尿は数年間続く可能性がある。軽度の上気道感染症により尿沈渣の一過性の変化が再発することがある。腎細胞増殖は数週間以内に消失するが,硬化の残存はよくみられる。PIGNは成人では10%,小児では1%の頻度で急速進行性糸球体腎炎 急速進行性糸球体腎炎(RPGN) 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は,顕微鏡的な糸球体半月体形成を伴い,数週間から数カ月以内に腎不全に進行する,急性腎炎症候群である。診断は病歴,尿検査,血清学的検査,腎生検に基づく。治療は,コルチコステロイドの単剤またはシクロホスファミドとの併用,ときに血漿交換による。 (腎炎症候群の概要も参照のこと。) RPGNは腎炎症候群の一種であり,病理診断により診断し,広範な糸球体半月体形成を伴い(すなわち,採取した糸球体の50%超に半月体が認... さらに読む 急速進行性糸球体腎炎(RPGN) に進行する。

治療

  • 支持療法

治療は支持療法であり,タンパク質,ナトリウム,および水分の摂取制限を含める場合もあり,より重症例では浮腫 治療 浮腫とは,間質液の増加により軟部組織の腫脹が生じた状態である。液体の主成分は水であるが,感染やリンパ管閉塞がある場合には,タンパク質および細胞を多く含む液体が蓄積する可能性がある。 浮腫は全身性の場合と局所性の場合(例,四肢のいずれかまたはその一部に限局する)がある。ときに浮腫は突然発症し,患者は四肢が極めて突然に腫れたと訴える。一方,浮腫は潜行性に発生することの方が多く,体重増加,朝の起床時に眼が腫れる,夜になると靴がきつくなるなどの... さらに読む 治療 および高血圧 治療 高血圧とは,安静時の収縮期血圧(130mmHg以上),拡張期血圧(80mmHg以上),またはその両方が高値で維持されている状態である。原因不明の高血圧(本態性高血圧)が最も多くを占める。原因が判明する高血圧(二次性高血圧)は通常,睡眠時無呼吸症候群,慢性腎臓病,または原発性アルドステロン症に起因する。高血圧は重症となるか長期間持続しない限... さらに読む 治療 を治療する。ときに透析が必要となる。抗菌薬は,感染後36時間以内かつ糸球体腎炎の確立前に投与した場合にのみ予防効果をもたらす。

要点

  • 咽頭炎または膿痂疹の既往があり,糸球体腎炎の徴候が認められる若年患者では,PIGNを考慮する。

  • 生検は診断を確定するが,必要になることはまれであり,低補体血症が示されることで基本的に確定する。

  • 支持療法により通常は腎機能の回復がもたらされる。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS

おすすめコンテンツ

医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP