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血精液症

執筆者:

Anuja P. Shah

, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2019年 6月
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血精液症とは,精液に血液が混入することである。患者はしばしば恐怖を覚えるが,通常は良性である。ときに男性が血尿やセックスパートナーの血液を誤って血精液症と認識している場合もある。

病態生理

精液は,精巣上体尾部に由来する精子と,精嚢,前立腺,カウパー腺,および尿道球腺から分泌される体液で構成される。このため,この経路のいずれかの部位に病変が生じれば,血液が精液に混入する可能性がある。

病因

血精液症のほとんどの症例は

  • 特発性かつ良性である

そのような症例は数日から数カ月で自然治癒に至る。

既知の原因で最も頻度が高いものは

比較的まれな原因としては,その他の器具操作,前立腺肥大症 前立腺肥大症(BPH) 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)は,前立腺尿道周囲部が良性腺腫として増大した状態である。症状は下部尿路閉塞の症状である(尿勢低下,排尿遅延,頻尿,尿意切迫,夜間頻尿,残尿,終末時滴下,溢流性または切迫性尿失禁,完全尿閉)。診断は主に直腸指診と症状に基づき,膀胱鏡検査,経直腸的超音波検査,尿流... さらに読む ,感染(例,前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎とは,主に刺激性または閉塞性の泌尿器症状と会陰部痛の組合せとして出現する多様な疾患群を指す。一部の症例は前立腺の細菌感染が原因であり,より頻度の高い他の一群の症例では,非感染性の炎症因子,尿生殖隔膜筋の攣縮,またはその両方に起因するが,まだ十分に解明されていない。診断は臨床的に行い,前立腺マッサージの前後に採取した尿検体の鏡検および培養も併用する。原因が細菌性の場合,治療は抗菌薬による。原因が非細菌性の場合,治療は温坐浴,筋弛緩... さらに読む 尿道炎 尿道炎 細菌性UTIは,尿道,前立腺,膀胱,または腎臓で発生する。症状は認められない場合もあれば,頻尿,尿意切迫,排尿困難,下腹部痛,および側腹部痛がみられる場合もある。腎臓の感染では,全身症状や敗血症が発生する場合もある。診断は尿の分析および培養に基づく。治療は抗菌薬投与と尿路カテーテルの抜去および閉塞の解除による。 (Professional.See also page 尿路感染症(UTI)に関する序論;グラム陰性桿菌;前立腺炎;および小児... さらに読む 精巣上体炎 精巣上体炎 精巣上体炎は精巣上体の炎症で,ときとして精巣の炎症を伴う(精巣精巣上体炎)。陰嚢の疼痛および腫脹が通常は片側性に生じる。診断は身体診察に基づく。治療は抗菌薬,鎮痛薬,および陰嚢サポーターによる。 大半の精巣上体炎(および精巣精巣上体炎)は細菌感染によって引き起こされる。炎症が精管に及べば,精管炎となる。また全ての精索構造が侵されれば,診断は精索炎となる。まれに精巣上体膿瘍,陰嚢の精巣上体外部の膿瘍,膿瘤(陰嚢水腫内での膿の蓄積),精巣梗... さらに読む 精巣上体炎 ),前立腺癌 前立腺癌 前立腺癌は通常腺癌である。典型的には,腫瘍の増殖によって血尿や疼痛を伴う閉塞が引き起こされるまで,症状はみられない。診断は直腸指診または前立腺特異抗原測定によって示唆され,経直腸的超音波生検によって確定される。スクリーニングについては議論があり,意思決定の共有が行われるべきである。大部分の前立腺癌患者の予後は,特に癌が限局または局在する場合(通常は症状の発生前),非常に良好であり,前立腺癌で死亡する患者と比較してそれ以外の原因で死亡する... さらに読む (35~40歳以上の男性)などがある。ときに,精嚢および精巣の腫瘍が血精液症に関連していることがある。前立腺部尿道または精管に生じた血管腫が大量の血精液症を引き起こすこともある。

ビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobium)は,アフリカ,中東の一部地域,東南アジアで重大な疾患を引き起こしている寄生吸虫で,尿路に侵入することができ,血尿に加えて,血精液症を引き起こすことが少なくない。住血吸虫症 住血吸虫症 住血吸虫症は,血管寄生吸虫である住血吸虫属(Schistosoma属)による感染症であり,汚染された淡水中での遊泳または歩行により経皮的に感染する。住血吸虫は消化管または泌尿生殖器系の脈管に寄生する。急性症状は皮膚炎で,その数週間後に発熱,悪寒,悪心,腹痛,下痢,倦怠感,および筋肉痛が起こる。慢性症状は種により異なるが,血性下痢(例,マンソン住血吸虫[S. mansoni]および日本住血吸虫[S... さらに読む は,この疾患の流行地域に滞在したことがある男性でのみ懸念される。結核 泌尿生殖器結核 肺以外の結核は通常,血行性播種によって発生する。感染はときに隣接臓器から直接広がる。症状は部位によって異なるが,一般には発熱,倦怠感,体重減少などがみられる。診断は喀痰の塗抹および培養によることが最も多いが,分子生物学に基づく迅速診断検査の利用も増えてきている。治療では複数の抗菌薬を少なくとも6カ月間投与する。 血行性全身性結核としても知られる粟粒結核は,結核病変が血管を侵して何百万もの結核菌が血流に入り全身に播種される場合に発生する。... さらに読む 泌尿生殖器結核 も血精液症のまれな原因の1つである。

評価

病歴

現病歴の聴取では,症状の持続期間に注意すべきである。自発的に情報を提供しない患者には,最近の前立腺生検の既往について具体的に質問すべきである。重要な随伴症状としては,血尿,排尿の開始または停止が困難,夜間頻尿,排尿時の灼熱感,陰茎分泌物などがある。性行為との関連性にも注意すべきである。

システムレビュー(review of systems)では,原因疾患の症状がないか検討すべきであり,具体的には,紫斑ができやすい,頻回の鼻出血,歯磨きまたは歯科処置中の歯肉からの過度の出血(血液疾患),発熱,悪寒,盗汗,骨痛,体重減少(前立腺感染症または前立腺癌)などが挙げられる。

既往歴の聴取では,既知の前立腺疾患,結核またはHIV感染症の既往または曝露,性感染症 性感染症の概要 性感染症(sexually transmitted diseas:STD)(sexually transmitted infection[STI]と呼ばれることもある)は,いくつかの微生物によって引き起こされ,それぞれの病原体は大きさ,生活環,引き起こす症状,治療法に対する感受性が大きく異なる。... さらに読む (STD)の危険因子(例,無防備な性交,複数のセックスパートナー),既知の出血性疾患,出血性素因となる既知の疾患(例,肝硬変 肝硬変 肝硬変は,正常な肝構築が広範に失われた肝線維化の後期の病像である。肝硬変は,密な線維化組織に囲まれた再生結節を特徴とする。症状は何年も現れないことがあり,しばしば非特異的である(例,食欲不振,疲労,体重減少)。後期の臨床像には,門脈圧亢進症,腹水,代償不全に至った場合の肝不全などがある。診断にはしばしば肝生検が必要となる。肝硬変は通常,不可逆的と考えられている。治療は支持療法である。... さらに読む )などについて具体的に尋ねるべきである。薬歴の聴取では,抗凝固薬または抗血小板薬の使用に注意すべきである。前立腺癌の家族歴と住血吸虫症 住血吸虫症 住血吸虫症は,血管寄生吸虫である住血吸虫属(Schistosoma属)による感染症であり,汚染された淡水中での遊泳または歩行により経皮的に感染する。住血吸虫は消化管または泌尿生殖器系の脈管に寄生する。急性症状は皮膚炎で,その数週間後に発熱,悪寒,悪心,腹痛,下痢,倦怠感,および筋肉痛が起こる。慢性症状は種により異なるが,血性下痢(例,マンソン住血吸虫[S. mansoni]および日本住血吸虫[S... さらに読む の流行地域への旅行歴について尋ねるべきである。

身体診察

外性器の視診および触診を行い,炎症の徴候(発赤,腫瘤,圧痛)がないかを,特に精巣上体の経路に沿って確認すべきである。直腸指診を行って,前立腺の腫大,圧痛,および腫瘤がないか確認する。

警戒すべき事項(Red Flag)

所見の解釈

短期間の血精液症を呈する健康な若年患者において,その他の点では病歴および診察所見ともに正常で,かつ旅行歴もない場合は,特発性である可能性が高い。

前立腺診察で異常所見がみられる患者は,前立腺癌 前立腺癌 前立腺癌は通常腺癌である。典型的には,腫瘍の増殖によって血尿や疼痛を伴う閉塞が引き起こされるまで,症状はみられない。診断は直腸指診または前立腺特異抗原測定によって示唆され,経直腸的超音波生検によって確定される。スクリーニングについては議論があり,意思決定の共有が行われるべきである。大部分の前立腺癌患者の予後は,特に癌が限局または局在する場合(通常は症状の発生前),非常に良好であり,前立腺癌で死亡する患者と比較してそれ以外の原因で死亡する... さらに読む 前立腺肥大症 前立腺肥大症(BPH) 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)は,前立腺尿道周囲部が良性腺腫として増大した状態である。症状は下部尿路閉塞の症状である(尿勢低下,排尿遅延,頻尿,尿意切迫,夜間頻尿,残尿,終末時滴下,溢流性または切迫性尿失禁,完全尿閉)。診断は主に直腸指診と症状に基づき,膀胱鏡検査,経直腸的超音波検査,尿流... さらに読む ,または前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎とは,主に刺激性または閉塞性の泌尿器症状と会陰部痛の組合せとして出現する多様な疾患群を指す。一部の症例は前立腺の細菌感染が原因であり,より頻度の高い他の一群の症例では,非感染性の炎症因子,尿生殖隔膜筋の攣縮,またはその両方に起因するが,まだ十分に解明されていない。診断は臨床的に行い,前立腺マッサージの前後に採取した尿検体の鏡検および培養も併用する。原因が細菌性の場合,治療は抗菌薬による。原因が非細菌性の場合,治療は温坐浴,筋弛緩... さらに読む に罹患している可能性がある。尿道分泌物は性感染症 性感染症の概要 性感染症(sexually transmitted diseas:STD)(sexually transmitted infection[STI]と呼ばれることもある)は,いくつかの微生物によって引き起こされ,それぞれの病原体は大きさ,生活環,引き起こす症状,治療法に対する感受性が大きく異なる。... さらに読む (STD)を示唆する。

精巣上体の圧痛はSTDのほか,まれながら結核(曝露の危険因子を有する患者と易感染性患者で可能性が高い)を示唆する。

出血性疾患の特徴的所見と出血リスクを増大させる薬剤の使用は,何からの素因を示唆するが,基礎疾患を除外するものではない。

検査

血精液症は,ほとんどの症例(特に35~40歳未満の男性)で,ほぼ常に良性である。身体診察(直腸指診を含む)で有意な異常を認めない場合は,尿検査,尿培養,およびSTD検査を行うが,それ以上の精査は不要である。

より重篤な基礎疾患が存在する可能性があり,検査を行うべき対象としては,以下を有する患者が挙げられる:

40歳以上の男性では,これらの所見に特に注意する必要がある。検査としては,尿検査,尿培養,前立腺特異抗原(PSA)検査 PSA値 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)は,前立腺尿道周囲部が良性腺腫として増大した状態である。症状は下部尿路閉塞の症状である(尿勢低下,排尿遅延,頻尿,尿意切迫,夜間頻尿,残尿,終末時滴下,溢流性または切迫性尿失禁,完全尿閉)。診断は主に直腸指診と症状に基づき,膀胱鏡検査,経直腸的超音波検査,尿流... さらに読む ,経直腸的超音波検査などがある。ときに,MRIおよび膀胱鏡検査が必要となる。精液の観察や分析を行うことはまれであるが,旅行歴からビルハルツ住血吸虫(S. haematobium)への曝露が示唆される場合には,有用となる可能性がある。

治療

原因が判明している場合は,治療はその原因に対して行う。ほぼ全ての患者に必要となる唯一の介入は,血精液症ががんの徴候ではなく,性的機能に影響することもないと伝えて,患者を安心させることである。前立腺炎が疑われる場合は,トリメトプリム/スルファメトキサゾールまたはその他の抗菌薬を4~6週間投与することで治療できる。フルオロキノロン系薬剤は,腱障害を引き起こす可能性があるため,単純性尿路感染症には可能な限り用いるべきでない。

要点

  • ほとんどの症例が特発性であるか,前立腺生検の施行後である。

  • 検査は主に,症状が持続する患者と診察で異常所見を認めた患者に必要となる。

  • 流行地域への旅行歴がある患者では,住血吸虫症を考慮すべきである。

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