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胆石症

執筆者:

Ali A. Siddiqui

, MD, Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 6月
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胆石症は,胆嚢内に1つまたは複数の結石(胆石)が存在する病態である。先進国では,成人の約10%と65歳以上の高齢者の20%で胆石がみられる。胆石は無症状のことが多い。最も一般的な症状は胆道仙痛であり,胆石によって消化不良や高脂肪食に対する不耐症が生じることはない。より重篤の合併症としては,胆嚢炎,ときに感染(胆管炎)を伴う胆道閉塞(胆管内の結石による[総胆管結石症]),胆石性膵炎などがある。診断は通常,超音波検査による。胆石症による症状または合併症が生じた場合,胆嚢摘出術が必要になる。

胆石の危険因子には,女性,肥満,高齢,アメリカンインディアン,欧米式の食事,急激な体重減少,家族歴などがある。胆道疾患の大半が胆石によるものである。

病態生理

胆泥は,しばしば胆石の前駆物質となる。胆泥はビリルビンカルシウム(ビリルビンの重合体),コレステロールの微小結晶,およびムチンから構成される。胆泥は胆嚢の停滞時に発生するほか,妊娠中やTPNの実施中にも生じる。胆泥は大半が無症状であり,基礎疾患が解消されれば消失する。一方で,胆泥が胆石に成長したり,胆道内に移動して閉塞を引き起こしたりすることもあり,胆道仙痛,胆管炎 総胆管結石症および胆管炎 総胆管結石症は,胆管内に結石が存在する病態であり,それらの結石は胆嚢内または胆管内で形成される。結石により胆道仙痛,胆道閉塞,胆石性膵炎,または胆管炎(胆管の感染と炎症)が引き起こされる。胆管炎が発生すると,狭窄,うっ滞,および総胆管結石症につながりうる。診断には通常,磁気共鳴胆道膵管造影またはERCPによる画像検査が必要となる。早期の内視鏡的または外科的減圧が必要である。 (胆道機能の概要も参照のこと。)... さらに読む 膵炎 膵炎の概要 膵炎は急性または慢性のいずれかに分類される。 急性膵炎では,炎症が臨床的および組織学的のいずれにおいても消失する。 慢性膵炎は,不可逆的かつ進行性の組織学的変化を特徴とし,膵内外分泌機能に大幅な低下を来す。慢性膵炎患者は,急性疾患の急性増悪(flare-up)を起こすことがある。... さらに読む などを引き起こす。

胆石にはいくつかの種類がある。

欧米では全胆石の85%以上がコレステロール結石である。コレステロール胆石が形成されるには,以下の条件を満たす必要がある:

黒色色素結石は,ビリルビンカルシウムと無機カルシウム塩(例,炭酸カルシウム,リン酸カルシウム)から成る小さな硬い胆石である。結石の発生を促進する因子には,アルコール性肝疾患 アルコール性肝疾患 欧米諸国の大半ではアルコール摂取量が高くなっている。精神疾患の診断・統計マニュアル DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)によると,米国では任意の12カ月という期間で8... さらに読む アルコール性肝疾患 ,慢性溶血,高齢などがある。

褐色色素結石は,柔らかく,脂肪分を多く含み,ビリルビン塩と脂肪酸(パルチミン酸またはステアリン酸カルシウム)から構成される。この種の結石は,感染時,炎症時,および寄生虫(例,アジアでみられる肝吸虫)による寄生時に形成される。

胆石は年に約1~2mmのペースで成長し,問題を引き起こすほどに大きくなるまでには5~20年を要する。大半の胆石が胆嚢内で形成されるが,褐色色素結石は胆管内で形成される。胆石は胆嚢摘出後に胆管へ移動したり,特に褐色色素結石の場合は,うっ滞や感染の結果として生じた狭窄部で発生することがある。

症状と徴候

胆石患者の約80%は無症状である。残りの患者では,胆嚢炎に特徴的な疼痛(胆道仙痛)から,生命を脅かす胆管炎まで幅広い症状がみられる。胆道仙痛が最も一般的な症状である。

胆石はときに,症状を引き起こさないまま胆嚢管を通過することがある。しかしながら,胆石の移動は大抵の場合,胆嚢管閉塞につながり,一時的にせよ,胆道仙痛を引き起こす。胆道仙痛は右上腹部で始まるのが特徴的であるが,腹部のその他の部位に生じることもある。しばしば限局が不明瞭であり,特に糖尿病や高齢患者で多い。仙痛は背部または腕に放散することがある。

突然始まり,15分から1時間で激痛となり,その疼痛強度が最長12時間(通常は6時間未満)にわたり持続し(仙痛性ではない),やがて30~90分間かけて徐々に消失するが,鈍痛が残る。疼痛は通常,鎮痛のために患者を救急診療部に送るほど重度である。悪心や嘔吐もよくみられるが,胆嚢炎が発生しない限り,発熱や悪寒はみられない。右上腹部または心窩部に軽度の圧痛がみられるが,腹膜炎の所見はない。発作間の体調は良好である。

過食に続いて胆道仙痛が生じることがあるが,高脂肪食は特異的な誘発因子ではない。ガス,腹部膨満,悪心などの非特異的な消化管症状が胆嚢疾患によるものと考えられてきたが,これは誤りである。これらは,胆石症,消化性潰瘍 消化性潰瘍 消化性潰瘍は,消化管粘膜の一部,典型的には胃(胃潰瘍)または十二指腸の最初の数cmの部分(十二指腸潰瘍)に生じるびらんで,粘膜筋板を貫通する。ほぼ全ての潰瘍がHelicobacter pylori感染症または非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用に起因する。典型的な症状として心窩部の灼熱痛があり,しばしば食事により軽減する。診断は内視鏡検査とHelicobacter pylori検査による。治療は胃酸分泌の抑制,H... さらに読む 消化性潰瘍 ,および機能性消化管疾患にほぼ同じ頻度で認められる一般的な症状である。

パール&ピットフォール

  • 高脂肪食は胆道仙痛の特異的な原因ではなく,ガス,腹部膨満,および悪心は胆嚢疾患に特異的な症状ではない。

胆道仙痛の重症度や頻度と胆嚢の病理学的変化との間には,ほとんど相関は認められない。胆嚢炎がなくても胆道仙痛を起こすことがある。嘔吐または発熱を伴う仙痛が12時間を超えて持続する場合は,急性胆嚢炎または膵炎である可能性が高い。

診断

  • 超音波検査

胆道仙痛のある患者では,胆石を疑う。腹部超音波検査は,胆嚢結石を検出する上で最初に選択すべき画像検査 MRI 胆道疾患の正確な診断には画像検査が不可欠であり,巣状の肝病変(例,膿瘍,腫瘍)の検出にも重要である。肝細胞障害によるびまん性疾患(例,肝炎,肝硬変)の検出および診断には限界がある。 従来からの超音波検査は,経腹的に施行され,一定時間の絶食を必要とし,構造的な情報は得られるものの,機能的な情報は得られない。一方で胆道系(特に胆嚢)を画像化する検査としては,最も安価で安全かつ最も高感度の方法である。超音波検査は,以下の目的で最善の検査法であ... さらに読む MRI であり,その感度と特異度はともに95%である。超音波検査では胆泥も精度よく検出できる。あるいは,CT,MRI,および経口胆嚢造影(現在ではまれであるが,精度はかなり高い)も別の選択肢である。超音波内視鏡検査は,小さな(3mm未満)胆石も精度よく検出できるため,他の検査で明確な結果が得られない場合に必要となりうる。

臨床検査は通常は参考にならず,典型的には合併症が発生しない限り正常となる。

無症状の胆石および胆泥は,他の理由で施行された画像検査(通常は超音波検査)で偶然発見されることが多い。胆石の約10~15%は石灰化を伴い,単純X線撮影で描出される。

予後

胆石を有する無症状の患者では,年に約2%のペースで症状が出現するようになる。最も一般的な症状は,胆道系の重大な合併症ではなく,胆道仙痛である。胆道系の症状が一旦出現すると,再発の可能性が高く,年に20~40%の患者で疼痛が再発し,約1~2%で,胆嚢炎 急性胆嚢炎 急性胆嚢炎は,数時間で発生する胆嚢の炎症であり,通常は胆石が胆嚢管を閉塞することで生じる。症状としては右上腹部の疼痛および圧痛などがあり,ときに発熱,悪寒,悪心,および嘔吐を伴う。腹部超音波検査により胆石のほか,それに付随する炎症がときに検出される。治療は通常,抗菌薬と胆嚢摘出術である。 (胆道機能の概要も参照のこと。) 急性胆嚢炎は胆石症の最も頻度の高い合併症である。逆に,急性胆嚢炎患者の95%以上に胆石症がみられる。胆嚢管に結石が嵌... さらに読む 総胆管結石症 総胆管結石症および胆管炎 総胆管結石症は,胆管内に結石が存在する病態であり,それらの結石は胆嚢内または胆管内で形成される。結石により胆道仙痛,胆道閉塞,胆石性膵炎,または胆管炎(胆管の感染と炎症)が引き起こされる。胆管炎が発生すると,狭窄,うっ滞,および総胆管結石症につながりうる。診断には通常,磁気共鳴胆道膵管造影またはERCPによる画像検査が必要となる。早期の内視鏡的または外科的減圧が必要である。 (胆道機能の概要も参照のこと。)... さらに読む 胆管炎 総胆管結石症および胆管炎 総胆管結石症は,胆管内に結石が存在する病態であり,それらの結石は胆嚢内または胆管内で形成される。結石により胆道仙痛,胆道閉塞,胆石性膵炎,または胆管炎(胆管の感染と炎症)が引き起こされる。胆管炎が発生すると,狭窄,うっ滞,および総胆管結石症につながりうる。診断には通常,磁気共鳴胆道膵管造影またはERCPによる画像検査が必要となる。早期の内視鏡的または外科的減圧が必要である。 (胆道機能の概要も参照のこと。)... さらに読む 胆石性膵炎 急性膵炎 急性膵炎は,膵臓(および,ときに隣接組織)の急性炎症である。最も頻度が高い誘因は胆石および飲酒である。急性膵炎の重症度は,局所合併症および一過性または持続性の臓器不全の有無に基づいて,軽症,中等症,重症に区分される。診断は臨床像,血清アミラーゼおよびリパーゼ値,ならびに画像検査に基づく。治療は支持療法であり,輸液,鎮痛薬,栄養サポートを行う。急性膵炎の全死亡率は低いが,重症例における罹患率および死亡率はかなり高い。... さらに読む 急性膵炎 などの合併症が発生する。

治療

  • 症状を引き起こしている結石:腹腔鏡下胆嚢摘出術またはときにウルソデオキシコール酸による胆石溶解療法

  • 症状を引き起こしていない結石:待機的管理

症状のない胆石患者の大半は,待機手術に伴う疼痛,費用,リスクを考慮すると,臨床的な疾患に至る可能性はないと考えられる臓器をわざわざ切除する価値はないと判断する。しかしながら,症状が発生すると,疼痛が再発する可能性が高く,重篤な合併症が発生する可能性もあるため,胆嚢切除(胆嚢摘出術)の適応となる。

手術

手術は開腹下または腹腔鏡下で行うことができる。

開腹下胆嚢摘出術では,腹部を大きく切開して直視下での検索が可能であり,安全かつ効果的である。合併症がない時期に待機的にこの手術を施行すれば,全死亡率は約0.1%である。

腹腔鏡下胆嚢摘出術が第1選択の治療である。腹部の小さな切開口を通してビデオ内視鏡と手術器具を使用するため,開腹下胆嚢摘出術と比べて侵襲性が少ない。回復期間もはるかに短く,術後疼痛も小さく,審美面の成績も改善された上,合併症発生率や死亡率が上昇することもない。腹腔鏡下胆嚢摘出術は2~5%の症例で開腹下の手技に変更されるが,その理由は通常,胆道系の解剖を同定できないためか,あるいは合併症を管理できないためである。高齢者では一般的に,手術の種類に関係なくリスクが高くなっている。

胆嚢摘出術には,将来の胆道仙痛を効果的に予防する効果があるが,消化不良などの非典型的症状に対する有効性は低い。胆嚢摘出によって栄養面の問題が生じることはなく,術後の食事制限も不要である。一部の患者で下痢がみられるが,その多くは回腸における胆汁酸塩の吸収不良が顕在化したためである。予防的胆嚢摘出術は,無症状の胆石症患者において大きな(3cm以上)胆石または胆嚢の石灰化(磁器様胆嚢)がみられる場合に限り適応となる;これらの病態は胆嚢癌 胆嚢および胆管の腫瘍 胆嚢および胆管腫瘍は,肝外胆道閉塞を引き起こすことがある。症状がない場合もあるが,全身症状や胆道閉塞を反映した症状を来すことも多い。診断は超音波検査とCT胆道造影または磁気共鳴胆道膵管造影に基づく。予後は極めて不良である。機械的な胆汁ドレナージにより,そう痒,繰り返す敗血症,および胆道閉塞による疼痛をしばしば緩和できる。 (胆道機能の概要も参照のこと。) 胆管癌およびその他の胆管腫瘍はまれであるが(100... さらに読む のリスクを高める。

胆石溶解療法

手術を拒否する患者や手術リスクの高い患者(例,併存疾患または高齢者などの理由ため)では,何カ月にもわたって胆汁酸を経口投与することにより,ときに胆嚢結石を溶解させることが可能となる。この治療に最適な対象は,X線透過性の小さい結石(コレステロールで構成される可能性が高い)があり,胆嚢に閉塞がなく機能が維持されている(胆道シンチグラフィー 胆道シンチグラフィー 胆道疾患の正確な診断には画像検査が不可欠であり,巣状の肝病変(例,膿瘍,腫瘍)の検出にも重要である。肝細胞障害によるびまん性疾患(例,肝炎,肝硬変)の検出および診断には限界がある。 従来からの超音波検査は,経腹的に施行され,一定時間の絶食を必要とし,構造的な情報は得られるものの,機能的な情報は得られない。一方で胆道系(特に胆嚢)を画像化する検査としては,最も安価で安全かつ最も高感度の方法である。超音波検査は,以下の目的で最善の検査法であ... さらに読む 胆道シンチグラフィー または経口胆嚢造影で正常な充満を確認するか,胆嚢頸部に結石のないことを確認する)患者である。

ウルソデオキシコール酸4~5mg/kgの1日2回経口投与または3mg/kgの1日3回経口投与(8~10mg/kg/日)により,直径0.5cm未満の微小結石の80%を6カ月以内に溶解させることができる。より大きな結石(大多数)では,たとえウルソデオキシコール酸をより高用量で使用しても,成功率ははるかに低くなる。さらに,溶解療法が成功した後も,5年以内に50%の患者で結石が再発する。したがって,大半の患者に適応はなく,腹腔鏡下胆嚢摘出術が好まれる。ただし,肥満外科手術後または超低カロリー食により急速に体重が減少している病的肥満の患者では,ウルソデオキシコール酸300mgの1日2回経口投与が結石形成の予防に役立つ可能性がある。

結石破砕法(体外衝撃波砕石術)は,結石の溶解と排除を促進するが,現在では用いられない。

要点

  • 先進国では,成人の約10%と65歳以上の高齢者の20%で胆石がみられるが,その80%は無症状である。

  • 腹部超音波検査では,胆嚢結石の検出において95%の感度および特異度を備えている。

  • 症状(通常は胆道仙痛)が一旦発生すると,1年に20~40%のペースで疼痛の再発がみられる。

  • 症状のある胆石患者の大半は腹腔鏡下胆嚢摘出術で治療する。

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