Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

総胆管結石症および胆管炎

執筆者:

Ali A. Siddiqui

, MD, Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 6月
患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
本ページのリソース

総胆管結石症は,胆管内に結石が存在する病態であり,それらの結石は胆嚢内または胆管内で形成される。結石により胆道仙痛,胆道閉塞,胆石性膵炎,または胆管炎(胆管の感染と炎症)が引き起こされる。胆管炎が発生すると,狭窄,うっ滞,および総胆管結石症につながりうる。診断には通常,磁気共鳴胆道膵管造影またはERCPによる画像検査が必要となる。早期の内視鏡的または外科的減圧が必要である。

結石には以下のものがある:

  • 原発性結石(通常は褐色色素結石),胆管内で形成される

  • 続発性結石(通常はコレステロール結石),胆嚢内で形成されるが胆管内に移動する

  • 遺残結石,胆嚢摘出時に見逃されたもの(3年以内に明らかとなる)

  • 再発結石,術後3年以上経過した後に胆管内に発生する

先進国では,総胆管結石の85%以上が続発性であり,これらの患者には 胆嚢内にも別の結石 胆石症 胆石症は,胆嚢内に1つまたは複数の結石(胆石)が存在する病態である。先進国では,成人の約10%と65歳以上の高齢者の20%で胆石がみられる。胆石は無症状のことが多い。最も一般的な症状は胆道仙痛であり,胆石によって消化不良や高脂肪食に対する不耐症が生じることはない。より重篤の合併症としては,胆嚢炎,ときに感染(胆管炎)を伴う胆道閉塞(胆管内の結石による[総胆管結石症]),胆石性膵炎などがある。診断は通常,超音波検査による。胆石症による症状... さらに読む 胆石症 が存在する。症状のある胆石患者の最大10%では,総胆管結石も存在する。 胆嚢摘出 手術 胆石症は,胆嚢内に1つまたは複数の結石(胆石)が存在する病態である。先進国では,成人の約10%と65歳以上の高齢者の20%で胆石がみられる。胆石は無症状のことが多い。最も一般的な症状は胆道仙痛であり,胆石によって消化不良や高脂肪食に対する不耐症が生じることはない。より重篤の合併症としては,胆嚢炎,ときに感染(胆管炎)を伴う胆道閉塞(胆管内の結石による[総胆管結石症]),胆石性膵炎などがある。診断は通常,超音波検査による。胆石症による症状... さらに読む  手術 後には,うっ滞(例,術後狭窄によるもの)および術後感染のために褐色色素結石が発生することがある。胆嚢摘出後の時間経過とともに,色素性の胆管結石が占める割合が増加していく。

胆管結石は無症状のまま十二指腸まで通過することもある。胆管が部分的に閉塞すると,胆道仙痛が生じる。より完全な閉塞になると,胆管拡張と 黄疸 黄疸 黄疸とは,高ビリルビン血症によって皮膚および粘膜が黄色化した状態である。ビリルビン値が約2~3mg/dL(34~51μmol/L)になると,肉眼的に黄疸が明らかとなる。 (肝臓の構造および機能と肝疾患を有する患者の評価も参照のこと。) ビリルビンの大半は,ヘモグロビンが非抱合型ビリルビン(と他の物質)に分解される際に生成される。非抱合型ビリルビンは,血中でアルブミンと結合して肝臓に輸送され,肝細胞に取り込まれ,グルクロン酸抱合を受けて水... さらに読む 黄疸 を引き起こし,最終的には胆管炎(細菌感染症)を招く。ファーター膨大部を閉塞させる結石は,胆石性膵炎を引き起こす可能性がある。一部の患者(通常は高齢者)では,それまで何の症状も引き起こしていなかった結石による胆道閉塞で受診することもある。

急性胆管炎では,胆管閉塞により十二指腸からの細菌の上行が可能となる。大半(85%)の症例が総胆管結石によるものであるが,胆管閉塞は腫瘍やその他の病態に起因することもある(胆管閉塞の原因 胆管閉塞の原因 胆管閉塞の原因 の表を参照)。よくみられる感染性微生物としては,グラム陰性細菌(例,大腸菌(Escherichia coli),Klebsiella属,Enterobacter属)があり,比較的頻度の低い感染性微生物としては,グラム陽性細菌(例,Enterococcus属)や嫌気性菌の混合感染(例,Bacteroides属,Clostridia属)などがある。症状としては,腹痛,黄疸,発熱または悪寒(Charcot三徴)などがある。腹部に圧痛がみられ,しばしば肝臓の圧痛および腫大も認める(しばしば膿瘍がある)。錯乱および低血圧を呈した場合には,死亡率が約50%となり,高度の障害が予測される。

再発性化膿性胆管炎(oriental cholangiohepatitis,肝結石症)は,肝内での褐色色素結石の形成を特徴とする。この疾患は東南アジアでみられる。病変は胆管内の胆泥と細菌残渣で構成される。低栄養と寄生虫感染(例,肝吸虫[Clonorchis sinensis],タイ肝吸虫[Opisthorchis viverrini])が本疾患の感受性を増大させる。寄生虫感染により,肝内胆管の炎症を伴う閉塞性黄疸,胆管近位部でのうっ滞,結石形成,および胆管炎を引き起こす可能性がある。閉塞,感染,炎症が繰り返し生じることにより,胆管狭窄および胆汁性肝硬変に至る。肝外胆管は拡張する傾向があるが,肝内胆管は胆管周囲の線維化のため直線状に見える。

AIDS関連胆管障害 AIDS胆管障害 AIDS胆管障害(AIDS cholangiopathy)は,様々な日和見感染症によって引き起こされる胆道狭窄に続発する胆道閉塞である。 ( 胆道機能の概要も参照のこと。) 抗レトロウイルス療法が確立される以前は, AIDS患者の25%で胆管障害が発生し,特にCD4陽性細胞数が低い(100/μL未満)患者では非常に多くみられていた。最も一般的な病原体はCryptosporidium... さらに読む または胆管炎では,直接胆道造影で 原発性硬化性胆管炎 原発性硬化性胆管炎(PSC) 原発性硬化性胆管炎(PSC)は,胆管に生じる斑状の炎症,線維化,および狭窄を特徴とする原因不明の疾患である。しかしながら,80%の患者に炎症性腸疾患がみられ,最も多いのは潰瘍性大腸炎である。その他の併存疾患として,結合組織疾患,自己免疫疾患,免疫不全症候群などがあり,ときに日和見感染症を合併することもある。疲労とそう痒が潜行性かつ進行性に発生する。診断は胆道造影(磁気共鳴胆道膵管造影またはERCP)による。進行例は肝移植の適応となる。... さらに読む (PSC)や乳頭部狭窄に類似した異常(すなわち,肝内および肝外胆管に及ぶ多発性の狭窄および拡張)が描出される。病因はおそらく感染であり, サイトメガロウイルス サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV)は,重症度に大きな幅のある感染症を引き起こす。伝染性単核球症に類似するが重度の咽頭炎を欠いた症候群がよくみられる。HIV感染患者とまれに臓器移植レシピエントやその他の易感染性患者において,網膜炎など重度の局所疾患が生じうる。新生児および易感染性患者では,重度の全身性疾患が発生することがある。臨床検査による診断は重症例において役に立ち,培養,血清学的検査,生検,抗原または核酸の検出などを行う。ガンシクロビルお... さらに読む Cryptosporidium属,または 微胞子虫 微胞子虫症 微胞子虫症は,微胞子虫による感染症である。症候性の疾患は主にAIDS患者で発生し,慢性の下痢,播種性感染,角膜疾患などがみられる。診断は生検標本,便,尿,その他の分泌物,または角膜擦過物での虫体の証明による。治療はアルベンダゾールまたはフマギリン(感染種および臨床症候群に応じて)により,眼疾患に対してはフマギリン点眼薬を併用する。 (腸管内寄生原虫および微胞子虫による感染症の概要も参照のこと。)... さらに読む である可能性が最も高い。

診断

  • 肝機能検査

  • 超音波検査

黄疸と胆道仙痛がみられる患者では,総胆管結石を疑うべきである。発熱および白血球増多があれば,さらに急性胆管炎が示唆される。ビリルビン値と特にアルカリホスファターゼ,ALT,およびγ‐グルタミルトランスフェラーゼの検査値の上昇は,肝外閉塞と一致し,結石を示唆する所見であり,特に急性胆嚢炎または胆管炎の特徴がみられる患者では可能性が高い。

超音波検査 超音波検査 胆道疾患の正確な診断には画像検査が不可欠であり,巣状の肝病変(例,膿瘍,腫瘍)の検出にも重要である。肝細胞障害によるびまん性疾患(例,肝炎,肝硬変)の検出および診断には限界がある。 従来からの超音波検査は,経腹的に施行され,一定時間の絶食を必要とし,構造的な情報は得られるものの,機能的な情報は得られない。一方で胆道系(特に胆嚢)を画像化する検査としては,最も安価で安全かつ最も高感度の方法である。超音波検査は,以下の目的で最善の検査法であ... さらに読む 超音波検査 では,胆嚢内の結石を描出でき,ときに総胆管内の結石(精度は低くなる)も描出できる。総胆管は拡張する(胆嚢に異常がなければ直径が6mmを超え,胆嚢摘出後は10mmを超える)。発症後早期(例,1日目)に胆管の拡張がみられなければ,結石はおそらく通過したと考えられる。疑いが残る場合は, 磁気共鳴胆道膵管造影 MRI MRI (MRCP)により非常に高い精度で遺残結石を検出できる。MRCPの結果が不明確な場合は ERCP 内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP) 胆道疾患の正確な診断には画像検査が不可欠であり,巣状の肝病変(例,膿瘍,腫瘍)の検出にも重要である。肝細胞障害によるびまん性疾患(例,肝炎,肝硬変)の検出および診断には限界がある。 従来からの超音波検査は,経腹的に施行され,一定時間の絶食を必要とし,構造的な情報は得られるものの,機能的な情報は得られない。一方で胆道系(特に胆嚢)を画像化する検査としては,最も安価で安全かつ最も高感度の方法である。超音波検査は,以下の目的で最善の検査法であ... さらに読む 内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP) を施行するが,ERCPは診断だけでなく治療にもなる。CTでは,超音波検査よりは精度が劣るものの,肝膿瘍を検出することができる。

急性胆管炎が疑われる場合は,血算および血液培養も必須である。白血球増多がよくみられ,アミノトランスフェラーゼ値は1000IU/Lに達していることもあり,急性の肝壊死を示唆するが,これは微小膿瘍によることが多い。血液培養は抗菌薬を選択する上での参考となる。

治療

  • ERCPと乳頭括約筋切開術

胆道閉塞が疑われる場合,結石を除去するにはERCPと乳頭括約筋切開術が必要である。成功率は90%を超えるが,最大7%の患者で短期的な合併症が生じる(例,出血,膵炎,感染症)。長期的な合併症(例,結石の再発,線維化とそれに伴う胆管狭窄)は,より高い頻度で発生する。腹腔鏡下胆嚢摘出術は,術中胆道造影や総胆管の検索にはあまり適していないが,ERCPと乳頭括約筋切開術の後に待機的に施行することができる。開腹胆嚢摘出術と総胆管の検索は,死亡率と合併症発生率がより高い。胆嚢摘出術に伴う合併症リスクが高い患者(例,高齢者)では,乳頭括約筋切開術単独も別の選択肢となる。

再発性化膿性胆管炎の管理としては,支持療法(例,広域抗菌薬),寄生虫の駆除,ならびに胆管内の結石および残渣の内視鏡的(ERCPを介する)または外科的な除去を目標とする。

要点

  • 先進国では,総胆管結石の85%以上が胆嚢内で形成されて胆管に移動したものであり,大半がコレステロール結石である。

  • 胆道仙痛,原因不明の黄疸,またはアルカリホスファターゼ値およびγ‐グルタミルトランスフェラーゼ値の上昇がみられる患者では,総胆管結石を疑う。

  • 超音波検査を施行し,結論が出ない場合は,MRCPを行う。

  • 閉塞を引き起こす結石を除去するため,ERCPと乳頭括約筋切開術を施行する。

  • 急性胆管炎に対しては,結石を可及的速やかに除去し,抗菌薬を投与する。

患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
家庭版で同じトピック をみる
quiz link

Test your knowledge

Take a Quiz! 
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
TOP