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急性胆嚢炎

執筆者:

Ali A. Siddiqui

, MD, Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 6月

急性胆嚢炎は,数時間で発生する胆嚢の炎症であり,通常は胆石が胆嚢管を閉塞することで生じる。症状としては右上腹部の疼痛および圧痛などがあり,ときに発熱,悪寒,悪心,および嘔吐を伴う。腹部超音波検査により胆石のほか,それに付随する炎症がときに検出される。治療は通常,抗菌薬と胆嚢摘出術である。

胆道機能の概要も参照のこと。)

急性胆嚢炎は胆石症の最も頻度の高い合併症である。逆に,急性胆嚢炎患者の95%以上に胆石症がみられる。胆嚢管に結石が嵌頓して,長時間にわたり閉塞が生じた結果として,急性炎症を来す。また,胆汁うっ滞は炎症性酵素(例,ホスホリパーゼAはレシチンをリゾレシチンに変換し,この物質が炎症を媒介すると考えられる)の分泌を誘発する。

損傷した粘膜では,胆嚢内への液体の分泌量が吸収量を上回るようになる。その結果として生じる膨隆により,さらに炎症メディエータ(例,プロスタグランジン)が放出されて粘膜の損傷が悪化し,虚血を引き起こすが,これら全てが炎症を遷延させる。細菌感染が続発する可能性もある。液体の分泌と炎症の悪循環が放置されると,壊死や穿孔に至る可能性がある。

急性炎症の消失と再発が繰り返されると,胆嚢は線維化が進み,収縮して,正常な胆汁の濃縮と排出が困難となる―慢性胆嚢炎の特徴。

急性無石胆嚢炎

急性無石胆嚢炎は,胆石を伴わない胆嚢炎である。急性胆嚢炎に対する胆嚢摘出術施行例の5~10%を占める。危険因子としては以下のものがある:

その機序にはおそらく,虚血,感染,または胆汁うっ滞のため放出された炎症メディエータが関係すると考えられる。ときに感染微生物を同定できることがある(例,Salmonella属細菌または免疫不全患者でのサイトメガロウイルス)。幼児では,感染微生物を特定できないまま,急性無石胆嚢炎から発熱性疾患が続発する傾向がある。

症状と徴候

大半の患者に胆道仙痛または急性胆嚢炎の発作歴が認められる。胆嚢炎の疼痛は,胆道仙痛と性質および部位が類似するが,持続時間はより長く(6時間以上),より重度である。嘔吐がよくみられ,右肋骨下の圧痛も同様である。数時間以内に,マーフィー徴候(右上腹部の触診時に深い吸気で疼痛が増悪し,吸気が停止する)が現れ,右側上腹部の不随意な筋性防御を伴う。発熱がよくみられ,通常は微熱である。

高齢者では,初発または唯一の症状が全身性で非特異的(例,食欲不振,嘔吐,倦怠感,脱力,発熱)である場合もある。ときに発熱がみられないこともある。

急性胆嚢炎は,85%の患者では無治療で2~3日中に沈静化し,1週間以内に消失する。

合併症

無治療の場合,10%の患者で限局性の穿孔が発生し,1%では遊離穿孔と腹膜炎が生じる。増悪する腹痛,高熱,および悪寒・振戦がみられ,反跳痛またはイレウスを伴う場合は,胆嚢内の蓄膿,壊疽,または穿孔が示唆される。急性胆嚢炎に黄疸または胆汁うっ滞を伴う場合は,総胆管の部分閉塞が発生している可能性が高く,その原因は通常,結石または炎症である。

その他の合併症としては以下のものがある:

  • Mirizzi症候群:まれに,胆石が胆嚢管に嵌頓し,総胆管を圧迫および閉塞させることにより,胆汁うっ滞を引き起こす。

  • 胆石性膵炎:胆嚢から胆管まで通過した胆石が膵管を遮断する。

  • 胆嚢小腸瘻:大きな結石が胆嚢壁を浸食することで小腸内(または腹腔内の他の部位)に通じる瘻孔が形成され,結石は自由に通過することもあれば,小腸を閉塞させることもある(胆石イレウス)。

急性無石胆嚢炎

症状は胆石を伴う急性胆嚢炎と同様であるが,重症(例,ICU内)であることが多く,明確なコミュニケーションはとれないことがある。腹部膨隆または原因不明の発熱が,唯一の手がかりのこともある。無治療では,疾患が急速に進行して胆嚢の壊疽および穿孔を来し,敗血症,ショック,および腹膜炎に至り,死亡率は65%に達する。

パール&ピットフォール

  • 無石胆嚢炎のリスク(例,重症疾患,絶食中,または易感染性患者)がある患者は,本疾患の微妙な徴候(例,腹部膨隆,原因不明の発熱)について注意深くモニタリングする。

診断

  • 超音波検査

  • 超音波検査の結果が不明確な場合,または無石胆嚢炎が疑われる場合は,胆道シンチグラフィー

症状と徴候に基づいて急性胆嚢炎を疑う。

胆石を検出する上では経腹的超音波検査が最良の検査である。超音波検査では,胆嚢がある部位で局所的な腹部圧痛を認めることもある(ultrasonographic Murphy sign)。胆嚢周囲貯溜液または胆嚢壁の肥厚は急性炎症を示唆する。

結果が不明確な場合は,胆道シンチグラフィーが有用であり,放射性核種で胆嚢が充満されない場合には胆嚢管の閉塞(すなわち嵌頓結石)が示唆される。以下の要因により偽陽性となることがある:

  • 重症疾患

  • 経口摂取なしのTPN(胆嚢のうっ滞により充満が阻止されるため)

  • 重症肝疾患(肝臓から放射性核種が分泌されないため)

  • 括約筋切開術の既往(胆嚢でなく十二指腸への排出が促進されるため)

モルヒネを使用すると,Oddi括約筋の緊張が亢進して充満が促進されるため,偽陽性の結果を排除することができる。

腹部CTでは,胆嚢穿孔や膵炎などの合併症を同定できる。

臨床検査を施行するが,診断には至らない。左方移動を伴う白血球増多がよくみられる。合併症のない急性胆嚢炎では,肝機能検査は正常か軽度の上昇がみられるのみである。胆汁うっ滞性の軽度の異常(ビリルビン値が4mg/dL以下で軽度のアルカリホスファターゼ高値を認める)がよくみられ,おそらくは機械的閉塞よりむしろ肝臓に影響を及ぼす炎症メディエータを示唆する。より著明な上昇,特に2倍を超えるリパーゼ値(アミラーゼ値は特異度が低い)の上昇を認めた場合は,胆管閉塞が示唆される。結石が胆道を通過すると,アミノトランスフェラーゼ値(ALT,AST)が上昇する。

急性無石胆嚢炎

胆石はみられないが,ultrasonographic Murphy signまたは胆嚢壁の肥厚および胆嚢周囲の液体貯留がある場合は,急性無石胆嚢炎が示唆される。胆嚢の拡張,胆泥,および胆嚢壁の肥厚がみられるが,胆嚢周囲の液体貯留を伴わない場合(アルブミンの低下または腹水による)は,単に何らかの重症疾患が原因であることもある。

CTでは,胆道系以外の異常を同定できる。胆道シンチグラフィーはさらに役立ち,放射性核種の充満がみられないことは,浮腫性の胆嚢管閉塞を意味している場合がある。モルヒネを投与すれば,胆嚢でのうっ滞による偽陽性を排除する助けとなる。

治療

  • 支持療法(水分補給,鎮痛薬,抗菌薬)

  • 胆嚢摘出術

管理には入院,輸液,NSAID(ケトロラク)やオピオイドなどの鎮痛薬投与が含まれる。経口摂取を禁止し,嘔吐またはイレウスがみられる場合は経鼻胃管吸引を開始する。通常は,想定される感染症の治療として抗菌薬の静脈内投与を開始するが,これが有益であることを示すエビデンスはない。経験的投与として,グラム陰性腸内細菌を標的とする,セフトリアキソン2g,24時間毎 + メトロニダゾール500mg,8時間毎の併用,ピペラシリン/タゾバクタム4g,6時間毎,またはチカルシリン/クラブラン酸4g,6時間毎などの静注レジメンがある。

胆嚢摘出術により急性胆嚢炎は治癒し,胆道痛が軽減する。一般に早期の胆嚢摘出術が好ましく,以下の状況では最初の24~48時間以内に施行するのが最適である:

  • 診断が明確で,患者の手術リスクが低い。

  • 患者が高齢であるか糖尿病があり,そのため感染性合併症のリスクが高い。

  • 胆嚢蓄膿症,壊疽,穿孔,または無石胆嚢炎がある。

手術リスクを高める重度の慢性疾患(例,心肺系)がある場合は,手術を遅らせてもよい。このような患者では,内科的治療で併存疾患が安定するか,胆嚢炎が消失するまで,胆嚢摘出術を延期する。胆嚢炎が消失したら,6週間以上経過後に胆嚢摘出術を施行してもよい。手術を遅らせる場合,胆道系合併症の再発リスクが持続する。

高齢患者,無石胆嚢炎の患者,熱傷,外傷または呼吸不全のためにICUで管理されている患者など,手術リスクが非常に高い患者では,経皮的胆嚢瘻造設術が胆嚢摘出術の代わりとなる。

要点

  • 急性胆嚢炎患者の大半(95%以上)に胆石症がみられる。

  • 高齢者では,胆嚢炎の症状は非特異的(例,食欲不振,嘔吐,倦怠感,筋力低下)となることがあり,発熱を欠くこともある。

  • 85%の患者では急性胆嚢炎は自然に消失するが,10%では限局性の穿孔やその他の合併症が発生する。

  • 超音波検査を施行し,結果が不明確な場合は,胆道シンチグラフィーを行う。

  • 輸液,抗菌薬,および鎮痛薬で治療し,状態が安定していれば,胆嚢摘出術を施行する。

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