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門脈血栓症

執筆者:

Nicholas T. Orfanidis

, MD,

  • Thomas Jefferson University Hospital

最終査読/改訂年月 2016年 8月
本ページのリソース

門脈血栓症は,門脈圧亢進症を引き起こし,それにより通常は下部食道または胃の静脈瘤からの消化管出血を引き起こす。診断は超音波検査に基づく。治療としては,静脈瘤出血を(通常は内視鏡的結紮術,オクトレオチドの静注,またはその両方で)制御するとともに,β遮断薬のほか,ときには外科的シャントや急性血栓症に対する血栓溶解療法を用いて再発を予防する。

肝臓の血管障害の概要も参照のこと。)

病因

一般的な原因は年齢層により異なる( 門脈血栓症の一般的な原因*を参照のこと)。

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門脈血栓症の一般的な原因*

年齢層

原因

備考

新生児

臍帯断端での感染または臍炎(臍静脈から門脈に進展する)

先天性の門脈異常(まれ)

門脈の先天異常は通常,他の部位の先天異常に付随して起こる。

より年長の小児

門脈炎

急性虫垂炎では,感染微生物が門脈系に侵入し,その血管感染/炎症が血栓症の引き金となる。

成人

手術(例,脾臓摘出術)

凝固亢進状態(例,骨髄増殖性疾患,プロテインCまたはS欠乏症,妊娠)

癌(例,肝細胞癌,膵癌,腎癌,副腎癌)

外傷

門脈圧亢進症によって,うっ血およびうっ滞が引き起こされることがある。

*原因は大半の症例で多因子からなり,約3分の1の症例では不明である。

症状と徴候

急性門脈血栓症は,膵炎(原因)など他の障害が併存する場合と腸間膜静脈血栓症などの他の合併症がある場合を除いて,一般的には無症状である。ほとんどの場合,臨床的な特徴―脾腫(特に小児)と静脈瘤出血―は門脈圧亢進症の二次的な現象として,一定の期間をかけて発生する。腹水は後類洞性門脈圧亢進症ではまれ(10%)である。腹水は,肝硬変が併存する場合,または消化管からの大出血に対して高用量の急速輸液後に血清アルブミン値(およびそれに伴う膠質浸透圧)が低下した場合に,発生することがある。

診断

以下がみられる患者では,門脈血栓症を疑う:

  • 肝硬変を伴わずに門脈圧亢進症の症状がある

  • 肝機能または酵素に軽度の異常があり,かつ新生児の臍帯感染,小児期の虫垂炎,または凝固亢進性の疾患などの危険因子がある場合

ドプラ超音波検査は通常,診断に有用であり,門脈血流の低下または欠如や,ときに血栓が描出される。難しい症例ではMRIまたは造影CTが必要となりうる。短絡手術のガイドに血管造影が必要になることがある。

治療

  • 急性の症例には,血栓溶解療法

  • 長期の抗凝固療法

  • 門脈圧亢進症とその合併症の管理

急性の場合,ときに血栓溶解療法が有効であり,発生して間もない閉塞(特に凝固亢進状態のある場合)に最適である。抗凝固療法については,血栓を溶解することはできず,静脈瘤出血のリスクもあるが,凝固亢進状態での長期的予防という観点では一定の価値がある。新生児および小児では,原因(例,臍炎,虫垂炎)に対する治療を行う。それ以外の場合は,門脈圧亢進症とその合併症を中心とした管理を行い,治療法としては,静脈瘤出血を制御するためのオクトレオチド(ソマトスタチンの合成アナログ)の静注および内視鏡的結紮術や,再出血を予防するための非選択的β遮断薬などがある。これらの治療法の導入により,閉塞を引き起こす可能性があり5~50%の手術死亡率がある外科的シャント(例,腸間膜静脈下大静脈,脾腎シャント)の施行数が減少している。経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)は推奨されない。TIPSでは開存性を確認するためのモニタリング(頻繁な血管造影を含む)が必要であるほか,血流が遮断される可能性があり,また肝臓を十分に減圧できない場合もある。

要点

  • 門脈血栓症の原因および危険因子には,臍帯感染(新生児),虫垂炎(小児),凝固亢進状態(成人)などがある。

  • 肝硬変のない患者に門脈圧亢進症の症状がみられた場合,または危険因子のある患者に軽度で非特異的な肝臓の異常がみられた場合には,門脈血栓症を疑う。

  • ドプラ超音波検査,または明確な結果が得られない場合にはMRIもしくはCTを用いて,診断を確定する。

  • 門脈血栓症の原因と門脈圧亢進症の合併症を治療する。

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