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家族性大腸腺腫症

執筆者:

Elliot M. Livstone

, MD, Sarasota Memorial Hospital, Sarasota, FL

最終査読/改訂年月 2017年 1月
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家族性大腸腺腫症は,多数の結腸ポリープが形成され,40歳までに結腸癌が発生する遺伝性疾患である。患者は通常,無症状であるが,便潜血陽性を認めることがある。診断は大腸内視鏡検査および遺伝子検査による。治療は結腸切除術である。

家族性大腸腺腫症(FAP)は,100個以上の腺腫性ポリープが結腸および直腸の一面を覆うように生じる常染色体優性遺伝疾患である。この疾患は8000~14,000人に1人の頻度で発生する。ポリープは50%の患者で15歳までに,95%の患者で35歳までに認められる。未治療の患者ではほぼ全例で,40歳までに癌が生じる。

また,良性および悪性の様々な結腸外症状が生じる可能性がある(以前はガードナー症候群と呼ばれていた)。良性の臨床像としては,デスモイド腫瘍,頭蓋または下顎の骨腫,脂腺嚢腫,消化管の他の部位に生じる腺腫などがある。患者では,癌のリスク上昇が十二指腸(5~11%),膵臓(2%),甲状腺(2%),脳(1%未満髄芽腫),および肝臓(5歳未満の小児の0.7%で肝芽腫)で認められる。

症状と徴候

患者の多くは無症状であるが,下血(典型的には潜血)が起こる。

診断

  • 大腸内視鏡検査

  • 患者および第1度近親者の遺伝子検査

  • 患者の子を対象とする肝芽腫のスクリーニング

家族性大腸腺腫症の診断は,大腸内視鏡検査の所見でポリープが100個を超えることによる。診断された患者には,具体的な突然変異を同定するために遺伝子検査を行うべきであり,続いて第1度近親者でも同変異を検索すべきである。遺伝子検査が行えない場合は,近親者を対象とした年1回のS状結腸鏡検査によるスクリーニングを12歳から開始し,10年毎に頻度を減らしていく。50歳までにポリープが認められない場合,その後のスクリーニング頻度は平均リスクの患者と同じとする。

FAP患者を親にもつ小児は,出生から5歳まで年1回,血清α-フェトプロテイン値,および場合によっては肝臓の超音波検査により肝芽腫のスクリーニングを行うべきである。

治療

  • 結腸切除術

  • 残存消化管に対する内視鏡検査によるサーベイランス

  • おそらくアスピリンまたはコキシブ系薬剤

結腸切除術は診断時に行うべきである。回腸瘻造設術または直腸粘膜切除術 + 回腸嚢作製のいずれかを併施する大腸全摘術により,結腸癌および直腸癌のリスクが消失する。回腸直腸吻合術を併施する結腸亜全摘術(直腸を残して結腸のほとんどを切除)を行う場合には,残存直腸を3~6カ月毎に検査する必要があり,新しいポリープは切除するか,高周波電流で破壊する必要がある。アスピリンまたはコキシブ系薬剤がポリープの新規形成を阻害する可能性がある。新しいポリープの出現が早すぎるか多すぎて除去できない場合は,直腸切除術と永久的回腸瘻造設術が必要となる。

結腸切除後は,上部消化管内視鏡的サーベイランスを周期的間隔で施行すべきである。American College of GastroenterologyのGuidelines for genetic testing and management of hereditary GI cancer syndromes(2015年版)では,25~30歳で十二指腸鏡を含む上部消化管内視鏡検査を開始し,十二指腸ポリポーシスの段階に応じて6カ月~4年毎にサーベイランスを繰り返すよう推奨している。また,年1回の甲状腺診察と超音波検査によるスクリーニングも推奨される。

要点

  • 家族性大腸腺腫症(FAP)は,100個以上の腺腫性ポリープが結腸および直腸の一面を覆うように生じる常染色体優性遺伝疾患である。

  • ほぼ全ての患者が40歳までに結腸癌を発症するため,通常,診断時に大腸全摘術を行う。

  • 患者は他の癌,特に十二指腸癌のリスクが上昇しており,また膵臓,甲状腺,脳,肝臓も癌のリスクが上昇している。

  • 治療後,他の癌および上部消化管のポリープ発生について定期的にスクリーニングを行う。

  • FAP患者を親にもつ小児は,出生から5歳まで肝芽腫のスクリーニングを行うべきである。

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