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憩室炎

執筆者:

Michael C. DiMarino

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2013年 6月
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憩室炎は憩室の炎症で,腸壁の蜂窩織炎,腹膜炎,穿孔,瘻孔または膿瘍を生じうる。主な症状は腹痛である。診断はCTによる。治療は腸管安静,抗菌薬(シプロフロキサシン,または第3世代セファロスポリン系薬剤+ メトロニダゾール)により,ときに手術による。

憩室炎は,憩室に微小または巨大穿孔が生じ,腸内細菌が放出された場合に起こる。結果として生じる炎症は,約75%の患者で局所に限局する。残りの25%では膿瘍,腹腔内遊離穿孔,腸閉塞,または瘻孔を来すことがある。最もよくみられる瘻孔は膀胱が関与するものであるが,小腸,子宮,腟,腹壁,場合によっては大腿にも及ぶことがある。

憩室炎は高齢患者で最も重篤となりやすく,特にプレドニゾンや感染リスクを増加させる他の薬剤を服用している患者で重篤化しやすい。重篤な憩室炎は,ほぼ全例がS状結腸に発生する。

症状と徴候

憩室炎は通常,左下腹部の疼痛または圧痛と発熱で発症する。腹膜刺激徴候(例,反跳痛または筋性防御)を認めることがある(特に膿瘍または遊離穿孔を伴う場合)。瘻孔は,気尿症,汚濁した帯下,または腹壁,会陰,大腿部の皮膚もしくは筋膜の感染として顕在化することがある。腸閉塞を起こした患者では,悪心,嘔吐,および腹部膨隆がみられる。出血はまれである。

診断

  • 腹部CT

  • 回復後に大腸内視鏡検査

既知の憩室症を有する患者では,臨床的疑いが高い。しかしながら,他の疾患(例,虫垂炎,結腸癌,卵巣癌)も同様の症状を引き起こすことがあるため,検査が必要である。経口および静注造影剤を用いた腹部CTが望ましいが,約10%の患者では所見を結腸癌と鑑別することができない。確定診断には,急性感染の消失後に大腸内視鏡検査を行う必要がある。

治療

  • 重症度によって異なる

  • 軽症例には流動食,経口抗菌薬

  • より重症例には抗菌薬の静注,絶食

  • 膿瘍のCTガイド下経皮的ドレナージ

  • ときに手術

非常に重症でなければ,自宅安静の上,流動食および経口抗菌薬(例,シプロフロキサシン500mg,1日2回,アモキシシリン/クラブラン酸500mg,1日3回 + メトロニダゾール500mg,1日4回)により治療する。通常,症状は速やかに軽快する。最近の一部のデータから,患者によっては合併症のない軽度の急性憩室炎から抗菌薬療法なしで回復する場合があることが示唆されている。柔らかい低繊維食を段階的に導入して,4~6週間継続する。6~8週間後に大腸内視鏡検査または下部消化管造影で大腸の評価を行うべきである。1カ月後に高繊維食を再開する。

より重度の症状(例,疼痛,発熱,著明な白血球増多)を呈する患者は,プレドニゾンを使用している患者(穿孔や汎発性腹膜炎のリスクが高い)と同様,入院させるべきである。治療は臥床安静,絶食,輸液,および抗菌薬の静脈内投与(例,セフタジジム1g,静注,8時間毎 + メトロニダゾール500mg,静注,6~8時間毎)である。

約80%の患者は手術を施行することなく良好に治療される。膿瘍は経皮的ドレナージ(CTガイド下)に反応する場合がある。反応が良好であれば,症状が軽減して柔らかい食事が再開されるまで入院を続ける。症状消失後4週間以上経過してから大腸内視鏡検査または下部消化管造影を行う。

手術

遊離穿孔または汎発性腹膜炎が起きた患者と,手術によらない治療で48時間以内に反応がみられない重度の症状がみられる患者には,直ちに手術を行う必要がある。手術を要するその他の徴候として,悪化する疼痛,圧痛,および発熱がある。以下のいずれかがある場合も手術を考慮すべきである:軽度の憩室炎の発作が過去に3回以上(または50歳未満の患者では1回の発作);持続性の圧痛を呈する腫瘤;癌を示唆する臨床,内視鏡検査,X線での徴候;男性(または子宮摘出術を受けた女性)における,憩室炎に関連した排尿困難または気尿症(この症状は膀胱への瘻孔形成または穿孔の前兆である可能性があるため)。

結腸の病変部を切除する。穿孔,膿瘍,有意な炎症がいずれもない健康な患者では,断端を直ちに再吻合できる。それ以外の患者では一時的人工肛門造設術を行い,炎症が鎮静し全身状態が改善した後に,二期的に吻合する。

要点

  • 憩室症は大腸に憩室が多発した状態であり,憩室炎は憩室の炎症である。

  • 憩室炎は,憩室が穿孔し,腸内細菌が放出された場合に起こる。

  • 炎症は約75%の患者では局所に限局するが,それ以外の患者では膿瘍形成,腹腔内遊離穿孔,腸閉塞,または瘻孔形成が生じる。

  • 診断は経口および静注造影剤を用いた腹部CTにより,回復から6~8週間後に確定診断のために大腸内視鏡検査を行う。

  • 管理は重症度によるが,典型的には抗菌薬および,ときに経皮的または外科的ドレナージを行う。

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