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メッケル憩室

(メッケル憩室)

執筆者:

Michael C. DiMarino

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2013年 6月
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メッケル憩室は,遠位回腸に先天性に生じる袋状の構造であり,一般集団の2~3%にみられる。通常は回盲弁から100cm以内にあり,しばしば異所性の胃組織,膵組織,またはその両方を有する。症状はまれであるが,出血,腸閉塞および炎症(憩室炎)などである。診断は困難で,しばしば核医学検査およびバリウム検査を行う。治療は外科的切除である。

病態生理

胎生初期に卵黄管は回腸末端から臍部と卵黄嚢に通じており,卵黄管は正常では7週目までに消失する。回腸との連結部が萎縮しなければ,メッケル憩室が生じる。この先天性憩室は腸管の腸間膜対側から発生し,正常腸管の全層を有する。また約50%の憩室には,胃(したがって塩酸を分泌する壁細胞を含む),膵臓,またはその両方の異所性組織が含まれている。

メッケル憩室を呈する人の合併症発生率は約2%に過ぎない。憩室の発生率に男女差は認められないが,合併症が発生する可能性は男性で2~3倍高い。合併症としては以下のものがある:

  • 出血

  • 閉塞

  • 憩室炎

  • 腫瘍

出血は,幼児(5歳未満)により多く,憩室内の異所性胃粘膜から分泌される胃酸によって隣接する回腸組織に潰瘍が生じた場合に起こる。腸閉塞はいずれの年齢でも起こりうるが,児童と成人でより多くみられる。小児では,閉塞は憩室の腸重積症に起因する可能性が最も高い。腸閉塞はまた,癒着,腸捻転,異物残存,腫瘍,または嵌頓ヘルニア(Littreヘルニア)から発生することもある。急性のメッケル憩室炎はいずれの年齢でも起こりうるが,発生率のピークは児童期にみられる。カルチノイドなどの腫瘍はまれであり,主に成人で発生する。

症状と徴候

いずれの年齢でも,腸閉塞は痙攣性の腹痛,悪心,および嘔吐を引き起こす。急性のメッケル憩室炎は,臍の下または左側に典型的に限局する腹痛および圧痛を特徴とし,しばしば嘔吐を伴い,痛みの部位を除けば虫垂炎に類似する。

小児で無痛性の鮮紅色の下血が繰り返し起こることがあり,通常これはショックを引き起こすほど重度ではない。成人でも出血が起こることがあり,典型的には明白な出血ではなく黒色便を来す。

診断

  • 症状に基づく

  • 出血に対する核医学検査

  • 疼痛に対するCT

診断は困難であり,検査は主症状に基づいて選択する。下血がメッケル憩室に起因すると疑われる場合は,過テクネチウム酸ナトリウム(99mTc)を用いたシンチグラフィーで異所性胃粘膜(すなわち憩室)を同定できることがある。腹痛および局所の圧痛がみられる患者には,経口造影剤を用いたCTを施行すべきである。嘔吐および腸閉塞の徴候が優勢な場合は,臥位および立位で腹部X線撮影を行う。ときに虫垂炎を想定した外科的検索時に初めてメッケル憩室が診断されることもあるため,虫垂が正常と判明した場合は,必ずメッケル憩室を疑うべきである。

治療

  • 手術

メッケル憩室に起因する腸閉塞を来した患者には,早期の手術が必要である。腸閉塞の治療の詳細については, 腸閉塞 : 治療

隣接する回腸組織の硬結を伴った出血性憩室には,腸管の硬化部および憩室の切除が必要となる。回腸の硬結を伴わない出血性憩室は,憩室の切除のみが必要である。

メッケル憩室炎でも切除が必要である。開腹手術時に偶然発見された小さな無症候性の憩室については,切除する必要はない。

要点

  • メッケル憩室は,遠位回腸に先天性に生じる袋状の構造であり,その頻度は高く,ときに出血,炎症,または閉塞を起こす。

  • 憩室の約半数は,塩酸を分泌する異所性の胃組織を含んでおり,隣接する回腸組織に潰瘍を引き起こす可能性がある。

  • 虫垂炎に類似した疼痛が生じる場合もあれば,疼痛なく出血を認めることもある。

  • 主症状に基づいて検査を選択する。

  • 症状を伴う憩室は外科的に除去するが,偶然発見された無症候性の憩室は切除不要である。

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