嚢胞性線維症

執筆者:Beryl J. Rosenstein, MD, Johns Hopkins University School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 2月
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嚢胞性線維症は,主に消化器系と呼吸器系を侵す外分泌腺の遺伝性疾患である。慢性肺疾患,膵外分泌機能不全,肝胆道疾患,および汗の電解質濃度の異常高値を引き起こす。診断は,新生児スクリーニング検査で陽性と判定された患者または特徴的な臨床的特徴を認める患者において,汗試験を行うか,嚢胞性線維症の原因遺伝子変異を2つ同定することによる。治療は,積極的な集学的ケアと嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR:cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)タンパク質の異常を標的とする低分子薬(correctorおよびpotentiator)による対症療法である。

嚢胞性線維症(CF)は,生命を脅かす遺伝性疾患として白人集団で最もよくみられる。米国での発生頻度は,白人で出生約3300人当たり1例,黒人で出生15,300人当たり1例,アジア系米国人で出生32,000人当たり1例である。治療および余命が改善されたことにより,米国におけるCF患者の約54%が成人である。

病因

白人人口の約3%が常染色体劣性の形質としてCFを保因している。責任遺伝子は7番染色体長腕に位置している。この遺伝子は,嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR:cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)と呼ばれる膜関連タンパク質をコードしている。最も頻度の高い遺伝子変異であるF508delがCFアレルの約85%にみられるが,その他に頻度の低いCFTR変異が2000以上同定されている。

CFTRはサイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)に調節される塩素イオンチャネルであり,上皮膜を通過する塩化物,ナトリウム,および重炭酸イオンの輸送を調節している。さらに,いくつかの別の機能も担っている可能性が高い。ホモ接合体でのみ疾患として発症する。ヘテロ接合体は上皮の電解質輸送にわずかな異常を示すことがあるが,臨床的には影響がない。

CFTR変異は,その変異がCFTRタンパク質の機能や処理にどのような影響を及ぼすかに応じて,6つのクラスに分類されてきた。クラスI,II,IIIの変異を有する患者は,CFTRの機能が大部分または完全に消失した重症の遺伝子型を有しているとみなされる一方,クラスIV,VまたはVIの変異を1つまたは2つ有する患者は,CFTRの機能が残存する比較的軽症の遺伝子型を有しているとみなされる。ただし,特定の変異と疾患の臨床像との間に厳密な関係はないため,遺伝子型よりも臨床検査の結果(すなわち臓器機能)の方が予後のより良い指標となる。CFTR変異には,フレームシフト(DNA配列の欠失または挿入により,配列の読み取られ方が変化する)変異とナンセンス(終止)変異がある。

病態生理

分布および重症度は多様であるが,ほぼ全ての外分泌腺が障害される。分泌腺は以下の様相を呈することがある:

  • 管腔(膵臓,腸腺,肝内胆管,胆嚢,顎下腺)内の粘稠または固形の好酸性物質によって閉塞する

  • 組織学的に異常な様相を呈し,分泌物を過剰に産生する(気管気管支腺およびBrunner腺)

  • 組織学的に正常な様相を呈するが,ナトリウムおよび塩化物イオンを過剰に分泌する(汗腺,耳下腺,小唾液腺)

呼吸器

出生時の肺は概ね組織学的に正常であるが,ほとんどの患者は乳幼児期から肺疾患を発症する。著明な炎症反応を伴う粘液栓子および慢性細菌感染により気道が損傷し,最終的には気管支拡張症および呼吸機能不全を来す。経過は,感染を伴う時折の増悪,および進行性の肺機能低下が特徴である。

肺障害はおそらく,異常に粘稠度の高い粘液分泌物による末梢気道のびまん性閉塞が引き金となる。細気管支炎と気道の粘液膿性栓子が閉塞および感染症に続発して生じる。気道細胞によるプロテアーゼおよび炎症性サイトカインの放出に続く慢性炎症もまた肺損傷の一因となる。実質の変化よりも気道の変化が多くみられ,気腫は顕著ではない。約50%の患者には気管支過敏性がみられるが,これには気管支拡張薬が奏功しうる。

肺疾患進行例では,慢性的な低酸素血症により肺動脈の筋肥大,肺高血圧,右室肥大が生じる。

ほとんどの患者の肺には,病原菌が定着している。経過の初期には,黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が最も多い病原菌であるが,病状が進行するにつれ,緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が高頻度に分離される。緑膿菌(P. aeruginosa)のムコイド型はCFに特異的に関連し,非ムコイド型のP. aeruginosaと比べて予後不良である。

米国では,気道中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)(MRSA)の保有率は現在約27%を超えている;MRSAに慢性的に感染している患者では非感染患者に比べてより急速な肺機能の低下がみられ,生存率も低い。

Burkholderia cepacia complexの定着が成人患者の約2.6%にみられ,より急速な肺病変の悪化に関連している可能性がある。

Mycobacterium avium complexおよびM. abscessusなどの非結核性抗酸菌は,呼吸器系病原菌の可能性がある。保有率は年齢および地域によって異なり,おそらく10%を超える。定着と感染との鑑別は困難である。

その他の頻度の高い呼吸器系の病原体としては,Stenotrophomonas maltophiliaAchromobacter xylosoxidansAspergillus属などがある。

消化管

膵臓,腸管,および肝胆道系が高頻度に侵される。膵外分泌機能が患者の85~95%で障害される。例外は特定の「軽症」CFTR変異患者で,この集団では膵機能が障害されない。膵機能不全患者では,脂肪,脂溶性ビタミン,およびタンパク質の吸収不良がみられる。十二指腸液は異常に粘稠となり,酵素活性が消失または減少し,重炭酸イオン濃度が低下する;また便中トリプシンおよびキモトリプシンも消失または減少する。膵内分泌機能障害の頻度は下がるものの,小児の約2%,青年の20%,成人の最大50%で耐糖能障害または糖尿病がみられる。

胆汁うっ滞および胆汁栓を伴う胆管病変によって30%の患者に無症候性の肝線維化が起こる。通常は12歳までに,約2~3%の患者は静脈瘤および門脈圧亢進症を伴う不可逆的で多結節性の胆汁性肝硬変へ進行する。肝細胞不全はまれであり,晩期の事象である。通常無症候性であるが,胆石症の発生率の上昇がみられる。

異常な粘稠性を示す腸分泌物によって,新生児での胎便性イレウスおよびときに結腸の胎便栓が引き起こされる可能性がある。より年長の小児および成人では,間欠性または慢性の便秘および腸閉塞がみられることもある。

消化管の他の問題として,腸重積症,捻転,直腸脱,虫垂周囲膿瘍,膵炎肝胆道系のがんおよび消化管のがん(膵癌を含む)のリスク増大,胃食道逆流症,食道炎などがあり,クローン病セリアック病の有病率が高くなる。

その他

成人男性の98%において,精管の発育異常またはその他の形態の閉塞性無精子症に続発して不妊が生じる。女性においては,粘稠な子宮頸管分泌物のために二次的に妊孕性がやや低下するものの,多くの女性が満期まで妊娠を持続している。母体と新生児両方に関する妊娠の転帰は,母体の健康に関連する。

その他の合併症には,骨減少症/骨粗鬆症,うつ病および不安,慢性疼痛,閉塞性睡眠時無呼吸症やその他の睡眠障害,腎結石,透析依存になる慢性腎臓病(CFだけでなく治療にも関連している可能性がある),鉄欠乏性貧血,間欠性の関節痛/関節炎などがある。

症状と徴候

呼吸器

新生児スクリーニングで診断されなかった患者の50%が肺症状を呈し,それはしばしば乳児期に始まる。反復性または慢性の感染症が咳嗽,喀痰産生,および喘鳴により明らかとなる場合が多い。咳嗽は最も厄介な愁訴であり,しばしば痰,空嘔吐,嘔吐,睡眠障害を伴う。病状の進行とともに,肋間陥凹,呼吸補助筋の使用,樽状胸部変形,ばち指,チアノーゼ,および運動耐容能の低下がみられるようになる。上気道の疾患としては,鼻茸および慢性または反復性の副鼻腔炎などがある。

肺の合併症として,気胸非結核性抗酸菌感染症喀血アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA),肺高血圧症に続発する右心不全などがある。

消化管

粘稠な胎便による回腸の閉塞に起因する胎便性イレウスが最も初期の徴候であり,CF罹患新生児の13~18%にみられる。典型的な症状は,腹部膨隆,嘔吐,および胎便排泄がないことである。腹膜炎およびショックの徴候とともに,腸穿孔がみられる乳児もいる。胎便栓症候群の乳児では,胎便の排泄が遅延する。閉塞と同様の徴候がみられるか,または非常に軽度かつ一過性の見逃される症状がみられることもある。より年長の患者では,便秘のエピソードがみられるか,または小腸や大腸の部分もしくは完全閉塞の反復性ときに慢性のエピソードが発生することもある(遠位腸閉塞症候群)。症状としては,痙攣性の腹痛,排便パターンの変化,食欲減退などのほか,ときに嘔吐もみられる。

胎便性イレウスのみられない乳児では,生理的体重減少【訳注:生後2〜5日までにおこる10%未満の体重減少。通常,生後4~5日で減少のピークを迎え,生後7日目には出生時体重に回復する。】からの回復の遅れおよび生後4~6週時の体重増加不良が,発症の前兆となる場合がある。

ときに,低栄養の乳児,特に低アレルゲン乳または大豆乳を使用している乳児は,タンパク質吸収不良に続発する全身性浮腫を呈する。

膵機能不全は,通常は生後早期から臨床的に明らかであり,進行する可能性がある。臨床像としては,悪臭を伴う脂ぎった大量の便の頻繁な排出や腹部膨隆などがあり,また食欲が正常あるいは旺盛であるにもかかわらず,皮下組織および筋肉量の減少を伴う不良な成長パターンを示すこともある。臨床症状が脂溶性ビタミンの欠乏に続発して生じることがある。

無治療の乳幼児の20%において直腸脱が起こる。胃食道逆流症が小児および成人で比較的よくみられる。

その他

暑い天気あるいは発熱に伴う大量発汗により,低ナトリウム/低クロール血症を伴う脱水と循環不全が生じることがある。乾燥気候においては,乳児は慢性的な代謝性アルカローシスを呈することがある。皮膚上での塩の結晶形成および肌の塩辛さはCFを強く示唆する。青年では成長遅滞と思春期発来の遅れがみられることがある。

診断

  • 新生児スクリーニング

  • 出生前スクリーニング検査陽性,家族歴,または症状によっても診断が示唆される。

  • 診断は,汗試験で汗中塩化物イオン(クロライド)濃度の上昇が2回示されることで確定となる。

  • CFの原因変異が2つ(各染色体に1つずつ)認められれば,本疾患の診断と一致する。

  • 非典型例では,鼻上皮を通過する異常なイオン輸送またはICM(intestinal current measurement)の異常が示されることによってまれに確定する。

CFの大半の症例が新生児スクリーニングにより最初に同定されるが,最大10%は青年期または成人期早期になって初めて診断される。遺伝子検査の進歩にもかかわらず,汗中塩化物イオン濃度の測定がその感度と特異度,簡便性,利用可能性から,依然としてほとんどの症例でCFの確定診断を下す際の標準的な方法となっている。

新生児スクリーニング

米国では現在,CFの全新生児スクリーニング(universal newborn screening)が標準である。スクリーニングは,免疫反応性トリプシノーゲン(immunoreactive trypsinogen:IRT)の血中濃度上昇の検出に基づく。IRTの高値をフォローアップする方法は2つある。1つは,2回目のIRTを行い,そこでも高値となった場合は続いて汗試験を行うというものである。もう1つは,より一般的に用いられる方法で,IRT高値が認められたらCFTR変異検査を行い,そこで1つまたは2つの変異が同定されたならば,汗試験を行うというものである。診断について,どちらの方法でも約90~95%の感度が得られる。

汗試験

この試験では,ピロカルピンによって局所の発汗を刺激し,発汗量を測定するとともに,塩化物イオン濃度を測定する。汗の塩分濃度は加齢とともにわずかに上昇するが,この検査はあらゆる年齢で有効である:

  • 正常: 30mEq/L( 30mmol/L)(CFの可能性は低い)

  • 境界:30~59mEq/L(30~59mmol/L)(CFの可能性がある)

  • 異常: 60mEq/L( 60mmol/L)(この結果はCFと一致する)

この検査は,出生後48時間の新生児から適応があり,その結果は有用であるが,生後2週までは十分な汗検体(濾紙上に75mg以上またはミクロボア管に15μL以上)を得るのが困難なことがある。偽陰性の結果はまれではあるが,浮腫および低タンパク血症が存在する場合,または汗の採取量が不十分な場合に生じることがある。偽陽性は通常,技術的なエラーに起因する。一過性の汗の塩分濃度の上昇は,心理社会的剥奪(例,小児虐待,ネグレクト)の結果として生じたり,神経性やせ症の患者に生じたりする可能性がある。汗試験が陽性の場合は,2回目の汗試験を行うか,CF原因変異を2つ同定することによって診断を確定すべきである。

汗試験の中間値結果

患者の少数は軽度のまたは部分的なCF表現型で,汗中塩化物イオン濃度が中間値を持続するか,正常範囲にとどまる場合もある。さらに,膵炎,気管支拡張症,またはCFTRの機能異常を示唆する所見のある先天性の両側精管欠損など単一臓器症状を示す患者もいる。このような患者はCFの診断基準を満たさず,CFTR関連疾患に分類される。このような患者の一部では,CFの原因変異を2つ(各染色体に1つずつ)同定することによってCFの診断を確定できる。CFの原因変異が2つ同定されない場合は,膵機能検査,膵画像検査,胸部高分解能CT,副鼻腔CT,肺機能検査,男児では泌尿生殖器の評価,微生物叢の評価を含む気管支肺胞洗浄など,補助的な評価が有用である。

助けとなる可能性がある他の診断検査としては,CFTR遺伝子の広範囲解析,鼻の経上皮電位差の測定(CF患者の上皮は相対的に塩化物イオンの透過性が低く,その上皮を通してナトリウムイオンの再吸収が増加するという観察に基づく)およびICM(intestinal current measurement)などがある。

CFTR関連代謝異常症候群(CRMS:CFTR-related metabolic syndrome)およびCFスクリーニング陽性の診断不確定例(CFSPID:CF screen positive, inconclusive diagnosis)

新生児スクリーニング検査で陽性と判定され,かつCFTRの機能障害を示唆する所見を認めるものの,CFの診断基準を満たさない乳児は,CFTR関連代謝異常症候群(CRMS:CFTR-related metabolic syndrome)に分類され,これはCFSPID(CF screen positive, inconclusive diagnosis:CFスクリーニング陽性の診断不確定例)とも呼ばれる。CRMS/CFSPIDは,新生児スクリーニング検査で陽性と判定され,症状がみられず,かつ以下のいずれかに該当する乳児で診断される:

  • 汗の塩分濃度が境界域にあり,かつCF原因変異がないか,または1つ認められる

  • 汗の塩分濃度が正常範囲にあり,かつCFTR変異が2つ認められ,そのうち少なくとも1つが表現型に及ぼす影響が不明である

CRMS/CFSPIDの小児の大半は健康な状態を維持するが,患児の最大10%では時間の経過とともに症状が現れ,CFの診断基準を満たすようになる。CRMS/CFSPIDの患者は,CFの専門施設において定期的に評価とモニタリングを行うべきである。

膵機能検査

診断時に膵機能を評価すべきであり,通常は便中のヒト膵エラスターゼ濃度を測定することによる。後者の検査は,外因性の膵酵素が存在する状況でも有効である。最初は膵機能不全を認めず,「重症型」変異を2つ有する乳児では,膵機能不全への進行を検出するため,連続的に測定を行うべきである。

呼吸器の評価

胸部画像検査は,肺機能の低下または増悪時ごとに実施し,ルーチンには1~2年毎に実施する。胸部高分解能CTは,肺損傷の範囲をより正確に決定し気道の軽微な異常を検出するのに役立つ。胸部X線およびCTで,過膨張,粘液栓,および気管支壁の肥厚が最も早期の所見として認められることがある。その後の変化には,浸潤,無気肺,肺門リンパ節腫脹などがある。病状が進行するにつれ,区域性あるいは大葉性の無気肺,嚢胞形成,気管支拡張症,肺動脈性肺高血圧症および右室肥大が生じる。拡張した気管支にムコイドが詰まっていることを示す分枝状で指状の陰影が特徴的である。

副鼻腔CTは,内視鏡的副鼻腔手術が考慮されている,顕著な副鼻腔症状または鼻茸がある患者で適応となる。このような検査では副鼻腔に持続的な陰影がほぼ必ず認められる。

嚢胞性線維症の胸部画像検査
嚢胞性線維症(胸部X線)
嚢胞性線維症(胸部X線)
この胸部X線写真には,右下葉の虚脱が写っている。認められる所見は嚢胞性線維症に典型的なものであるが,特異的ではない。

By permission of the publisher. From Berman L:Atlas of Anesthesia: Critical Care. Edited by R Miller (series editor) and RR Kirby. Philadelphia, Current Medicine, 1997.

嚢胞性線維症(X線)
嚢胞性線維症(X線)
この嚢胞性線維症の男性の胸部X線は,気管支拡張症と一致する肺紋理の増強を示す。

PHOTOSTOCK-ISRAEL/SCIENCE PHOTO LIBRARY

嚢胞性線維症(CT)
嚢胞性線維症(CT)
このCT画像には,肺全体にわたって大きく拡張した気管支が写っている。認められる所見はCFに典型的なものであるが,特異的ではない。

By permission of the publisher. From Berman L:Atlas of Anesthesia: Critical Care. Edited by R Miller (series editor) and RR Kirby. Philadelphia, Current Medicine, 1997.

肺機能検査は,臨床状態を最もよく反映する検査であり,ルーチンに年4回行い,さらに臨床状態の悪化時にも行うべきである。肺機能は現在では,乳児でもraised volume rapid thoracoabdominal compression techniqueを用いることで,また3~5歳の小児ではインパルスオシロメトリーやmultiple breath washout法を用いることで評価可能となっている(1)。

肺機能検査では以下が示される:

  • 努力肺活量(FVC),1秒量(FEV1),FVCの25~75%を呼出する間の努力呼気流量(FEF25-75),およびFEV1/FVC比の低下

  • 残気量および全肺気量に対する残気量の比の増加

50%の患者には可逆的な気道閉塞の所見がみられるが,これは気管支拡張薬の吸入により肺機能が改善することから分かる。

咽頭または喀痰培養によるスクリーニングを少なくとも年4回行うべきであり,これは緑膿菌(P. aeruginosa)がまだ定着していない患者では特に重要である。気管支鏡/気管支肺胞洗浄は,患者の下気道微生物叢の正確な確認(例,抗菌薬の選択の指標とする)または濃縮した粘液栓子の除去が重要な場合に適応となる。

キャリアスクリーニング

米国ではCFのキャリアスクリーニングが実施されており,妊娠を計画しているカップルや出生前ケアを求めるカップルに推奨されている。親となるカップルの双方がCFTR変異のキャリアである場合,絨毛採取または羊水穿刺によって出生前胎児スクリーニングを行うことが可能である。そのような場合の出生前カウンセリングは,CFの表現型のばらつきの大きさ,およびスクリーニングにより同定されたCFTR変異の多くはその臨床的経過に関する情報が不完全であることによって,複雑なものとなっている。

診断に関する参考文献

  1. 1.Aurora P, Gustafsson P, Bush A, et al: Multiple breath inert gas washout as a measure of ventilation distribution in children with cystic fibrosis.Thorax 59:1068–1073, 2004.doi: 10.1136/thx.2004.022590.

予後

経過は主に肺の罹患の程度によって決定される。悪化は避けられず,衰弱につながり,通常は呼吸不全と肺性心の併発から最終的に死に至る。

予後は過去50年間にわたって着実に改善されており,これは主に早期診断および不可逆的な肺の変化が始まる前の積極的な治療による。2018年の死亡年齢の中央値は30.8歳であった。しかし,米国で2017年に出生した小児では,推定生存期間の中央値は47.4歳である。膵機能不全のない患者では長期生存率が有意に高い。CFTR変異プロファイル,修飾遺伝子,気道微生物,性別,外気温,大気汚染物質(タバコ煙など)への曝露,処方された治療に対するアドヒアランス,および社会経済的地位も転帰に影響を及ぼす。年齢および性別で調整されたFEV1は,生存に関する最も優れた予測因子である。

治療

  • 包括的かつ集学的な支持療法

  • 抗菌薬,気道分泌物の粘稠度を低下させる吸入薬,および気道分泌物を除去する理学的手技

  • 吸入気管支拡張薬およびときにコルチコステロイド(反応がみられる場合)

  • 通常は膵酵素およびビタミン補充療法

  • 高カロリー食(ときに経腸チューブによる栄養補給を要する)

  • 特定の変異を有する患者では,CFTR修飾薬(CFTR potentiator単剤,または複数のCFTR correctorと1剤のCFTR potentiatorの併用)

経験豊富な医師による指揮のもと,他の医師,看護師,栄養士,理学療法士,呼吸療法士,カウンセラー,薬剤師,ソーシャルワーカーを含む集学的チームの連携による,包括的かつ集中的な治療がなされるべきである。治療の目標は,正常な栄養状態の維持,肺およびその他の合併症の予防または積極的治療,身体活動の奨励,および心理社会的支援の提供である。治療レジメンは複雑であり,1日当たり最長で2時間を要する。適切な支援があれば,ほとんどの患児は家庭および学校において年齢相応の適応が可能である。幾多の困難にかかわらず,患者の教育,職業や結婚における成功には目を見張るものがある。

呼吸器

肺疾患の治療は,気道閉塞の予防と肺感染症の予防とコントロールを軸とする。肺感染症の予防として,百日咳,インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症,水痘,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)感染症,および麻疹に対する免疫維持や,毎年のインフルエンザ予防接種などを行う。インフルエンザに曝露した患者では,ノイラミニダーゼ阻害薬を予防的あるいは感染の最初の徴候がみられた時点で投与できる。RSウイルス感染症の予防を目的とするCFの乳児に対するパリビズマブの投与は安全であることが示されているが,その効力は実証されていない。

診断時に体位ドレナージ,叩打法,振動法,咳嗽介助から成る気道クリアランス法(胸部理学療法)を推奨し,定期的に行うべきである。年長患者では,アクティブサイクル呼吸法,自律性排痰法,呼気陽圧装置,vest療法(高頻度胸壁振動)を用いる方法などの他の気道クリアランス法が効果的となる場合がある。定期的な有酸素運動が推奨され,気道クリアランスの助けにもなる可能性がある。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者には,持続陽圧呼吸療法が有益となりうる。

可逆性の気道閉塞の患者には,気管支拡張薬を吸入で投与する。コルチコステロイドの吸入は通常,効果的でない。酸素療法は重度の肺機能不全と低酸素血症のある患者で適応となる。

慢性呼吸不全に対しては,一般的に,機械的人工換気や体外式膜型人工肺(ECMO)は適応とならない。これらの使用は,一般には,基礎的な呼吸状態は良好であったが肺手術に伴い急性の可逆的な呼吸器合併症が発症した患者,または予定の肺移植が差し迫った患者に限定されるべきである。これらの使用は,一般には,基礎的な呼吸状態は良好であったが肺手術に伴い急性の可逆的な呼吸器合併症が発症した患者,または予定の肺移植が差し迫った患者に限定されるべきである。経鼻的またはフェイスマスクによる非侵襲的陽圧換気も有益となりうる。

経口去痰薬がときに用いられるが,その効力を支持するデータはほとんどない。鎮咳薬の使用は控えさせるべきである。

ドルナーゼ アルファ(遺伝子組換え型ヒトデオキシリボヌクレアーゼ)の長期連日吸入療法または7%高張食塩水の長期連日吸入療法は,肺機能低下のペースを遅らせ,気道増悪の頻度を低下させることが証明されている。

気胸は閉鎖式胸腔ドレーンを用いた胸腔ドレナージにより治療できる。開胸または胸腔鏡による胸膜ブレブの切除および胸膜表面の機械的擦過は,反復性気胸を治療する上で効果的である。

軽度から中等度の喀血は,抗菌薬(喀血の重症度および感染症の重症度に応じて経口/エアロゾルまたは静注)および気道クリアランスにより治療する。大量のあるいは反復性の喀血は,気管支動脈塞栓術,またはまれに肺の病巣切除により治療する。

細気管支炎が遷延する乳児と治療抵抗性の気管支攣縮,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA),または炎症性の合併症(例,関節炎,血管炎)がある患児では,経口コルチコステロイドの適応となる。コルチコステロイド隔日療法の長期使用は肺機能の低下を遅らせる可能性があるが,コルチコステロイド関連の合併症があるため,ルーチンの使用は推奨されない。コルチコステロイドの投与を受けている患児には,糖尿病や直線的な発育遅滞の徴候がないか綿密なモニタリングを行わなければならない。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症にもコルチコステロイドの全身投与および抗真菌薬の経口投与が治療として行われる。

イブプロフェンは,ピーク血漿中濃度が50~100μg/mL(242.4~484.8μmol/L)に達するのに十分な用量で数年にわたり投与された場合,特に5~13歳の小児で肺機能の低下速度を遅らせることが証明されている。適切な投与量は薬物動態試験の結果に基づき個々に決定されるべきである。

CFTR修飾薬

CFTR correctorおよびCFTR potentiatorはCF患者が保有する変異の約90%に適応となる。CFTR correctorは,クラスIのフレームシフト変異およびナンセンス変異のある患者には使用できない。

イバカフトール(ivacaftor)は,特定のCFTR変異を有する患者のCFTRイオンチャネルを増強(potentiate)する低分子薬であり経口で長期投与される。イバカフトール(ivacaftor)は,この薬によって増強(potentiate)される特定の変異を1コピー以上有する生後6カ月以上の患者に使用できる。

ルマカフトール(lumacaftor),テザカフトール(tezacaftor),およびエレクサカフトール(elexacaftor)は,F508del変異を保有する患者において異常なCFTRを(タンパク質のミスフォールディングを変化させることで)部分的に矯正(correct)する経口低分子薬である。

F508del変異を2コピー保有する2歳以上のCF患者には,ルマカフトール(lumacaftor)/イバカフトール(ivacaftor)の合剤が投与可能である。

F508del変異を2つ保有するか,または他の特定の変異を保有する6歳以上の患者にはテザカフトール(tezacaftor)/イバカフトール(ivacaftor)の合剤が投与可能である。

F508del変異を1つ以上保有する12歳以上の患者には,エレクサカフトール(elexacaftor)/テザカフトール(tezacaftor)/イバカフトール(ivacaftor)の合剤が投与可能である。

これらの薬剤によって,肺機能が改善し,体重が増加し,肺症状の増悪頻度が減少し,汗の塩分濃度が低下,ときに正常化する。イバカフトール(ivacaftor),ルマカフトール(lumacaftor)/イバカフトール(ivacaftor),テザカフトール(tezacaftor)/イバカフトール(ivacaftor),およびエレクサカフトール(elexacaftor)/テザカフトール(tezacaftor)/イバカフトール(ivacaftor)の適応は,患者のCFTR変異および年齢に基づいており,急速に変わりつつある。これらの薬剤はいずれも有用となりうるが,非常に効果的な修飾療法と考えられているのは,イバカフトール(ivacaftor)およびエレクサカフトール(elexacaftor)/テザカフトール(tezacaftor)/イバカフトール(ivacaftor)の合剤のみである。

抗菌薬

肺症状の軽度増悪には,培養および感受性試験の結果に基づき,抗菌薬を経口で短期投与すべきである。メチシリン感受性のブドウ球菌に対する第1選択薬は,ペニシリナーゼ抵抗性ペニシリン系薬剤(例,クロキサシリンまたはジクロキサシリン),セファロスポリン系(例,セファレキシン),またはトリメトプリム/スルファメトキサゾールである。エリスロマイシン,アモキシシリン/クラブラン酸,テトラサイクリン,またはリネゾリドを使用してもよい。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)(MRSA)の定着がみられる患者には,トリメトプリム/スルファメトキサゾール,クリンダマイシン,リネゾリド,またはテトラサイクリンの経口投与が有効な場合がある。緑膿菌(P. aeruginosa)の定着がみられる患者には,吸入トブラマイシンまたはアズトレオナム・リジン(例,4週間)および/または経口フルオロキノロン系薬剤(例,2~3週間)の短期投与が効果的なこともある。フルオロキノロン系薬剤は幼児にも安全に使用されている。

肺症状の中等度~重度増悪には,特に緑膿菌(P. aeruginosa)の定着がみられる患者を対象に,抗菌薬の静脈内投与が推奨される。患者はしばしば入院を要するが,慎重に選択した患者は,一部の治療を安全に在宅で受けられる。アミノグリコシド系薬剤(例,トブラマイシン,ゲンタマイシン)と,セファロスポリン系薬剤,広域スペクトルのペニシリン,フルオロキノロン,あるいは抗シュードモナス活性のあるモノバクタム系薬剤を通常は2~3週間,静脈内投与で併用する。トブラマイシンやゲンタマイシンの開始量は通常2.5~3.5mg/kg,1日3回であるが,許容血清中濃度(最高値8~10μg/mL[17~21μmol/L],トラフ値< 1μg/mL [< 2μmol/L])を達成するのにより高用量(3.5~4mg/kg,1日3回)が必要となることがある。代わりに,トブラマイシンを1日1回(10~12mg/kg)で安全かつ効果的に投与できる。CF患者では腎クリアランスが増大しているため,ペニシリン系薬剤では十分な血清中濃度を得るのに高用量を必要とするものがある。MRSAの定着がみられる患者には,静脈内投与のレジメンにバンコマイシンまたはリネゾリドに加えてもよい。

緑膿菌(P. aeruginosa)が慢性的に定着した患者において,抗菌薬の吸入は臨床的パラメータを改善し,おそらく気道内の細菌負荷を減少させる。隔月のトブラマイシンまたはアズトレオナム・リジンの吸入療法の長期使用および週3回のアジスロマイシン経口持続(毎月)投与が,肺機能の改善や安定化および肺症状増悪の頻度低下に効果的なことがある。

通常,慢性的なP. aeruginosaの定着を排除することは可能ではない。しかし,緑膿菌(P. aeruginosa)が気道に最初に定着する頃に抗菌薬による早期治療を行うことは,一定期間この微生物を根絶するには効果的となりうる。治療戦略は様々であるが,通常トブラマイシン,アズトレオナム,またはコリスチンのエアロゾル投与から成り,しばしばこれに経口フルオロキノロンが併用される。臨床的に重大な非結核性抗酸菌感染症がある患者には,経口,吸入,静注による抗菌薬の長期併用療法が必要である。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)または下気道アスペルギルス感染症の患者では,長期にわたる経口または静注でのアゾール系抗真菌薬および/またはコルチコステロイドの全身投与による治療が必要になることがある。

消化管

新生児の腸閉塞は,ときに高浸透圧または等浸透圧のX線造影剤を注腸することにより軽減することがあるが,そうでなければ,外科的腸瘻造設術を施行して腸管内腔の粘稠性胎便を洗い流すことが必要になる場合がある。新生児期を過ぎると,部分的腸閉塞(遠位腸閉塞症候群)のエピソードは,高浸透圧か等浸透圧のX線造影剤またはアセチルシステインを含む浣腸剤,あるいはバランスのとられた腸洗浄液の経口投与によって治療可能である。ジオクチルソジウムスルホサクシネートやラクツロースなどの便軟化剤が,こうした症状の出現防止に有用な場合がある。親水性胆汁酸であるウルソデオキシコール酸は,CFによる肝疾患患者にしばしば使用されるが,胆汁うっ滞から肝硬変への進行の予防における効力を支持するエビデンスはほとんど存在しない。

膵酵素補充薬を膵機能不全患者の毎食および間食時に投与すべきである。最も効果的な酵素製剤は,pH感受性で腸溶性のマイクロスフェアまたはミクロ錠剤内にパンクレリパーゼを含有するものである。乳児には通常,人工乳120mL当たり,または母乳摂取1回毎に,リパーゼ2000~4000IUの用量で開始する。乳児の場合,カプセルを開けて内容物を酸性の食物と混合する。乳児期以降は,体重ベースの用量が用いられ,4歳未満の小児ではリパーゼ1000IU/kg/食,4歳以上ではリパーゼ500IU/kg/食で開始する。通常,標準用量の半分を間食時に投与する。高用量の酵素と線維化性の結腸疾患との関連が報告されていることから,リパーゼ2500IU/kg/1食以上,またはリパーゼ10,000IU/kg/日以上の用量は避けるべきである。酵素必要量の高い患者では,H2 遮断薬またはプロトンポンプ阻害薬による制酸が酵素の有効性を改善しうる。

食事療法には,正常な成長を促進する十分なカロリーとタンパク質摂取が含まれ,通常の推奨栄養所要量から30~50%の増加が必要になる場合がある( see table 推奨される多量栄養素の食事摂取基準*,米国アカデミー,医学研究所,食品栄養委員会(Food and Nutrition Board, Institute of Medicine of the National Academies))。また食事療法には,食事のカロリー密度を高めるための通常から高用量の総脂肪摂取,1日推奨所要量の2倍の水分散性総合ビタミン剤の補給,ビタミンDの欠乏または不足がある患者ではビタミンD3(コレカルシフェロール)の補給,および乳児期と温度ストレスや発汗増加がみられる場合の塩分補給も含まれる。広域抗菌薬投与を受けている乳児や,肝疾患および喀血のある患者には,ビタミンKを追加補給すべきである。タンパク質加水分解物と中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む人工乳を,重度の吸収不良乳児に調製全乳の代わりに用いることがある。ブドウ糖ポリマーおよび中鎖脂肪酸トリグリセリドのサプリメントを,カロリー摂取量を増加させるのに使用できる。

十分な栄養状態を維持できない患者においては,胃瘻造設または空腸瘻造設による経腸補給により,成長が改善し肺機能の安定化が可能となる( see page 栄養サポートの概要)。成長を促進する食欲増進薬の使用も一部の患者に助けになりうる。

その他

嚢胞性線維症関連糖尿病(CFRD)は,インスリン機能不全によって起こり,1型糖尿病と2型糖尿病両方の特徴を併せもつ。インスリンが唯一の推奨治療である。管理には,インスリンレジメン,栄養カウンセリング,糖尿病自己管理教育プログラム,微小血管合併症のモニタリングなどが含まれる。CFと糖尿病の両方の治療に精通した内分泌医,栄養士と協力し,計画を実行すべきである。

症候性の右心不全のある患者は,利尿薬,食塩制限,および酸素投与により治療すべきである。

遺伝子組換えヒト成長ホルモン(rhGH)は,肺機能を改善し,身長,体重,骨塩量を増加させ,入院率を低下させる可能性がある。しかし,追加される費用と不便性のため,rhGHは一般には使用されない。

手術に関しては,薬物では効果的に治療できない局所的な気管支拡張症や無気肺,鼻茸,慢性副鼻腔炎,門脈圧亢進症に続発する食道静脈瘤からの出血,胆嚢疾患,内科的には改善できない腸捻転または腸重積症による腸閉塞で,適応となる場合がある。

肝移植が末期肝疾患の患者に施行され,成功している。

死体両肺移植および生体肺葉移植は,肺疾患進行例に行われ成功しており,また末期の肝および肺疾患例に対する肝肺同時移植も成功している。

重度肺疾患に対する両肺移植は,経験が増え技術が改善するにつれルーチンになり,かつ成功率が上がっている。CFの成人患者では,移植後の生存期間中央値は約9年である。

終末期ケア

患者および家族が,予後およびケアの選択に関するデリケートな話合いをもつのは疾患経過を通じて当然であり,患者の肺予備能がますます限られてきた場合はなおさらである。CFのために終末期に直面している患者の大半は,青年期後期か成人であり,また自分自身の選択に適切に責任をもつことができるだろう。したがって,患者は何が待ち構え,何がなされうるのかを知る必要がある。

CFとともに生きる患者に対する敬意の印は,人生の選択を行うために必要な情報と機会を彼らに確実に提供することであり,これには,いかに,そしていつ死を受け入れるべきか決定する際の実質的なサポートが含まれる。しばしば移植に関する話合いが必要になる。移植を考慮するにあたっては,患者が移植による生存期間の延長という利点を,移植を受けることの不確実性や臓器移植による延命が(状況は変わるが)負担の継続でもあることと比較して検討する必要がある。

衰弱している患者は,やがて訪れる死について話し合う必要がある。患者と家族は,ほとんどの場合臨終は本当に穏やかで,激しい症状に苦しむものではないことを知っておく必要がある。穏やかな臨終を確保するため,状況に応じて十分な鎮静を含めた緩和ケアを勧めるべきである。患者が考慮すべき有用な方策の1つに,必要に応じて十分に積極的な治療法に期間限定の試みとして応じつつ,積極的治療を中止する時期を示すパラメータについて事前に同意しておく,というものがある(蘇生処置拒否[DNR]指示と生命維持治療に関する医師指示書[POLST]を参照)。

要点

  • 嚢胞性線維症は,嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR:cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)と呼ばれるタンパク質をコードする遺伝子の変異を2つ保有することで引き起こされる疾患であり,CFTRは上皮細胞膜を通過するクロール,ナトリウム,および重炭酸イオンの輸送を調節している。

  • 主要な合併症は肺病変であり,細気道および太い気道の損傷,ならびに慢性で反復性の細菌感染症(特にPseudomonas aeruginosa)を伴う。

  • 他の主要な合併症として膵機能不全があり,そのため栄養とビタミンの吸収不良が起こる結果,成長と発達が障害され,年長例では糖尿病が発生する。

  • 気道クリアランス法(例,体位ドレナージ,叩打法,振動法,咳嗽介助)を診断時から開始し定期的に行う;定期的な有酸素運動が推奨される。

  • 特定のCFTR変異を有する患者では,CFTRを矯正(correct)または増強(potentiate)する薬が助けとなる可能性がある。

  • 肺症状の増悪の際には早期に抗菌薬を投与し,薬剤の選択は培養および感受性試験の結果に基づくものとする。

  • 食事には,膵酵素,高用量ビタミンを補充し,主に脂肪由来のカロリーを30~50%増量すべきである。

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