生後3カ月以上の乳児における細菌性髄膜炎

執筆者:Geoffrey A. Weinberg, MD, Golisano Children’s Hospital
レビュー/改訂 2020年 3月
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乳児にみられる細菌性髄膜炎は,髄膜およびくも膜下腔の重篤な感染症である。乳児は非特異的な症状および徴候(例,嗜眠,易刺激性,哺乳不良,発熱または低体温症)を呈することがある。診断は髄液検査による。治療は抗菌薬により,選択された乳児にはデキサメタゾンを投与する。

髄膜炎の概要については,髄膜炎の概要を参照のこと。より年長の小児および成人の急性細菌性髄膜炎については,急性細菌性髄膜炎,3カ月未満の小児については新生児の細菌性髄膜炎を参照のこと。ウイルス性髄膜炎については,乳児および小児のものを含め,ウイルス性髄膜炎を参照のこと。

病因

細菌性髄膜炎の病因と発生率は,年齢のほか,乳児がインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型結合型ワクチンおよび肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)結合型ワクチンの定期予防接種を受けているかどうかに密接に関わる。

定期予防接種を受けていない乳児にみられる細菌性髄膜炎の一般的な原因としては,以下のものがある:

  • 肺炎球菌(多くの血清型;特に肺炎球菌[S. pneumoniae]結合型ワクチンの接種歴がない乳児)

  • 髄膜炎菌(Neisseria meningitidisー特にB群が多いが,ときにA群,C群,Y群,またはW135)

  • インフルエンザ菌b型(特にインフルエンザ菌[H. influenzae]b型結合型ワクチン接種歴がない乳児)

乳児および生後3カ月以上の小児における細菌性髄膜炎のその他の病因も報告されてはいるものの,非常にまれである。Listeria monocytogenesStreptococcus agalactiae,および大腸菌(Escherichia coli)は,生後3カ月未満の乳児の疾患の原因となる;生後3カ月を超えた超早産児でもまれに病因となる。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)髄膜炎は,外傷または脳外科手術を受けた乳児に起こることがある。

症状と徴候

年齢が低ければ低いほど,髄膜炎の症状と徴候は非特異的になる。

細菌性髄膜炎の最初の臨床像は,呼吸器または消化管症状を伴う急性熱性疾患であり,重篤な疾患の徴候は遅れてからでないと現れないことがある。新生児の約33~50%では大泉門の膨隆がみられることがあるが,項部硬直や,年長の小児で典型的にみられる古典的な髄膜刺激徴候(例,Kernig徴候またはBrudzinski徴候)はまれである。生後12カ月未満の小児では,項部硬直がないからといって髄膜炎を除外してはならない。

パール&ピットフォール

  • 生後12カ月未満の小児では,項部硬直がないからといって髄膜炎を除外してはならない。とはいえ,もし項部硬直があれば,無視すべきではない。

細菌性髄膜炎の進行につれ,中枢神経系症候が現れることがあり,ときに非常に急速に出現する。中枢神経系症候の程度は,易刺激性から昏睡まで様々である。細菌性髄膜炎の小児のうち,病院到着時に昏睡または半昏睡状態にあるのは15%にも及ぶ。細菌性髄膜炎に伴い痙攣発作がみられることがあるが,患児の約20%に留まり,典型的にはすでに重症感,意識障害,または昏睡がみられる患児に発生する。発熱を伴う非焦点発作の後も覚醒していて正常に見える乳児は,細菌性髄膜炎を有している可能性は低い(熱性痙攣も参照)。

乳頭浮腫は,細菌性髄膜炎ではどの年齢の患児でも非常にまれである。乳頭浮腫があれば,乳頭浮腫のその他の原因を探すべきである;細菌性髄膜炎は非常に進行が速いので,普通は乳頭浮腫が発生する時間がない。

診断

  • 髄液検査

一般に,乳児において髄膜炎が診断されている,またはその疑いがある場合は,常に腰椎穿刺を行うべきである。

しかしながら,以下のような理由があれば腰椎穿刺を延期することがある:

  • 臨床的に重要な呼吸循環障害(若年の乳児に最も多い)

  • 網膜の変化など著明な頭蓋内圧亢進の徴候;瞳孔反応の変化;高血圧,徐脈,および呼吸抑制(クッシング三徴);ならびに局所神経学的徴候

  • 頭蓋内損傷が疑われる(目に見える外傷が[特に頭に]ある場合や,非偶発的外傷[nonaccidental injury]を示唆する病歴がある場合など)

  • 腰椎穿刺部位の感染症

  • 出血性疾患の疑いまたは病歴(例,血友病,重度の血小板減少)

このような状況下では,血液培養を行い,腰椎穿刺を行わずに経験的に抗菌薬を投与すべきである。頭蓋内圧亢進が疑われる場合,抗菌薬の投与中または投与直後に,神経画像検査(例,頭蓋骨の単純および造影CT)を手配すべきである。画像検査の結果,安全であることがわかれば,腰椎穿刺を行ってもよい。ただし,髄膜炎が疑われる幼児に対して腰椎穿刺の前にルーチンにCTを行う必要はない;全ての髄膜炎患者にある程度の頭蓋内圧亢進があるとはいえ,幼児の細菌性髄膜炎において脳のヘルニアはまれである。

一般的に行われる髄液の検査は,細胞数,タンパク質,糖,グラム染色,培養であり,さらに選択された症例では,エンテロウイルスに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査(例,米国では夏後半から秋の間に髄膜炎を発症した乳児)または単純ヘルペスウイルスに対するPCR(例,生後3カ月未満の乳児)が行われる。同時に血液検体を採取し,検査に出して髄液糖/血糖比を確定すべきである。

細菌性髄膜炎の典型的な髄液所見としては以下のものがある:

  • 白血球数高値(> 500/μL[0.5 × 109/L]からしばしば10,000/μL[10 × 109/L]まで,かつ多形核白血球優位[> 80%])

  • タンパク質高値(> 100mg/dL[1gm/L])

  • 糖低値(< 40mg/dL[2.2mmol/L],しばしば < 10mg/dL [0.56 mmol/L],また髄液糖/血糖比は一般に < 0.33)

細菌性髄膜炎では髄液のグラム染色で病原体を認める。所見にはある程度の幅があるが,細菌性髄膜炎の乳児の髄液所見が完全に正常であることは極めて少ない。

また,血液培養を2セット(可能であれば;最低1セットの好気および嫌気培養ボトル),血清電解質,血算および分画,ならびに尿検査および尿培養も行うべきである。

鑑別診断

細菌性髄膜炎の症状と徴候は,その他の中枢神経系感染症でもみられることがあり,例えばウイルス性髄膜炎(典型的にはエンテロウイルス),新生児HSV感染症(生後1カ月未満の乳児にほぼ限られる),小児のHSV脳炎,および脳膿瘍などが挙げられる。より年長の小児や成人に発生する髄膜炎のその他の原因(ライム神経ボレリア症[Lyme neuroborreliosis];真菌性髄膜炎;結核性髄膜炎;Bartonella感染症;非ステロイド系抗炎症薬,トリメトプリム/スルファメトキサゾール,または静注用免疫グロブリン製剤の使用による化学性髄膜炎;がん)が生後12カ月未満の小児に起こることはまれであり,病歴,身体診察,および髄液検査によりこれらの疾患と鑑別すべきである。

これら以外の髄膜炎でしばしばみられる主な髄液所見としては,白血球 < 500/μL(0.5 × 109/L),多形核白血球 < 50%,タンパク質 < 100mg/dL(1g/L),糖正常,グラム染色陰性などがある。

予後

月齢の高い乳児および小児における細菌性髄膜炎の死亡率は約5~10%であり,神経系の合併症(例,感音難聴,知的障害,痙性および不全麻痺,痙攣性疾患)は15~25%にみられる。感音難聴は肺炎球菌性髄膜炎の後に最もよくみられる。

月齢の高い乳児および小児の死亡率は,インフルエンザ菌(H. influenzae)b型が原因の場合は3~5%,髄膜炎菌(N. meningitidis)が原因の場合は5~10%,肺炎球菌(S. pneumoniae)が原因の場合は10~20%と様々である。

治療

  • 抗菌薬療法

細菌性髄膜炎が(実際にまたは推定的に)診断されれば,直ちに静脈路を確保し,適切な抗菌薬を(場合によりコルチコステロイドとの併用で)投与すべきである。

生後3カ月以上の乳児に対する経験的抗菌薬療法は,一般的な病原体(肺炎球菌,髄膜炎菌,インフルエンザ菌[H. influenzae]b型)に向けて行われる。

典型的な薬剤レジメンとしては以下のものがある:

  • セフトリアキソンまたはセフォタキシムに加えて

  • バンコマイシン

セフォタキシムおよびセフトリアキソンは,生後3カ月以上の乳児における細菌性髄膜炎の一般的な原因菌に対して極めて効果的である。この2剤の主な違いは,セフトリアキソンはセフォタキシムに比べて血清半減期がはるかに長いことである。第3世代セファロスポリン系に耐性のある肺炎球菌の株が特定の地域に存在するため,バンコマイシンが投与される。ほとんどの肺炎球菌がペニシリンに感受性をもつ地域(および施設)では,バンコマイシンが不要な場合があり,髄液のグラム染色でグラム陽性球菌を認めない場合には特にこの傾向がある;一般に,バンコマイシンを控えるかどうかの判断は,感染症の専門医へコンサルテーションした上で下されるべきである。

一旦起因菌が同定されれば,より標的を絞った薬剤が使用される;例えば,バンコマイシンは不要になることがある。

病原体に特異的な抗菌薬療法

直ちに経験的抗菌薬投与を開始した後,病原体の同定と感受性試験の結果が判明するまで,髄液および/または血液培養を用いて,より標的を絞った薬剤を選択する。(生後3カ月以上の乳児の細菌性髄膜炎に対する特異的治療(病原体の同定および感受性試験の結果が出た後)の表および細菌性髄膜炎の乳児および小児における抗菌薬の推奨用量の表を参照のこと。)

肺炎球菌が疑われる場合(例,髄液のペア検体でグラム陽性球菌を認めることから)には,感受性試験の結果が出るまで経験的にバンコマイシンを継続すべきである。分離株がペニシリンまたは第3世代セファロスポリン系に感受性があるとわかれば,バンコマイシンを中止する;分離株に感受性がない場合,バンコマイシンを継続する(さらにリファンピシンを追加する医師もいる)。デキサメタゾンはバンコマイシンの髄液中への移行率(ひいてはその有効性)を低下させるため,一部の専門家は,デキサメタゾンの投与を控えるか,投与するとしてもリファンピシンを同時投与することを推奨している。

髄膜炎菌による疾患は,高用量ベンジルペニシリンまたはアンピシリン,あるいは第3世代セファロスポリン系によって確実に治療できる。ベンジルペニシリンまたはアンピシリンによる治療を行う場合,それに続いてリファンピシンを1日2回,2日間のコースで投与することにより,保菌状態を解消して再発を予防する(第3世代セファロスポリン系によって治療を完遂する場合,リファンピシンは不要である)。

インフルエンザ菌b型が疑われるかまたは証明された場合,セフトリアキソンまたはセフォタキシムによって確実に治療できる;アンピシリンは,分離株の感受性が示された場合に限り使用できる。アンピシリンによる治療を行う場合,それに続いてリファンピシンを1日1回,4日間のコースで投与することにより,保菌状態を解消して再発を予防する(第3世代セファロスポリン系によって治療を完遂する場合,リファンピシンは不要である)。

他のまれな感染症(例,S. agalactiae,大腸菌[E. coli],リステリア菌[L. monocytogenes],黄色ブドウ球菌[S. aureus])に対する特異的な抗菌薬療法は,感染症専門医へコンサルテーションした上で選択すべきである。

表&コラム
表&コラム

細菌性髄膜炎に対するコルチコステロイド

細菌性髄膜炎の補助療法としてコルチコステロイド(例,デキサメタゾン)を使用することは数十年間研究されており,現在尚議論がある。コルチコステロイドの神経系合併症軽減に対する有益な効果は,患者の年齢(小児または成人)や起因菌によって変わるほか,患者が先進国に住んでいるかもしくは発展途上国に住んでいるかによっても変わるようである。

現在のところ,インフルエンザ菌(H. influenzae)b型による細菌性髄膜炎にかかった先進国に住む乳児および小児では,デキサメタゾンにより聴覚障害が軽減するというエビデンスがある。その他の病原体による髄膜炎におけるデキサメタゾンの有効性は証明されていないが,肺炎球菌(S. pneumoniae)髄膜炎にかかった先進国の成人では,神経系の予後が改善し,死亡率が下がったという報告がある。デキサメタゾンは,発展途上国に住む細菌性髄膜炎の小児または成人には有益でないとみられ,髄膜炎の新生児でも同様のようである。

このため,インフルエンザ菌(H. influenzae)b型による髄膜炎にかかった生後6週以降の小児には,抗菌薬投与前か投与後1時間以内にデキサメタゾン0.15mg/kgを静注すべきである。インフルエンザ菌(H. influenzae)b型による髄膜炎が確認されている症例では,デキサメタゾンを6時間毎に4日間継続する。専門家によっては,これと同じデキサメタゾンのレジメンを,生後6週間以降の肺炎球菌性髄膜炎の小児にも勧めている。

効力を最大にするためには,デキサメタゾンは診断時に投与を開始しなければならない;これはいつも可能であるとは限らず,髄液のグラム染色または疫学的情報(例,病人との接触歴)により直ちに病因が診断できるのでない限り難しい。インフルエンザ菌(H. influenzae)b型および肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種が行われている地域では,これらの病原体による細菌性髄膜炎はまれになるであろう。このような理由に加え,デキサメタゾンによる治療効果に関するエビデンスが対立していることもあり,多くの小児感染症専門医は,もはや髄膜炎の乳児にコルチコステロイドをルーチン投与していない。

予防

細菌性髄膜炎の予防にはワクチン接種のほか,ときに化学予防を行う。

予防接種

ある肺炎球菌結合型ワクチンは,乳児に髄膜炎を引き起こす肺炎球菌の13の血清型の90%超に対して効果があり,全ての小児を対象として生後2カ月から推奨されている( see table 0~6歳を対象とする推奨予防接種スケジュール)。詳細については,Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)による肺炎球菌ワクチンに関する最新の勧告を参照のこと。

H. インフルエンザ菌b型結合型ワクチンの定期接種も非常に効果が高く,生後2カ月から開始する。詳細については,ACIPによるインフルエンザ菌ワクチンに関する最新の勧告を参照のこと。

ACIPは,髄膜炎菌による疾患のリスクが高い生後6週間以降の乳児に対し,髄膜炎菌結合型ワクチンの接種を推奨している。リスクの高くない乳児に対しては,11~12歳の時点で髄膜炎菌結合型ワクチンの定期接種が勧められる( see table 7~18歳を対象とする推奨予防接種スケジュール)。リスクの高い乳児の条件としては以下のものがある:

  • HIVに感染している

  • 機能的または解剖学的無脾症がある(例,鎌状赤血球症に伴う)

  • 補体経路に持続的な障害がある

  • リスクの高い地域(例,サハラ以南アフリカ,巡礼期のサウジアラビア)へ旅行する

10歳以上でB群髄膜炎菌による疾患のリスクが高い小児(条件は上記と同様)を対象として,ACIPはB群髄膜炎菌に対する2種類のワクチンを承認している;B群髄膜炎菌に対するワクチンの定期接種はまだ行われていない。詳細については,ACIPによる髄膜炎菌ワクチンに関する最新の勧告を参照のこと。

髄膜炎の化学予防

以下の集団に対しては,抗菌薬による化学予防が必要である:

  • 髄膜炎菌(N. meningitidis)性髄膜炎:全ての濃厚接触者

  • インフルエンザ菌(H. influenzae)による髄膜炎:濃厚接触者のうち選択された症例

その他の細菌による髄膜炎の小児と接触した場合は,化学予防は不要である。

髄膜炎菌性髄膜炎と濃厚な接触をした場合,一般集団と比べて感染症のリスクが25~500倍高くなる。濃厚接触者とは以下のように定義される:

  • 同居者,特に2歳未満の小児

  • 発症前7日以内に保育施設で曝露した人

  • 発症前7日以内に患者の口腔内分泌物に曝露した全ての人(例,キス,歯ブラシやスプーンなどの共用,口対口の人工呼吸,気管挿管,気管内チューブの管理)

髄膜炎の乳児を看病した全ての医療従事者が濃厚接触者とみなされるわけではない。医療従事者は,患者の気道管理を行った場合または患者の呼吸器分泌物に直接曝露した場合にのみ化学予防を受けるべきである。化学予防は可及的速やかに(理想的には発端者の同定から24時間以内に)行うべきである;曝露から2週間以上経過してから化学予防を行っても効果はないかあっても限られる可能性が高い。リファンピシン,セフトリアキソン,およびシプロフロキサシンは,接触者の年齢によっては適切な薬剤である( see table 髄膜炎菌またはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型による髄膜炎患児との高リスク接触者*に推奨される化学予防)幼児には,リファンピシンの経口投与またはセフトリアキソンの注射剤が望ましい。

インフルエンザ菌()b型による髄膜炎の場合,接触者の感染リスクは髄膜炎菌性髄膜炎の場合と比べて低いものの,ワクチン未接種の乳幼児が感染の発端者と同居している場合には,リスクがかなり高くなる可能性がある。また,家庭内接触者はインフルエンザ菌(H. influenzae)b型の無症候性保菌者となる場合がある。家の中で介護をしているものの同居はしていない人にもインフルエンザ菌(H. influenzae)b型の保菌がみられるため,濃厚接触者の定義は髄膜炎菌の化学予防に比べてさらに細かくなる:そのため,この病原体の家庭内接触者は以下のように定義される:

  • 感染の発端者と同居している人

  • 発端者が入院する前の7日間に4時間以上の接触が5日以上あった人

そして,家庭内に以下のメンバーも含まれる場合は,上に定義した家庭内の各人に化学予防が勧められる:

  • 予防接種を受けていないまたは完全に受け終わっていない4歳未満の接触者が少なくとも1人

  • Hib結合型ワクチンの初期連続接種(primary series)を完了していない生後12カ月未満の小児

  • 易感染性の小児(過去の予防接種状況を問わない)

インフルエンザ菌(H. influenzae)b型に対して完全に免疫があるということの定義は,Hib結合型ワクチンを生後15カ月以降に少なくとも1回,または生後12~14カ月の間に2回,あるいは生後12カ月未満に2~3回の初期接種と生後12カ月以降に追加投与を1回受けていることである。

さらに,幼稚園や保育施設で過去60日以内に2例以上のHibによる侵襲性疾患があった場合,多くの専門家は無症候性の鼻腔内保菌を排除するため全ての小児およびスタッフに化学予防を勧めており,これは対象者の予防接種状況に関わりなく行うべきである。

二次性の感染のリスクが最も高い濃厚接触者は,インフルエンザ菌(H. influenzae)b型の予防接種を完全に受け終わっていない4歳未満の小児である。化学予防は発端者の同定から24時間以内に行うべきであり,曝露後2週間以降の化学予防は効果がないかあっても限定的となる可能性が高い。リファンピシンの経口投与またはセフトリアキソンの注射剤が望ましく,より年長の接触者にはシプロフロキサシンも許容される( see table 髄膜炎菌またはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型による髄膜炎患児との高リスク接触者*に推奨される化学予防)。

表&コラム

要点

  • 細菌性髄膜炎の乳児は始め非特異的な症状と徴候(例,上気道または消化管の症候)しか示さず,その後急速に代償不全に陥ることがある。

  • 細菌性髄膜炎の原因で最も多いのは肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),髄膜炎菌(Neisseria meningitidis),およびインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型である。

  • 髄膜炎が疑われたら,可及的速やかに腰椎穿刺(禁忌がなければ)および経験的抗菌薬療法を(恐らくデキサメタゾンを併用して)行うべきである。

  • 生後3カ月以上の乳児に対する経験的抗菌薬療法は,セフォタキシムまたはセフトリアキソンとバンコマイシンの併用による。

より詳細な情報

  1. Pneumococcal vaccine recommendations from the Advisory Committee for Immunization Practices (ACIP)

  2. Meningococcal vaccine recommendations from the ACIP

  3. Haemophilus influenzae vaccine recommendations from the ACIP

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