赤血球産生低下の概要

執筆者:Evan M. Braunstein, MD, PhD, Johns Hopkins University School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 3月
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    貧血(赤血球数,ヘモグロビン量,またはヘマトクリットの減少)は,赤血球産生(赤血球造血)の低下,赤血球崩壊の増加,失血,またはこれらの因子の組合せの結果として生じることがある。(貧血患者へのアプローチも参照のこと。)

    赤血球産生低下による貧血(hypoproliferative anemiaと呼ばれる)は,網状赤血球数が貧血の程度と不釣り合いに低いことによって確認される。

    赤血球指数(主に平均赤血球容積[MCV])によって,赤血球産生低下の鑑別診断が絞られ,必要な追加検査を判断する助けとなる。

    小球性貧血は,ヘムまたはグロビン合成の低下または障害の結果として起こる。小球性貧血としては以下のものがある:

    小球性貧血の患者には通常は貯蔵鉄の評価が必要である。

    正球性貧血の特徴は,赤血球分布幅(RDW)が正常で,正色素性の指数を示すことである。最も一般的な原因は以下の2つである:

    再生不良性貧血赤芽球癆骨髄異形成症候群(MDS)などの後天性の原発性骨髄疾患も,正球性貧血を呈する可能性がある。

    大球性貧血は,DNA合成障害によって生じ,巨赤芽球症に至ることがあり,以下の場合にみられる:

    大球性貧血のその他の原因としては以下のものがある:

    • 慢性飲酒(ビタミン欠乏症とは独立)

    • 肝疾患

    • 骨髄異形成症候群(MDS)

    • 網状赤血球増多を伴う溶血

    • 薬剤(例,ジドブジン,アザチオプリン,メトトレキサート,ヒドロキシカルバミド,イマチニブ)

    甲状腺機能低下症患者の一部は大球性の赤血球指数を示す(貧血を伴わないこともある)。

    貧血は,末梢血塗抹標本でみられる所見が一定ではないことがある。慢性疾患に伴う貧血は,正球性の場合と小球性の場合がある。骨髄異形成症候群による貧血は,正球性,大球性,さらには小球性の場合もある。内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)または微量元素欠乏症(例,銅欠乏症亜鉛欠乏症)による貧血の所見は多様であり,正球性または大球性貧血が含まれる。

    赤血球産生低下の治療は原因に応じて異なる。

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