黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきん感染症かんせんしょう

ブドウ球菌きゅうきんは、よくみられる細菌さいきんのグループです。一部いちぶの種類しゅるいのブドウ球菌きゅうきんはふつう、人ひとの皮膚ひふの表面ひょうめんや生活環境せいかつかんきょうの中なかで生いきていて、病気びょうきは引ひき起おこしません。ほかの種類しゅるいのブドウ球菌きゅうきん、特とくに黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきんは、深刻しんこくな感染症かんせんしょうを引ひき起おこすことがあります。ブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうと呼よばれることも多おおいです。

• ほかの人ひとから、または細菌さいきんがついている物ものにさわることで、黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうにかかることがあります。

• 黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうは軽かるいものもあれば、命いのちにかかわるものもあります。

• ブドウ球菌きゅうきんは血流けつりゅうに入はいると、臓器ぞうきに問題もんだいを起おこすことがあります。

• 医師いしは黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうを抗菌薬こうきんやくで治療ちりょうします。

• 黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうの多おおくには、よくある抗菌薬こうきんやくが効ききません。

• 念入ねんいりに手てを洗あらうことが、黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうの予防よぼうに役立やくだちます。

黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうは、次つぎのことから簡単かんたんに広ひろがる可能性かのうせいがあります：

• 感染かんせんしている人ひとにさわる

• 細菌さいきんがついているもの（ジムの器具きぐ、電話でんわ、ドアノブ、リモコン、エレベーターのボタンなど）にさわる

ブドウ球菌きゅうきんはふつう、次つぎのものに感染かんせんします：

• 皮膚ひふ

しかし、ブドウ球菌きゅうきんは血流けつりゅうに乗のって移動いどうして、心臓しんぞうの弁べんや骨ほねなど、体からだの中なかのほぼどこにでも感染かんせんします。また、ペースメーカー、人工関節じんこうかんせつ、心臓弁しんぞうべんなど、体内たいないの医療機器いりょうききに付つくこともあります。

皮膚ひふに黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうがあると、次つぎの症状しょうじょうがみられることがあります：

• 皮膚ひふの痛いたみと赤あかみ（蜂窩織炎ほうかしきえん）

• かゆみや、白色しろいろまたは黄色きいろの液体えきたいで満みたされた、痛いたみのある水みずぶくれが破やぶれて、かさぶたが残のこる（膿痂疹のうかしん）

• 痛いたみのある、うみがたまった皮膚ひふの下したの腫はれ（膿瘍のうよう）

体からだのどこかに黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうがあると、次つぎのようなほかの症状しょうじょうがみられることがあります：

• 乳房にゅうぼうの感染症かんせんしょう（乳腺炎にゅうせんえん）：乳房にゅうぼうが痛いたくて赤あかくなり、膿瘍のうよう（うみがたまったもの）ができますが、これはふつう、母乳ぼにゅうをあげ始はじめてから1～4週間後しゅうかんごの母親ははおやによくみられる

• 肺はいの感染症かんせんしょう（肺炎はいえん）：高熱こうねつが出でて、息切いきぎれがして、せきといっしょに血ちが混まじったたんが出でることが多おおい

• 血液けつえきの感染症かんせんしょう（敗血症はいけつしょう）：高熱こうねつが出でて、ときには血圧けつあつが危険きけんなほど低ひくくなる（敗血症性はいけつしょうせいショック）

• 心臓弁しんぞうべんの感染症かんせんしょう（心内膜炎しんないまくえん）：熱ねつが出でて、息切いきぎれがする（命いのちにかかわることがある）

• 骨ほねの感染症かんせんしょう（骨髄炎こつずいえん）：寒気さむけ、発熱はつねつ、骨ほねの痛いたみがあり、その骨ほねの上うえの皮膚ひふが赤あかくなって腫はれる

医師いしはふつう、診察しんさつすることで、黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうと分わかります。ほかの種類しゅるいの黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうかどうかを判断はんだんするために、医師いしは次つぎのような検査けんさをします：

• 血液検査けつえきけんさ

• 感染かんせんした体液たいえきの検査けんさ

医師いしは黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうを抗菌薬こうきんやくで治療ちりょうします。病院内びょういんないで感染かんせんした場合ばあいは、医師いしはあなたにMRSAに効果こうかのある抗菌薬こうきんやくを出だします。

• ときには、皮膚ひふの感染症かんせんしょうは、皮膚ひふにぬる軟膏なんこうで治療ちりょうできることがあります。

• 皮膚ひふの感染症かんせんしょうがより重おもい場合ばあいは、抗菌薬こうきんやくを飲のみ薬ぐすりで出だすか、ときには静脈じょうみゃくに注射ちゅうしゃします。

• 骨ほねの感染症かんせんしょうでは、ふつう、感染かんせんが起おきた骨ほねの組織そしきを取とり除のぞく手術しゅじゅつが必要ひつようになります。

• 膿瘍のうようがある場合ばあいは、医師いしが切開せっかいしてうみを出だします。

• 石せっけんと水みずで念入ねんいりに手てを洗あらうか、手ての消毒液しょうどくえきを使つかいましょう。

• 皮膚ひふに黄色おうしょくブドウ球菌感染症きゅうきんかんせんしょうが起おきている場合ばあいは、ほかの人ひとのために料理りょうりをしたり、食事しょくじを用意よういしたりしないでください。