ヒト免疫不全めんえきふぜんウイルス(HIV)感染症かんせんしょうとエイズ

レビュー/改訂 2021年 8月
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ヒト免疫不全めんえきふぜんウイルス(HIV)とはなんですか?

ヒト免疫不全めんえきふぜんウイルス(HIV)はレトロウイルスとばれるウイルスの一種いっしゅです。エイズ(後天性免疫不全症候群こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)をこし、これはいのちにかかわります。

HIVは、免疫系めんえきけいよわめる(不全ふぜんこす)ので、免疫不全めんえきふぜんウイルスといわれます。免疫系めんえきけいは、感染症かんせんしょうやがんからからだまもるのをたすけます。

HIVに感染かんせんすると、CD4陽性ようせいリンパきゅうばれる特定とくてい種類しゅるい白血球はっけっきゅう破壊はかいされて、免疫系めんえきけいよわくなります。十分じゅうぶんかずのCD4陽性ようせいリンパきゅうがないと、特定とくてい感染症かんせんしょうやがんにかかる可能性かのうせいたかくなります。

  • HIV感染症かんせんしょうは、特定とくてい感染症かんせんしょうやがんからからだまもちからよわめます。

  • HIV感染症かんせんしょうなおせる治療法ちりょうほうはありませんが、こうHIVやくというくすりが、ウイルスの増殖ぞうしょくおくらせるのにおおきな効果こうか発揮はっきします。

  • 治療ちりょうしなければHIVはエイズをこします。

  • できるだけはやこうHIVやくはじめると、エイズに関係かんけいした問題もんだいけるのに役立やくだちます。

  • ひとはHIVそのものではぬことはありませんが、感染症かんせんしょうやがんなどの合併症がっぺいしょうこることでんでしまうことがあります。

  • 安全あんぜん性行為せいこういこころがけ、ほかのひとおな注射針ちゅうしゃばり使つかまわさず、ほかのひとがつかないようにすれば、HIV感染症かんせんしょう予防よぼう役立やくだちます。

後天性免疫不全症候群こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん(エイズ)とはどのような病気びょうきですか?

エイズとは、HIVによってこされる後天性免疫不全症候群こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐんのことです。HIVに感染かんせんしたひとのだれもがエイズにかかっているわけではありません。HIVに感染かんせんして、つぎのどちらかにてはまる場合ばあい、エイズにかかります:

  • CD4陽性ようせいリンパきゅうかずがとてもすくない場合ばあい

  • 特定とくてい感染症かんせんしょうやがんにかかっている場合ばあい

エイズに特徴的とくちょうてき感染症かんせんしょうやがんはたくさんあります。よくみられるのは、つぎのものです:

エイズのひと体重たいじゅうがひどくることがおおいですが、これを「エイズるいそう」といいます。

HIV感染症かんせんしょう原因げんいんなんですか?

HIVというウイルスは、CD4陽性ようせいリンパきゅうにとりつくと、そこで自分自身じぶんじしんのコピーをたくさんつくってから、CD4陽性ようせいリンパきゅう破壊はかいし、そのコピーをばらまきます。ばらまかれたコピーがほかのCD4陽性細胞ようせいさいぼうにとりついて、どんどんコピーがつくられます。からだなかのHIVがなんじゅうおくものかずえるまで、これがかえつづきます。

感染かんせんしたひと体液たいえきとくつぎのようなもの)にふれることでHIVに感染かんせんする可能性かのうせいがあります:

  • 血液けつえき

  • 精液せいえき

  • ちつ分泌液ぶんぴつえき

  • 母乳ぼにゅう

なみだ尿にょう唾液だえきから感染かんせんすることはめったにありません。これらの体液たいえきにもウイルスはふくまれますが、そのりょうすくなくなります。

  • 感染かんせんしたひと無防備むぼうび性行為せいこういをするとHIVに感染かんせんします。

  • 感染かんせんしたひとおな注射針ちゅうしゃばり使つかまわすとHIVに感染かんせんします。

  • 妊娠中にんしんちゅう出産しゅっさんのとき、授乳じゅにゅうするときに、感染かんせんした母親ははおやからどもがHIVに感染かんせんすることがあります

  • しかし、HIVに感染かんせんしているひとにさわったり、きしめたり、ちかくにいたりしてもHIVには感染かんせんしません

HIV感染症かんせんしょうにはどのような症状しょうじょうがありますか?

おおくの場合ばあい、すぐには症状しょうじょうはみられません。HIVに感染かんせんしてから1~4週間しゅうかん以内いないに、つぎのような症状しょうじょうあらわれることがあります:

  • ねつ

  • 発疹ほっしんができる

  • くび、わきのしたあしにしこりができる―このしこりはリンパせつれたもので、リンパせつ感染症かんせんしょうからからだまもるのをたすけている、まめのようなかたちをしたちいさな器官きかんです。

  • からだちからはいらず、つかれをかんじる

これらの症状しょうじょうは3~14日間かかんつづきます。症状しょうじょうえたあと数年間すうねんかん症状しょうじょうはほとんどないか、まったくありません。

その治療ちりょうけなければ、よわくなった免疫系めんえきけい感染症かんせんしょうからからだまもることがむずかしくなります。どのような感染症かんせんしょうにかかるかによってことなる症状しょうじょうあらわれます。たとえば、はい感染症かんせんしょうでは、せきがて、呼吸こきゅうくるしくなることがあります。食道しょくどう感染症かんせんしょうでは、むときにいたくなることがあります。ちょう感染症かんせんしょうでは、下痢げりになって体重たいじゅうります。

医師いしはどのようにして、わたしがHIV感染症かんせんしょうかどうかを判断はんだんしますか?

医師いしはまず、あなたの血液けつえき唾液だえき(つば)をもちいて簡単かんたんなスクリーニング検査けんさおこないます。このスクリーニング検査けんさでHIVの徴候ちょうこうがある場合ばあいは、医師いしほか血液検査けつえきけんさをしてたしかめます。

HIVに感染かんせんしている場合ばあい医師いし血液けつえきなかのHIVのりょうはかります。

  • このりょうをウイルスりょうといいます。

あなたとあなたの医師いしにとって、このウイルスりょう重要じゅうようかずです。ウイルスりょうおおいということはわるいことです。体内たいないにたくさんのウイルスがいて、免疫系めんえきけいがとてもよわいということです。ウイルスりょうすくないことはよいことです。ふつう、治療ちりょういているという意味いみです。

医師いし定期的ていきてき血液検査けつえきけんさをして、あなたのからだにどれぐらいのCD4陽性細胞ようせいさいぼうがあるかを調しらべます。

  • これをCD4陽性細胞ようせいさいぼうかずといいます。

CD4陽性細胞ようせいさいぼうかずおおいということは、免疫系めんえきけいつよいということです。CD4陽性細胞ようせいさいぼうかずすくないということは、免疫系めんえきけいよわくなっていることです。CD4陽性細胞ようせいさいぼうかずすくないということは、くすりかなくなったか、あなたがくすりんでいないということをしめしている可能性かのうせいもあります。ウイルスがくすり耐性たいせいをもったために、くすりかなくなることがあります。CD4陽性細胞ようせいさいぼうかずがとてもすくなくなった場合ばあいは、感染症かんせんしょう予防よぼうするためにくすり必要ひつようがあります。

HIVに感染かんせんしていることをることは大切たいせつです。なぜなら治療ちりょうけることでよりながき、より健康けんこうになり、ほかひとにウイルスをうつさないようにするたすけになるからです。

医師いしはHIV感染症かんせんしょうをどのように治療ちりょうしますか?

医師いしはHIVを完全かんぜんなおすことはできませんが、こうレトロウイルスやくというこうHIVやく使つかってつぎのように感染かんせんおくらせることができます:

  • こうレトロウイルスやくはHIVが自分自身じぶんじしんのコピーをつくるのをめて、血液中けつえきちゅうのHIVのりょうらします。

  • こうHIVやくわせて使つかうともっと効果こうかたかいため、ふつうは3種類しゅるい以上いじょうのHIVやく使つかいます。

  • たくさんのくすり必要ひつようがないように、おおくの場合ばあい、いくつかのくすりが1つの錠剤じょうざいはいっています。

  • こうHIVやくはいつまでも必要ひつようがあります。

  • みじかあいだだけでもくすりむのをやめると、またHIVがいきおいを可能性かのうせいがあります。

医師いし処方しょほうするとおりにくすりめば、HIVに感染かんせんしていてもながきられます。

医師いしつぎのためにほかのくすりあたえることがあります:

  • 鵞口瘡がこうそう肺炎はいえんなどほか感染症かんせんしょう予防よぼうする

  • 筋力低下きんりょくていか体重減少たいじゅうげんしょうなどの副作用ふくさようをやわらげる

ほかのくすり処方しょほうされるまえに、どのこうHIVやく服用ふくようしているかを、かかっているすべての医師いしつたえるようにしてください。

HIV感染症かんせんしょうはどうすれば予防よぼうできますか?

安全あんぜん性行為せいこういこころがけて、ほかのひとおな注射針ちゅうしゃばり使つかまわさないことでHIVを予防よぼうできます。

  • 性行為せいこういさいにはラテックスせいのコンドームを使つかい、それをただしく使つかうようにすれば、もれたりやぶれたりしにくいです。

  • コンドームがよわくなるため、コンドームにはワセリンやその油性ゆせい潤滑剤じゅんかつざい使つかわないでください。

  • どのような性行為せいこういをするにしても、そのまえに、HIVの検査けんさけ、パートナーにも検査けんさけてもらってください。

  • 注射針ちゅうしゃばり注射器ちゅうしゃきはだれとも使つかまわしてはいけません。

  • ほかひと血液けつえき体液たいえきにさわる可能性かのうせいがある場合ばあいは、ラテックスせい手袋てぶくろをしてください。

  • 妊娠にんしんしている場合ばあいは、HIVの検査けんさけて、あかちゃんへの感染かんせん予防よぼうするために医師いしくすり使つかはじめられるようにしてください。

HIVにさらされるまえに、曝露ばくろまえ予防よぼう(PrEP)といって、こうHIVやく使つかうこともできます。しかし、このようなくすり高価こうかで、ふつうはHIVに感染かんせんしたパートナーがいるひとなど、感染かんせんのリスクがたかひとにだけに処方しょほうされます。

すでにHIVに感染かんせんしている場合ばあいは、安全あんぜん性行為せいこういこころがけて、ほかのひと注射針ちゅうしゃばり使つかまわさないことで、ほかのひと感染かんせんひろげないようにすることができます。

HIV感染症かんせんしょう予防よぼうするワクチンはまだありません。

HIVについてのくわしい情報じょうほうは、どこでおしえてもらえますか?

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