親密さを望む気持ちが加齢とともに衰えることはなく、肉体的な親密さを含め親密さが不適切な年齢はありません。しかしながら、しばしば加齢に伴って生じる病気や感情の変化が、親密な関係を築き維持する妨げとなることがあります。さらに、加齢により親密さを表現する方法が変化する場合があります。複数の研究で、高齢になっても活動性を維持している人、他者と交流している人は、より長く幸せで健康に生きることが示されています。ボランティア活動をする、講座を受講する、社会的活動を行うグループに参加する、趣味に熱中する、何らかのスピリチュアルな活動または宗教的活動を続けることはすべて、社会とのつながりを保つための手段になります。病気で家から出られない人でも、他者の訪問を受けたり、または電話もしくは電子メールで連絡したりすることで、つながりを保つことができます。
親密さ、特に肉体的な親密さは以下の原因により失われることがあります。
パートナーの喪失:パートナーの喪失または不在は、親密な関係への加齢に伴う障壁としておそらく最もよくみられるものです。
病気:加齢に伴ってよくみられるようになる様々な病気が肉体的な親密さを妨げることがあります。血管疾患と糖尿病は 勃起障害 高齢者での重要事項:勃起障害 勃起障害(ED)とは、性交を行うのに十分な勃起を達成または持続できないことです。 ( 男性の性機能障害の概要も参照のこと。) どんな男性でもときに勃起に至らない問題を抱えることがあり、そのような問題の発生は正常なことと考えられています。勃起障害(ED)は男性が次のような場合に起こります。 一切勃起できない 繰り返し短時間は勃起するが、性交に十分な時間ではない さらに読む を引き起こすことがあります。 関節炎 変形性関節症 変形性関節症は軟骨と周囲の組織の損傷を引き起こす慢性疾患で、痛み、関節のこわばり、機能障害を特徴とします。 関節の軟骨と周囲の組織の損傷による関節炎は、加齢に伴い、非常によくみられるようになります。 痛みや腫れ、骨の過剰な増殖がよくみられ、起床時や動かずにいた後に生じて30分以内に治まるこわばり(特に関節を動かしていると治まりやすい)も一般的です。 診断は症状とX線所見に基づいて下されます。... さらに読む は動きを制限し、動きに痛みを伴います。病気に関連がある痛み、不快感、薬剤、心配が親密さを望む気持ちを減退させることがあります。認知障害と 認知症 認知症 認知症とは、記憶、思考、判断、学習能力などの精神機能が、ゆっくりと進行性に低下していく病気です。 典型的な症状は、記憶障害、言語や動作の障害、人格の変化、見当識障害、破壊的または不適切な行動などです。 症状が進行すると普段の生活が送れなくなり、他者に完全に依存するようになります。 診断は症状と身体診察および精神状態検査の結果に基づいて下されます。 原因を特定するために血液検査と画像検査が行われます。 さらに読む は親密さへの同意とそれによる快感の問題を複雑にします。パートナーにとって、介護のストレスと負担が親密さを妨げることがあります。
薬剤の使用:高齢者は、親密さに影響を及ぼす問題(例えば、勃起障害または性欲減退)を引き起こす薬剤(高血圧の治療薬または脳機能に影響を及ぼす薬など)を服用する可能性が高くなります。
加齢に伴う変化:性ホルモンの量が減少し、その結果として生じる変化が性交を不快または困難にします。例えば、腟の粘膜が薄くなって(萎縮)、腟のうるおいが低下することがあります。性欲が減退することもあります。
加齢による影響について話したがらない:肉体的な親密さを妨げる障害を発症している場合、または身体の変化(例えば、しわまたはたるんだ身体)を恥ずかしいと思っている場合は、こうした変化についてパートナーまたは医師と話したがらないことがあります。
パートナー間の希望の食い違い:一方は親密さを肉体的に表現したいと望んでいるが、他方はそれを望んでいないことがあります。
プライバシーの欠如:肉体的な親密さにはプライバシーが守られる機会が必要ですが、高齢者が家族と同居していたり、または居住型の介護施設で生活していたりすると、そうした機会は少なくなります。
他の形の親密さへの移行:一緒に何年も生活する中で情熱が円熟することがあります。性交の頻度が減少したり、またはなくなったりすることがあります。多くのカップルは(ほとんどが気づかないうちに)パートナーへの親しみ、思いやり、または関わりが他の形(触れる、マッサージ、キス、または言語による愛情表現など)で表現された親密さを好むようになります。
それでもなお、多くの高齢者が健全な性的関係をもち続けます。親密さ、特に肉体的親密さは、うつ病の予防、自尊心や身体的健康の向上を助けることがあります。高齢者は、新しいセックスパートナーができた場合には、 安全な性行為 予防 性感染症(性病)とは、例外はあるものの、一般的には性的接触によって人から人に感染する病気のことです。 性感染症を引き起こす病原体の種類としては、細菌、ウイルス、原虫などがあります。 キスや濃厚な体の接触を介して広がる感染症もあります。 感染が体の他の部分に広がり、ときには深刻な結果に至る場合もあります。... さらに読む を行うべきです。 エイズ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む を含む 性感染症 性感染症(STI)の概要 性感染症(性病)とは、例外はあるものの、一般的には性的接触によって人から人に感染する病気のことです。 性感染症を引き起こす病原体の種類としては、細菌、ウイルス、原虫などがあります。 キスや濃厚な体の接触を介して広がる感染症もあります。 感染が体の他の部分に広がり、ときには深刻な結果に至る場合もあります。... さらに読む に罹患する高齢者が増えています。このような感染症は、年齢にかかわらずリスクです。
多くの高齢者、特に一人暮らしの高齢者はペットとの関わりの中に満足感や交友感を見出します。ペットの世話をすることで、目的意識とつながりが得られます。