再発性呼吸器乳頭腫症は ヒトパピローマウイルス ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症) ヒトパピローマウイルス(HPV)は、いぼの原因になります。HPVの中には皮膚にいぼを作り出すものもあれば、性器のいぼ(腟、陰茎、または直腸の内部や周囲に生じるできもので、尖圭コンジローマと呼ばれます)の原因になるものもあります。一部の種類のHPVに感染すると、がんになることもあります。HPVは性感染症です。 ヒトパピローマウイルス(HPV)の種類が違えば、引き起こされる感染症も異なります。例えば、性器にできる、目で見て確認しやすいいぼも... さらに読む (HPV)(皮膚のいぼや尖圭コンジローマを引き起こすウイルス)が原因で起こります。母親の性器周辺にHPV感染症がある場合、乳児は産道を通過する際にこのウイルスに感染する可能性があります。
気道のHPV感染は、 喉頭 のど のど(咽頭)とは、口の奥にあって、鼻腔より下、食道(のどと胃をつないでいる管状の臓器)および気管より上の部分です。咽頭は上から上咽頭、中咽頭、下咽頭という3つの部分で構成されています。のどは筋肉でできた通路であり、この通路を通って食べものが食道へ、空気が肺へと運ばれます。のどの中も、鼻や口と同様に、粘液を分泌し、毛のような突起(線毛)をもつ細胞からなる粘膜で覆われています。粘液にとらえられたほこりの粒子は、線毛によって食道へ運ばれて飲み... さらに読む の周囲や気管内に複数のいぼのような増殖病変を引き起こすことがあります。この増殖病変は、治療が終わった後に再度現れる(再発する)ことがよくあります。まれに、がんに変化することがあります(悪性化)。
喉頭乳頭腫はどの年齢の人にも発生しますが、最も多くみられるのは1~4歳の小児です。
症状
乳頭腫は、小児の声がれや、泣き声が弱いといった声の変化に親が気づいた際に疑われます。年長の子どもでは、話すのが難しくなることがあります。気管の乳頭腫は呼吸を妨げることがあります。
診断
生検
喉頭乳頭腫は、喉頭鏡による喉頭の検査で見つかります。診断を確定するために、乳頭腫の一部を採取して検査します(生検)。
予防
HPVワクチン ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、 HPVの中でも以下の病態を引き起こす可能性が非常に高い株による感染の予防に役立ちます。 女性の 子宮頸がん、 腟がん、 外陰がん 男性の 陰茎がん 肛門がん 尖圭コンジローマ さらに読む を接種した女性は感染する可能性が低いため、HPVを子どもに感染させる可能性も低くなります。
治療
手術による摘出
一部の腫瘍は思春期に消え始めることがありますが、再発性呼吸器乳頭腫症は治療することが推奨されています。通常の治療法は手術による切除です。この病気がある小児の多くは、小児期を通じて、乳頭腫が再発するたびに様々な手法で対処する必要があります。
重度の場合は、その他の治療法(パルス色素レーザー療法や光線力学療法など、 皮膚の異常に対するレーザー治療 皮膚の異常に対するレーザー治療 を参照)のほか、抗ウイルス薬(シドホビル[cidofovir])やがんの治療に使用される薬(ベバシズマブ)が用いられることがあります。
さらなる情報
役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
再発性呼吸器乳頭腫症財団(Recurrent Respiratory Papillomatosis Foundation[RRPF]):親と養育者のための情報と支援を提供している