骨軟骨異形成症では、通常は結合組織の発達に重要な役割を果たす遺伝子の変異のために、 骨 骨 骨は強固ながら、絶えず変化している組織で、いくつかの機能を果たしています。骨にはまず、人体を堅固に形づくるとともに、壊れやすい内臓を盾のように保護する役割があります。骨の内部には骨髄が収まっていて、そこでは血液の細胞(血球)がつくられます。骨はまた、カルシウムの貯蔵場所として、体内のカルシウムを一定量に保つ役割も担っています。 小児の一部の骨には、 成長板と呼ばれる部分があります。骨はその部分で伸びていき、身長が伸び切ると、成長板は閉鎖... さらに読む 、軟骨、結合組織の発育と発達が障害されます。 結合組織 小児における結合組織疾患の概要 結合組織は頑丈で、その多くは線維性であり、互いに結合して体の構造を支えるとともに、弾力性をもたらしています。 筋肉、 骨、軟骨、 靱帯、 腱は、ほとんどが結合組織からできています。ほかには皮膚や内臓などにも結合組織があります。結合組織の特徴や含まれる細胞の種類は、体のどこに位置する組織かによって異なります。結合組織は、重さや張力に耐えられ... さらに読む は頑丈で、その多くは線維性であり、互いに結合して体の構造を支えるとともに、弾力性をもたらしています。
骨軟骨異形成症はタイプによって現れる症状が異なりますが、すべての骨軟骨異形成症の患者で低身長(低身長症)がみられます。低身長症は、成人での身長が男女ともに147センチメートル以下であることと定義されています。
体幹に比べて腕や脚が短くなる(四肢短縮型低身長症)こともあれば、腕や脚よりも体幹が短くなることもあります。
四肢短縮型低身長症の中で最も一般的で最もよく知られた病型を、軟骨無形成症といいます。軟骨無形成症の小児や成人では多くの場合、 O脚 O脚 膝関節の変形には、大きく分けてO脚とX脚の2種類があります。これらは先天異常です。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。( 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。) O脚は、医師には内反膝と呼ばれており、脚が膝の部位で外側に弯曲し、膝が正常な場合より広く離れているように見えます。この外見の原因は通常、出生前の子宮内での脚... さらに読む 、広い額、異常な形の鼻(鞍鼻[あんび])がみられ、背中が曲がります。関節の発育が悪く、十分に動かないこともあります。
致死性骨異形成症という致死性の四肢短縮型低身長症があり、これは新生児で重度の胸部変形と呼吸不全を引き起こし、結果的に死をもたらします。
骨軟骨異形成症の診断
医師による評価
X線検査
出生前検査
骨軟骨異形成症の診断は通常、症状と、身体診察や骨の X線検査 X線検査 筋骨格系の病気は、病歴と 診察の結果に基づいて診断されることがよくあります。医師が診断を下したり確定したりするのを助けるために、 臨床検査や 画像検査、 その他の診断方法が必要になることがあります。 筋骨格系の病気の診断には、臨床検査がしばしば役立ちます。例えば、赤血球沈降速度(赤沈)は、血液が入った試験管の中で赤血球が底に沈んでいく速さを測定する検査です。炎症が起きていると、通常は赤沈の値が上昇します。しかし、炎症は非常に多くの病態で... さらに読む の結果に基づいて下されます。
血液検査によって、骨軟骨異形成症の原因となる遺伝子異常を発見できることがあります。出生前にこの病気かどうか予測するには遺伝子検査が最も役立ちます。
他の方法により出生前に重いタイプを診断することも可能です。 場合によっては、胎児鏡によって胎児を直接観察したり、 超音波検査 超音波検査 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。... さらに読む を行います。
骨軟骨異形成症の治療
人工関節置換術
ときに、脚延長術とO脚の矯正
関節の動きがひどく制限される場合は、関節(例、股関節)を人工関節と置換する手術が必要になることがあります。
医師が手術で脚延長を行い、成人身長を伸ばすこともあります。O脚を矯正する手術を行うこともあります。
軟骨無形成症の人は低身長ですが、成長ホルモンによる治療は一般に効果的ではありません。しかし、可能性のある治療法として、骨の成長に関与する可能性がある薬であるボソリチドが使用可能です。
ほとんどの骨軟骨異形成症で基礎にある遺伝子異常が同定されているため、遺伝カウンセリングが効果的です。
リトルピープル・オブ・アメリカ(Little People of America)などの組織が患者のために資料を提供しており、患者の擁護団体として活動しています。他の国々でも同様の団体が活動しています。
さらなる情報
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リトルピープル・オブ・アメリカ(Little People of America):低身長の人に地域のリソースや医療に関する支援と情報を提供する組織