小児の鼠径ヘルニア

執筆者:William J. Cochran, MD, Geisinger Clinic
レビュー/改訂 2021年 8月
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やさしくわかる病気事典

ヘルニアとは、腸の一部が腹壁の異常な開口部から押し出されている状態のことです。鼠径ヘルニアは鼠径部に生じます。

  • 腸の一部が鼠径部の穴から突出します。

  • 通常、鼠径部または陰嚢(いんのう)に痛みのない膨らみができます。

  • 診断は診察と画像検査の結果に基づいて下されます。

  • 通常、ヘルニアは外科的に修復します。

(成人については、鼠径(そけい)ヘルニアを参照のこと。)

鼠径部で起きるヘルニアは鼠径ヘルニア( see figure 鼠径ヘルニアとは)と呼ばれます。鼠径ヘルニアは女児より男児に多く、とりわけ早産児に多くみられます。ほとんどが右側に発生し、約10%が鼠径部の両側に生じます。鼠径ヘルニアは広がって鼠径部に入り、陰嚢に入ることもあります。鼠径ヘルニアでは、腹壁の開口部は出生時から存在している場合もあれば、後天的にできる場合もあります。

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアでは、腸管や他の腹部臓器の一部が腹壁の開口部を通って鼠径管に押しこまれています。鼠径管には、精管、血管、神経などで構成される精索が通っています。腹部で形成された精巣は、出生前に鼠径管を通って下っていき陰嚢の中に収まります。

鼠径ヘルニアの症状

鼠径ヘルニアでは通常、鼠径部または陰嚢(いんのう)に痛みのない膨らみができます。

鼠径ヘルニアの合併症

ときには腸管の一部が陰嚢にはまりこみ戻らなくなることもあり(嵌頓[かんとん]と呼ばれます)、膨らんだ部分は硬くなったり、圧痛があったり、腫れたり、赤くなったりします。この場合、腸管のその部分に血液が供給されなくなることがあります(絞扼[こうやく]と呼ばれます)。血流を断たれた腸管は、数時間以内に壊死(壊疽[えそ])することがあり、これは緊急事態です。

鼠径ヘルニアの診断

  • 医師の診察

  • ときに画像検査

診察の結果に基づいて、診断が下されます。

診断の補助に、超音波検査CT検査が行われることがあります。

鼠径ヘルニアの治療

  • 手術による修復

鼠径ヘルニアでは嵌頓が生じることがあるため、医師は通常、手術を勧めます。手術の前に、医師が手で突出した腸を元の位置に戻すことを試みる場合があります(徒手整復)。ヘルニアが絞扼や嵌頓を起こしている場合は、直ちに手術が行われます。

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