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乳児の病気と死

執筆者:

Steven D. Blatt

, MD, State University of New York, Upstate Medical University

レビュー/改訂 2021年 10月
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早産児 早産児 早産児とは、在胎37週未満で生まれた新生児のことです。生まれた時期によっては、早産児の臓器は発達が不十分で、子宮外で機能する準備がまだできていないことがあります。 早産の既往、多胎妊娠、妊娠中の栄養不良、出生前ケアの遅れ、感染症、生殖補助医療(体外受精など)、高血圧などがある場合、早産のリスクが高くなります。 多くの臓器の発達が不十分であるため、早産児では呼吸したり哺乳したりすることが難しく、脳内出血、感染症や他の異常が起こりやすくなり... さらに読む や病気にかかっている乳児は、治療やケアのために一時的に親元から離さなければならないことがよくあります。親が抱いてあげることを医師が許可することもありますが、医療上のケアのために親子の接触が厳しく制限されることもしばしばです。さらに、親は子どもの状態を案じて精神的に悩むのが通常です。親が最も必要とされているときに、親が無力感を覚えてしまいがちです。離れ離れになっていることや親としての心痛が無力感や罪悪感を強めることがあり、特に乳児が重い病気で長期入院している場合に、その傾向があります。(小児の死亡と終末期 小児の死亡と終末期 多くの家族が、病気で死を迎えつつある子どもにまつわる難しさに対処しなければなりません。大人は死への対処にしばしば苦労し、小児は友達や家族の死亡を理解しようとして特に困難に直面することがあります( 乳児の病気と死および 死と死期に関する序も参照)。 小児の死亡は病院や救急診療部で最も多く起こります。死亡は、がんのように長い病気の後に起こることも、けがや乳児突然死症候群( SIDS)のように、突然、予期せずに起こることもあります。小児の死亡... さらに読む および 死と死期に関する序 死と死期に関する序 本質的に死は生の一部であるため、医療においては、死や死期を視野に入れつつ病気の見通しについて話し合うことが重要です。医師と患者は使う言葉も違えば、そうした話し合いに臨む気持ちにも違いがあります。 また、必要とする情報の量や意思決定に関与できる程度も、人によって様々です。一般に重病患者と周囲の親密な人々は、今後の病気の見通しを理解し、各自の... さらに読む も参照のこと。)

乳児の病気

許可が出たら、できるだけ早く、かつできるだけ多く、乳児に会いに行き、抱き上げてスキンシップをはかることが必要です。病状が重い場合でも、親が授乳や入浴、着替えを手伝えることがよくあります。親とのスキンシップを経験した乳児は、そうでなかった乳児と比較して体重がより早く増加するため、スキンシップをはかることが奨励されます。最初のうちはチューブを通して授乳しなくてはならない場合でも、母乳を飲ませることができるようになることがあります。新生児育児室の多くが、母乳を保存しておき、小児に与えることを支援しています。多くの病院では、親が乳児のベッド横に24時間いることを勧めており、家族向けの病院の施設案内にも参加して、医師、看護師、他のスタッフと接触をもち、治療計画について話し合うことを奨励しています。

乳児に 先天異常 先天異常の概要 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。それらの異常は通常、出生時か生後1年以内に明らかになります。 多くの先天異常は原因不明ですが、感染、遺伝的要因、そして特定の環境要因が先天異常の発生リスクを高めます。 出生前の段階では、母親がもつ危険因子と超音波検査の結果のほか、ときに血液検査、... さらに読む があると、親は罪悪感、悲しみ、怒りを覚える場合があり、恐怖を感じることさえあります。自分のそのような感情に気づいて、より一層後ろめたく思う人も大勢います。自分の子どもに会って触れあう中で、親は先天異常以外の部分に気づき、乳児を1人の人間としてみることができるようになります。小児の状態や可能な治療法、今後の見通しに関する情報を知れば、親は気持ちを立て直して、子どもに最もよい医療を受けさせる計画を立てられるようになります。親によっては、カウンセリングが役に立つ場合もあります。

乳児の死亡

自分の子どもの死は、親にとって間違いなく大きな心の傷となります。しかし、出産後に対面したり、触れたりする前に子どもが死亡した場合、親はあたかもその子が最初からいなかったかのように感じることがあります。非常につらいのは確かですが、亡くなった子どもに対面したり、抱いたりすることで、親は悲しみを感じられるようになり、その出来事を乗り越えるための第一歩を踏み出せます。死産で生まれた場合は、ベビー服を着せたり、写真を撮ったりすると慰められることもあります。このような行為を通じて、死産で生まれた小児が一人の人間として扱われ、家族の大切な一員であったという思いが強まります。

知っていますか?

  • 親は、亡くなったわが子を目にし、触れることで、初めて悲しみを感じるようになります。

虚無感、希望や夢の喪失感、恐怖などに打ちのめされて、抑うつ状態になる親もいます。子どもの死に対して責任がない場合でも、親は罪悪感を抱き、自分を責める傾向があります。子どもの死に伴う悲しみや罪悪感は、夫婦の関係にも悪影響を与えることがあります。この悲しみの過程により、他の兄弟姉妹などの家族が必要とする世話を親ができなくなる場合もあります。

重い病気の乳児をもつ家族や乳児を亡くした経験のある家族の多くでは、精神医療従事者や宗教家によるカウンセリングが支えとなる可能性があります。また、親や家族の支援グループが役立つこともあります。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  • マーチ・オブ・ダイムス:赤ちゃんを亡くした後の悲しみに向き合う(March of Dimes: Dealing with Grief After the Death of Your Baby):生まれる前や生まれた後に赤ちゃんを亡くした家族に対する支援を提供しています。

  • ケアリング・コネクション(Caring Connections):子どもの緩和ケアや終末期ケアに関する情報を提供しています。

  • コンパッショネイト・フレンズ(The Compassionate Friends):子どもを亡くした両親や養育者に対する支援を提供しています。

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