網膜の病気の概要

執筆者:Sonia Mehta, MD, Vitreoretinal Diseases and Surgery Service, Wills Eye Hospital, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2022年 4月
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    網膜は、眼の奥にあって光を感じ取る透明な構造物です。角膜水晶体を通った光はこの網膜上に焦点を結びます。網膜中央部を黄斑(おうはん)といい、色に対する感度が高い視細胞(光を感じる細胞)がここに密集しています。これらの細胞は錐体(すいたい)細胞といい、極めて鮮明な像をつくり出し、中心視力と色覚を担っています。黄斑をとり囲む網膜周辺部には桿体(かんたい)細胞と呼ばれる視細胞があります。桿体細胞は弱い光を感じることができますが、色を感じる機能はありません。桿体細胞は周辺視力と夜間の視力を担っています。

    網膜もうまく構造こうぞう

    視神経は、視細胞(錐体細胞と桿体細胞)が発する視覚信号を脳へと伝えます。それぞれの視細胞からは細い神経の枝が出て、視神経につながっています。視神経は、脳の視覚中枢に信号を伝える神経細胞へつながっており、この信号は脳で映像として認識されます。

    視神経と網膜には、血液と酸素を供給する血管がたくさんあります。その一部は網膜と眼球外側の白い層(強膜)の間にある脈絡膜という血管に富んだ層から来ています。網膜に血液を供給するもう1つの主な血管は網膜中心動脈で、この血管は視神経付近で網膜に到達してそこから網膜各部へと枝分かれしています。血液は網膜を流れた後、網膜中心静脈の分枝へ排出されます。網膜中心静脈は視神経の中を通って眼外に出ていきます。

    医師が網膜を診察する際は、瞳孔を散大させるために点眼します。散瞳すると、検眼鏡(眼の奥を照らすライトの付いた拡大鏡)で網膜をより詳細に見ることができるようになります。

    網膜の病気は、しばしば眼科医が診断し、治療します。眼科医とは、あらゆる眼の病気の評価と(手術を含む)治療を専門とする医師のことです。多くの場合、治療は網膜の病気を専門とする眼科医が行います。

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