(皮膚炎の概要 皮膚炎の概要 皮膚炎は皮膚の上層に起きた炎症で、かゆみ、水疱、発赤、腫れを生じ、多くの場合、じくじくしてかさぶたになり、鱗屑(うろこ状のくず)が生じます。 原因として分かっているものには、皮膚の乾燥、特定の物質への接触、特定の薬、静脈瘤などがあります。 典型的な症状には、かゆみを伴う赤い発疹、鱗屑、ただれ、じくじく、かさぶたなどがあります。 診断は一般的には症状に基づいて下され、皮膚テストもしくは皮膚生検の結果、または原因として疑われる薬(被疑薬)や... さらに読む も参照のこと。)
うっ滞性皮膚炎は、脚の静脈が損傷して血液が正常に流れなくなった状態である下腿の 慢性静脈不全症 慢性静脈不全症と静脈炎後症候群 慢性静脈不全症は、脚の静脈が損傷し、血液が正常に流れない状態です。静脈炎後症候群は、静脈内の血栓によって生じる慢性静脈不全症です。 慢性静脈不全症は、脚の不快感、腫れ、皮膚の発疹、変色、潰瘍を引き起こすことがあります。 静脈炎後症候群は、静脈の血栓を原因とする慢性静脈不全症です( 深部静脈血栓症)。 診断には、デュプレックス法による超音波検査を用います。 治療には、下肢の挙上(脚を上げておくこと)、弾性ストッキングの着用、傷口の慎重な治... さらに読む 、 心不全 心不全 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 、または リンパ浮腫 リンパ浮腫 リンパ浮腫とは、リンパ液が組織の中にたまった結果、むくみが生じたものです。 リンパ管が損傷または閉塞すると、リンパ液は流れることができずに組織内に貯留するため、腫れがもたらされます。 圧迫包帯や空気弾性ストッキングを使用して、むくみを軽減することができます。 ( リンパ系の概要も参照のこと。) リンパ節は、豆のような形をした非常に小さな器官で、リンパ液をろ過しています。リンパ節は全身に分布していますが、特に首すじ、わきの下、鼠径部の皮膚... さらに読む によって慢性のむくみ(浮腫)がある人に発生します。
うっ滞性皮膚炎は、通常はすねに発生しますが、リンパ節に放射線療法をした後の腕など、むくみやすい他の部位に発生することもあります。
うっ滞性皮膚炎の症状
最初は、通常はすねの皮膚にかゆみ、発赤、鱗屑(うろこ状のくず)、肥厚がみられます。
やがてその部分の皮膚が破れ、びらん(潰瘍)ができます。潰瘍は、細菌に感染して 蜂窩織炎 蜂窩織炎 蜂窩織炎(ほうかしきえん)は、皮膚とそのすぐ下の組織に生じる、広がりやすい細菌感染症です。 この感染症の最も一般的な原因はレンサ球菌またはブドウ球菌です。 患部の皮膚に発赤、痛み、圧痛がみられるほか、しばしば皮膚を触ると熱く感じたり、一部の人では発熱や悪寒が生じたり、より重篤な症状が現れたりすることもあります。 医師の診察や、ときに臨床検査の結果に基づいて診断されます。 この感染症の治療には抗菌薬が必要です。 さらに読む (皮膚の細菌感染症の一つ)を引き起こすことがあり、通常は痛みがあります。
慢性静脈不全症が原因の場合は、皮膚が黄褐色に変色することがあり、通常は 静脈瘤 静脈瘤 下肢静脈瘤とは、脚の表在静脈に起こる異常な拡張のことです。 下肢静脈瘤は、脚に痛み、かゆみ、疲労感を引き起こすことがあります。 皮膚の診察で、静脈瘤を確認することができます。 手術や注入療法で静脈瘤を除去することができますが、しばしば新しい静脈瘤ができます。 ( 静脈系の概要も参照のこと。) さらに読む (拡張して蛇行した静脈)が生じ、皮膚が硬く、厚くなって、痛みや圧痛が生じることがあります。このような合併症は硬化性脂肪織炎と呼ばれます。硬化性脂肪織炎症では、下腿(膝から足首までの部分)が、ふくらはぎが太く足首が細い逆向きのボウリングのピンに似た形状になります。
うっ滞性皮膚炎の診断
皮膚の外観と慢性静脈不全症の有無
場合により超音波検査
特徴的な皮膚の変化がみられ、脚のむくみや 慢性静脈不全症 慢性静脈不全症と静脈炎後症候群 慢性静脈不全症は、脚の静脈が損傷し、血液が正常に流れない状態です。静脈炎後症候群は、静脈内の血栓によって生じる慢性静脈不全症です。 慢性静脈不全症は、脚の不快感、腫れ、皮膚の発疹、変色、潰瘍を引き起こすことがあります。 静脈炎後症候群は、静脈の血栓を原因とする慢性静脈不全症です( 深部静脈血栓症)。 診断には、デュプレックス法による超音波検査を用います。 治療には、下肢の挙上(脚を上げておくこと)、弾性ストッキングの着用、傷口の慎重な治... さらに読む の他の症状がある人にうっ滞性皮膚炎が診断されます。
より詳しい評価と画像検査(超音波検査など)が必要になることもあります。
うっ滞性皮膚炎の治療
脚に血液がたまらないようにする対策
皮膚炎を緩和する対策
潰瘍に対し、専用のドレッシング材またはウンナブーツ
感染症に対し、抗菌薬
慢性のむくみの原因を治療します。
慢性静脈不全症の治療
長期的治療では、足首の周囲の静脈に血液がたまるのを防ぐことで、 慢性静脈不全症の治療 治療 慢性静脈不全症は、脚の静脈が損傷し、血液が正常に流れない状態です。静脈炎後症候群は、静脈内の血栓によって生じる慢性静脈不全症です。 慢性静脈不全症は、脚の不快感、腫れ、皮膚の発疹、変色、潰瘍を引き起こすことがあります。 静脈炎後症候群は、静脈の血栓を原因とする慢性静脈不全症です( 深部静脈血栓症)。 診断には、デュプレックス法による超音波検査を用います。 治療には、下肢の挙上(脚を上げておくこと)、弾性ストッキングの着用、傷口の慎重な治... さらに読む を行うことを目的とします。
座る場合は、脚を心臓より高く上げた姿勢をとるようにします。
医師が処方する適切な強さのサポートストッキング(弾性ストッキング)を着用することでも、血液がたまるのを防いでむくみを軽減することができます。ただし、デパートなどで販売されている「サポート」ストッキングでは通常は不十分です。
皮膚炎の治療
最近始まった皮膚炎に対しては、潰瘍がなければ、コルチコステロイドのクリームや軟膏を患部に塗ると役に立つことがあります。病状が悪化し、患部が熱をもって赤くなり、じくじくしたり、小さい潰瘍が生じたりする場合は、ハイドロコロイドなどのより吸収性のあるドレッシング材を使用します。
うっ滞性皮膚炎では、皮膚は非常に刺激を受けやすい状態になります。病状を悪化させることがあるため、抗菌薬入りクリーム、応急処置用(麻酔用)クリーム、ラノリンアルコール、マンサク、ラノリン、その他の化学物質の使用は避けるようにします。
潰瘍の治療
潰瘍は、酸化亜鉛のペーストで作られた湿布やドレッシング材で治療するのが最善です。水分を多く含むハイドロコロイドドレッシング材やハイドロゲルドレッシング材が使われることもあります。
ウンナブーツと呼ばれる、亜鉛入りのペースト状ゼラチンを含んだ伸縮性のある包帯を使用しなければならない場合もあります。この包帯を下腿(膝から足首までの部分)と足首に巻くと、その部分は固定されますが、ギプスほど硬くはなりません。このブーツ状包帯は、むくみが広がるのを抑えて皮膚を刺激から守り、また包帯に含まれたペーストが皮膚の治癒を助けます。最初のうちは、この包帯を2~3日毎に交換しますが、しばらく経てば週に1~2回だけ交換します。潰瘍が治った後は、朝、起きる前に弾性ストッキングを履くようにします。どのようなドレッシング材を使用するとしても、治癒させるためには、むくみを(通常は圧迫によって)抑えることが不可欠です。
皮膚に塗る抗菌薬は、一部の皮膚の破れや炎症のある部分や潰瘍の治療に有用です。蜂窩織炎の治療には抗菌薬の内服薬が使用されます。
潰瘍が非常に大きい場合は、体の他の部分から皮膚を移植することもあります。