マクロライド系は、ペニシリン系薬剤に対してアレルギーがある人の感染症の治療にしばしば使用される 抗菌薬 抗菌薬の概要 抗菌薬は 細菌感染症の治療で使用される薬です。ウイルス感染症や他のほとんどの感染症には効果がありません。抗菌薬は細菌を殺すか、その増殖を止めることによって、人体に 自然に備わっている防御機構が微生物を排除するのを助けます。 医師は抗菌薬を特定の細菌感染症に対して使用しようとしますが、ときには... さらに読む のクラスです。
マクロライド系薬剤としては以下のものがあります。
アジスロマイシン
クラリスロマイシン
エリスロマイシン
フィダキソマイシン
マクロライド系薬剤は、細菌が増殖するために必要なタンパク質を作り出すのを妨げることによって作用します。
フィダキソマイシンは口からの摂取(経口投与)のみが可能で、経口投与された場合は、最小限の量が血液中に 吸収 薬の吸収 薬の吸収とは、投与後に薬が血液中に移動することです。 ( 薬の投与と薬物動態に関する序も参照のこと。) 吸収は、どれほど速くどれだけの量の薬が、対象とする標的部位に届くかを意味する生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)に影響します。吸収(そしてその結果としての生物学的利用能)に影響する要因としては、以下のものがあります。 薬を設計し製造する方法 薬の物理的および化学的な性質 さらに読む されます。クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile) 腸炎 クロストリジオイデス(以前のクロストリジウム)・ディフィシル(Clostridioides (formerly Clostridium) difficile)腸炎 クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile[C. difficile])腸炎は、大腸(結腸)の炎症で、下痢を生じます。クロストリジオイデス・ディフィシル(C. difficile)という細菌が作る毒素によって炎症が引き起こされますが、これは通常、腸内でのこの細菌の増殖をもたらす抗菌薬を使用した後にみられます。... さらに読む の治療に使用されますが、健康な腸に正常に生息している他の細菌にはあまり害を及ぼしません。
マクロライド系薬剤は、他の多くの薬剤と相互作用を起こします(薬物間相互作用 薬物間相互作用 薬が人に与える影響については、薬が以下のものと相互作用することにより、予想されたものとは異なる可能性があります。 その人が服用している別の薬(薬同士の相互作用) その人が摂取している飲食物やサプリメント(薬と栄養素の相互作用) その人がかかっている別の病気(薬と病気の相互作用) 薬物相互作用は、通常は好ましくなく、ときに害をもたらすことがあります。相互作用では以下のことが起こる可能性があります。 さらに読む といいます)。多くの場合、相互作用により他の薬剤の作用(副作用を含む)が強まります。他の特定の薬剤と併用した場合、マクロライド系薬剤は、 QT延長症候群 トルサード・ド・ポワンツ型心室頻拍 トルサード・ド・ポワンツ型心室頻拍は、特別なタイプの 心室頻拍で、QT間隔が長くなるQT延長症候群という心臓の電気伝導系の病気がある人で発生します。 QT間隔とは、心電図上に現れる2つの事象の間(Q波の開始からT波の終了まで)の時間のことです。 ( 不整脈の概要と 心室頻拍も参照のこと。) QT間隔を延長させる異常があると、トルサード・ド・ポワンツ型心室頻拍と呼ばれる危険な不整脈のリスクが高まります。一部の人は、QT間隔の延長を引き起こ... さらに読む がある人の心臓突然死のリスクを高めることがあります。
マクロライド系
(抗菌薬の概要 抗菌薬の概要 抗菌薬は 細菌感染症の治療で使用される薬です。ウイルス感染症や他のほとんどの感染症には効果がありません。抗菌薬は細菌を殺すか、その増殖を止めることによって、人体に 自然に備わっている防御機構が微生物を排除するのを助けます。 医師は抗菌薬を特定の細菌感染症に対して使用しようとしますが、ときには... さらに読む も参照のこと。)
妊娠中や授乳期間中のマクロライド系薬剤の使用
妊娠中にマクロライド系薬剤を使用するのは、治療による効果がリスクを上回る場合だけに限定するべきです。
エリスロマイシンとアジスロマイシンについては、動物を対象とした研究で胎仔に対する有害な影響は認められていませんが、妊婦を対象とする適切なデザインに基づく研究は実施されていません。エリスロマイシンは妊娠中に使用できる最も安全な抗菌薬の1つと考えられています。エリスロマイシンの方が多く使用され、その結果より多くのことが知られているため、アジスロマイシンより安全であるとみなされています。
マクロライド系薬剤のクラリスロマイシンについては、動物を対象とした研究で胎仔に対する有害な影響が認められています。したがって、代替薬がない場合を除き、妊婦はクラリスロマイシンを服用すべきではありません。(妊娠中の薬の使用 妊娠中の薬の使用 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。病気や症状の治療に使用された薬剤が原因で発生... さらに読む も参照のこと。)
授乳期間中にエリスロマイシンを使用することは、一般に許容可能と考えられています。その他のマクロライド系薬剤を授乳期間中に使用しても安全かどうかは不明です。(授乳期間中の薬の使用 授乳期間中の薬の使用 授乳期間中に母親が薬剤を使用しなければならなくなると、授乳をやめるべきかどうか迷います。答えは以下の条件によって変わってきます。 母乳に移行する薬剤の量 薬剤が乳児に吸収されるかどうか 薬剤は乳児にどのような影響を与えるか 乳児の哺乳量はどのくらいか(乳児の月齢と母乳以外の食事や水分の摂取量により異なる) さらに読む も参照のこと。)