ジフテリア・破傷風・百日ぜき混合ワクチン

執筆者:Margot L. Savoy, MD, MPH, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
レビュー/改訂 2023年 1月
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ジフテリア・破傷風・百日ぜき混合ワクチンは、この3つの病気を予防するためのワクチンです。

  • ジフテリアにかかると、通常はのどや口の中の粘膜に炎症が起きます。ジフテリアの原因菌は毒素を放出し、心臓、腎臓、神経系を侵すことがあります。ジフテリアはかつて小児の死因の上位を占めていました。

  • 破傷風(開口障害)では、細菌が作る毒素のために重度の筋肉のけいれんが起こります。破傷風菌は通常、傷口から体内に入ります。

  • 百日ぜきは非常に感染力の強い呼吸器感染症で、2歳未満の小児や免疫機能が低下している人の場合は特に危険です。

詳細については、CDCによるTdap(破傷風・ジフテリア・百日ぜき)ワクチン説明書(Tdap (Tetanus, Diphtheria, Pertussis) vaccine information statement)を参照してください。

予防接種の概要も参照のこと。)

ワクチンには以下の2つの種類があります。

  • 7歳以下の小児に対してDTaP(ジフテリア・破傷風・百日ぜき)

  • すべての青年と成人に対してTdap(破傷風・ジフテリア・百日ぜき)

Tdapは、dpが小文字になっていることで示されているように、ジフテリア(diphtheria)と百日ぜき(pertussis)のワクチンの量が少なくなっています。青年や成人には低用量で十分です。破傷風とジフテリアの成分だけを含有するワクチンもあります(破傷風・ジフテリア混合[Td]ワクチン)。

ジフテリア・破傷風・百日ぜき混合ワクチンの接種

DTaPワクチンは、筋肉内への注射で接種されます。小児定期接種の一環としてDTaPの接種は5回行われ、米国での一般的な接種時期は生後2カ月、4カ月、6カ月、15~18カ月、4~6歳の時点です。

DTaPに続いて、生涯にわたり効果が得られる用量のTdapを11~12歳で追加接種し、また13歳以上の人でTdapを一度も受けたことがない人や、受けたかどうか不明な人もこれを接種します。この後、10年毎にTdを追加接種します。

妊婦は1回の妊娠につき1回、(できれば妊娠27~36週時点で)Tdapを接種します。妊娠が終わったら、Tdapの接種を受けたことのない女性は接種します。

特定の条件によって、ワクチンを接種するかどうかと接種を受ける時期が変わる場合があります(CDC:これらのワクチンを接種すべきでない人[Who Should NOT Get Vaccinated With These Vaccines?]も参照)。対象者が一時的に病気にかかっている場合、ワクチンの接種はその病気が治まるまで待つのが通常です。

ジフテリア・破傷風・百日ぜき混合ワクチンの副反応

注射部位が赤くなり、痛み、腫れが生じることがあります。重篤な副反応はまれです。具体的には、高熱、あやしても泣きやまない、脳の問題、けいれん発作、ショック、重度のアレルギー反応などがあります。

重篤な副反応は、通常はワクチンのうちの百日ぜきの成分から生じます。重篤な副反応が起きた場合、百日ぜきの成分を含有するワクチンが再び接種されることはありません。その代わりに、破傷風・ジフテリア混合ワクチン(百日ぜきの成分を含みません)によって、規定回数の接種を完了します。

DTaPまたはTdapワクチンの接種後3日以内にけいれん発作が起こった場合、または7日以内にその他の脳の機能不全を示す徴候がみられた場合には、そのワクチンは再び接種されません。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention (CDC)):Tdap(破傷風・ジフテリア・百日ぜき)ワクチン説明書(Information statement about the Tdap (tetanus, diphtheria, pertussis) vaccine)

  2. CDC: Tdapワクチンを接種すべきでない人に関する情報(Information about people who should NOT get vaccinated with the Tdap vaccine)

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