(鉄過剰症の概要 鉄過剰症の概要 鉄は生命になくてはならないものです。したがって、人間の体では食物からの鉄の吸収や、赤血球からの鉄の再利用が厳密にコントロールされています。毎日少量の鉄が失われており、たとえ健康的なメニューでも、食事中に含まれる鉄の量はほんのわずかです。そのため、体内に過剰な鉄が蓄積されることはまれですが、鉄が過剰に蓄積される(鉄過剰症)原因としては以下の... さらに読む も参照のこと。)
ヘモジデリン沈着症が起こる部位として多いのは肺や腎臓です。ヘモジデリン沈着症の原因には以下のものがあります。
組織への直接出血後、赤血球が分解されて組織内に鉄が放出される
血管内で赤血球が破壊されることによって血液中に鉄が放出され、腎臓で血液の老廃物がろ過される際に腎臓内に鉄が蓄積する
通常はありませんが、鉄の沈着によって臓器が障害されることがあります。障害の程度は、臓器内に鉄が沈着した量によって決まります。まったく障害を受けない場合もあれば、ある程度の障害を受ける場合もあります。出血と赤血球破壊を原因とするヘモジデリン沈着症の場合、治療は通常必要ありません。
ある臓器内で出血すると(例えば特定の種類の肺疾患がある患者の肺でみられるように)、その臓器内に血球由来の鉄が残ることがよくあります。肺に残っている鉄の量に応じて、まったく問題が起きないこともあれば、肺に様々な程度の障害が生じることもあります。
非アルコール性 脂肪性肝疾患 脂肪肝 脂肪肝は、肝細胞の内部に中性脂肪(トリグリセリド)が過剰に蓄積した状態です。 脂肪肝の患者には、疲労や腹部の軽い不快感が生じることがありますが、それ以外の症状はみられません。 脂肪肝は、線維化や肝硬変などの進行した肝疾患を引き起こすことがあります。 診断を確定するため、また損傷の原因と範囲を特定するために肝生検が必要になることがあります。 医師は、メタボリックシンドロームや過度の飲酒など、脂肪肝の原因をコントロールするか取り除くことに重... さらに読む や メタボリックシンドローム メタボリックシンドローム メタボリックシンドロームは、腹部脂肪の過剰による大きいウエスト周囲長、高血圧、インスリンの作用への反応低下(インスリン抵抗性)または糖尿病、血液中のコレステロールなどの脂肪の異常な値(脂質異常症)を特徴とします。 腹部脂肪の過剰は 高血圧、 冠動脈疾患、 2型糖尿病のリスクを高めます。 メタボリックシンドロームの診断には、医師はウエスト周囲長、血圧、空腹時血糖値、脂肪(脂質)値を測定します。... さらに読む など、長期の炎症を引き起こす疾患は、ヘモジデリン沈着症の原因となる可能性があります。
血管内で赤血球の過剰な破壊を引き起こす病気(溶血性貧血 再生不良性貧血 再生不良性貧血は、成熟した血液の細胞へと成長する骨髄の細胞が傷つき、赤血球や白血球、血小板の数が少なくなる病気です。 成熟した血球や血小板になる骨髄細胞(幹細胞)が損傷を受けたり、抑制されたりすると、骨髄が機能不全に陥ることがあります。この骨髄不全のことを再生不良性貧血といいます。骨髄不全になると、赤血球の減少(貧血― 貧血の概要も参照)、白血球の減少( 白血球減少症)、血小板の減少(... さらに読む など)では、赤血球から放出された鉄が腎臓内に蓄積することがあります(腎ヘモジデローシス)。腎ヘモジデローシスはほとんどの場合、腎障害を引き起こすことはありません。
ヘモジデリン沈着症は、過剰な鉄の吸収によって起こることもありますが、その場合は ヘモクロマトーシス ヘモクロマトーシス ヘモクロマトーシスは、鉄が過剰に吸収される遺伝性疾患で、体内に鉄が蓄積され、臓器に損傷を与えます。 米国には、100万人以上のヘモクロマトーシス患者がいます。男性の方が女性より多く罹患します。致死的となることもありますが、たいていは治療可能です。( 鉄過剰症の概要も参照のこと。) 鉄は摂取する食事から吸収されます。ほとんどの鉄は赤血球に収容されます。 この疾患では鉄が体のあらゆる場所に蓄積して損傷を与えます。... さらに読む と呼ばれます。ヘモクロマトーシスではより多くの場合で治療が必要です。