自己免疫疾患 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がし... さらに読む とは、体内で作られた抗体や細胞によって自身の組織が攻撃される病気です。多くの自己免疫疾患では、様々な臓器と結合組織が影響を受けます。結合組織とは、関節、腱、靱帯(じんたい)、血管などの構造を補強している組織です。
結合組織の自己免疫疾患には次のようなものがあります。
結合組織に影響を及ぼすその他の自己免疫疾患の例として、 関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチは炎症性関節炎の1つで、関節(普通は手足の関節を含む)が炎症を起こし、その結果、関節に腫れと痛みが生じ、しばしば関節が破壊されます。 免疫の働きによって、関節と結合組織に損傷が生じます。 関節(典型的には腕や脚の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらく動かずにいた後に、60分以上持続するこわばりがみられます。... さらに読む と 脊椎関節炎 脊椎関節炎の概要 脊椎関節炎(脊椎関節症とも呼ばれます)とは、顕著な関節の炎症を起こし、脊椎と他の関節を侵し、共通するその他の特徴をもっている疾患のグループを指して使われる言葉です。例えば、背中の痛み、眼の炎症( ぶどう膜炎)、消化器症状、発疹を引き起こすことがあります。なかには、 さらに読む があります。
自己免疫疾患は結合組織以外の組織に影響を及ぼすことがあり、結合組織の自己免疫疾患がある一部の患者は、 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎は、甲状腺に慢性的な自己免疫性の炎症が生じる病気です。 橋本甲状腺炎は、体内の抗体が自身の甲状腺の細胞を攻撃すること(自己免疫反応)で発生します。 最初、甲状腺は正常に機能していることもあれば、活動が不十分なこともあり(甲状腺機能低下症)、まれですが活動が過剰になっていること(甲状腺機能亢進症)もあります。... さらに読む (自己免疫性甲状腺疾患で、甲状腺の過剰な活動や活動低下につながります)など、他の種類の自己免疫疾患にかかっていることがあります。
症状
自己免疫疾患では、関節の内部や周辺ばかりでなく、腎臓や消化管など非常に重要な臓器組織においても、炎症や免疫反応が起こる結果、結合組織の損傷が起こることがあります。心膜(心臓の外側を覆っている膜)や胸膜(肺を覆っている膜)、さらには脳までも侵される可能性があります。症状の種類と重さは、侵された臓器によって異なります。
結合組織の自己免疫疾患のほとんどは動脈内のコレステロール沈着(プラーク)が発生するリスクを高め、結果として動脈が硬くなります(動脈硬化 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む )。
診断
医師による評価
臨床検査
ときとして確立された基準
結合組織の自己免疫疾患(自己免疫リウマチ疾患または膠原病とも呼ばれます)は、特有の症状のパターン、身体診察での所見、および臨床検査(血液検査や生検など)の結果に基づいて診断されます。このような病気の中には、確立された基準に基づいて診断できるものもあります。
ある病気の症状と別の病気の症状が重複しすぎているために、区別できない場合もあります。このような場合には、分類不能の結合組織病や、重複疾患と呼ばれることがあります。
治療
コルチコステロイドやその他の免疫抑制薬
結合組織の自己免疫疾患の多くは、コルチコステロイド、その他の免疫抑制薬(免疫系の働きを抑える薬)、またはその両方を用いて治療を行います。
コルチコステロイド(プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]など)を服用している患者では、 骨粗しょう症 骨粗しょう症 骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病態です。 加齢、エストロゲンの不足、ビタミンDやカルシウムの摂取不足、およびある種の病気によって、骨密度や骨の強度を維持する成分の量が減少することがあります。 骨粗しょう症による症状は、骨折が起こるまで現れないことがあります。... さらに読む に伴う骨折リスクが高くなります。そうした患者には、骨粗しょう症を予防するため、ビスホスホネート系薬剤、デノスマブ、テリパラチド、ビタミンDやカルシウムのサプリメントなど、骨粗しょう症の治療に用いられる薬が投与されることがあります。
コルチコステロイドやその他の薬、自己免疫疾患そのものによって免疫系が抑制されている患者には、真菌のニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)などによる感染症を予防する薬がしばしば投与されます(易感染状態にある人の肺炎の予防 予防 肺炎は肺の感染症です。免疫機能が低下している人または免疫系に異常がある人(例えば、後天性免疫不全症候群[エイズ]、がん、臓器移植、特定の薬剤の使用による)では、しばしば、健康な人とは異なる原因微生物によって肺炎が引き起こされます。 免疫機能が低下していると、健康な人にはほとんど病気を引き起こすことのない微生物が原因で肺炎が発生することがあ... さらに読む を参照)。 インフルエンザワクチン インフルエンザワクチン インフルエンザウイルスワクチンは インフルエンザの予防に役立ちます。米国では、A型とB型の2種類のインフルエンザウイルスが定期的にインフルエンザの季節的流行を引き起こしています。どちらの種類にも、多くのウイルス株が存在します。インフルエンザの大流行を引き起こすウイルス株は毎年変わります。このため、毎年新しいワクチンが必要になります。それぞ... さらに読む や、 肺炎球菌ワクチン 肺炎球菌ワクチン 肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌 Streptococcus pneumoniae(肺炎双球菌)によって引き起こされる細菌感染症の予防に役立ちます。 肺炎球菌感染症としては、 耳の感染症、 副鼻腔炎、 肺炎、 血流感染症、 髄膜炎などがあります。 詳細については、CDCによる肺炎球菌結合型(PCV13)ワクチン説明書(Pneum... さらに読む 、 COVID-19 COVID-19ワクチン 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは、COVID-19に対する予防効果をもたらします。 COVID-19は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染によって引き起こされる病気です。現在、COVID-19に対する複数のワクチンが世界中で使用されています(COVID-19ワクチンの最新動向[COVID-19... さらに読む ワクチンなどの推奨される予防接種を受けることも重要です。
重複疾患がある患者では、医師は症状と臓器の機能障害が生じるとすぐに治療します。
結合組織の自己免疫疾患がある患者の多くがその病気による炎症を軽減するために食事の変更を試していますが、「抗炎症効果」のある食事によって自己免疫疾患の経過が変わるということを示す説得力のある科学的データは現時点ではありません。