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肘部管症候群

(尺骨神経障害)

執筆者:

David R. Steinberg

, MD, Perelman School of Medicine at the University of Pennsylvania

レビュー/改訂 2022年 4月
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本ページのリソース

肘部管(ちゅうぶかん)症候群は、尺骨神経が肘の位置で圧迫される(締めつけられる)ことによって起こる病気です。

  • 肘を繰り返し使うことによって肘部管症候群が生じることがあります。

  • 症状には、薬指と小指のしびれや針で刺したようなチクチクする感じ、肘の痛みなどがあります。

  • 診断は、診察と、必要な場合は神経機能検査の結果に基づいて下されます。

  • 治療としては、理学療法や副子固定などがあり、手術を行うこともあります。

肘部管が管と呼ばれるのは、狭い通路になっていて、尺骨神経が肘の周囲でそこを通り、手首や手へと向かっているためです。尺骨神経は、小指、薬指と、手の側面に感覚を与えています。尺骨神経は、肘の皮膚表面近く(尺骨の突起部)を通っているため、繰り返し肘をついてもたれたり、長時間肘を曲げたままでいたり、ときには、その部位に異常な骨の増殖があったりすると、簡単に損傷を受けます。

肘部管症候群の症状

肘部管症候群の症状には、薬指と小指のしびれや針で刺したようなチクチクする感じ、肘の痛みなどがあります。最終的に、手の筋力低下、特に、薬指と小指の筋力低下が起こることがあります。手の小さな筋肉の大部分を尺骨神経がコントロールしているため、筋力が低下すると、親指と人差し指でものをつまむ能力と、手で握る能力が損なわれることがあります。

重度で慢性の肘部管症候群は、筋肉の萎縮や、手がかぎ爪のようになる変形を引き起こすことがあります。

肘部管症候群の診断

  • 医師の診察

  • ときに神経伝導検査

  • ときに画像検査

多くの場合、医師は診察結果に基づいて肘部管症候群の診断を下します。しかし、神経が損傷している位置を正確に割り出すために、 神経伝導検査 神経伝導検査 病歴聴取と 神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。 脳波検査は、脳の電気的な活動を波形として計測して、紙に印刷したりコンピュータに記録したりする検査法で、痛みを伴わずに容易に行えます。脳波検査は以下の特定に役立つ可能性があります。 けいれん性疾患 睡眠障害 一部の代謝性疾患や脳の構造的異常 さらに読む 神経伝導検査 や特別な画像検査(MRI検査 CT検査とMRI検査 筋骨格系の病気は、病歴と 診察の結果に基づいて診断されることがよくあります。医師が診断を下したり確定したりするのを助けるために、 臨床検査や 画像検査、 その他の診断方法が必要になることがあります。 筋骨格系の病気の診断には、臨床検査がしばしば役立ちます。例えば、赤血球沈降速度(赤沈)は、血液が入った試験管の中で赤血球が底に沈んでいく速さを測定する検査です。炎症が起きていると、通常は赤沈の値が上昇します。しかし、炎症は非常に多くの病態で... さらに読む CT検査とMRI検査 や超音波検査など)が必要になることがあります(特に手術を考慮している場合)。

肘部管症候群の治療

  • 副子と理学療法

  • ときに手術

軽い肘部管症候群の場合は、理学療法や夜間に肘が過度に曲がるのを防ぐために副子で固定するなどを行って、肘が圧迫されないようにします。日中に肘にパッドを装着するのも役立ちます。

副子による固定で効果が出ない人や、神経への圧迫が重度である人の大半では、手術が有益で、通常、この手術では尺骨神経にかかる圧迫を取り除きます。

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