人間による咬み傷 人間による咬み傷 人間の歯はそれほど鋭くないため、人間による咬み傷の多くは、あざや浅い裂け目( 裂傷)程度です。例外は耳や鼻、陰茎などの突き出た部分を咬まれた場合で、切断されることがあります。 けんかで咬まれた場合や、誰かを殴ったときに握りこぶしが相手の歯に当たって傷が生じた場合は、 感染が起こる可能性が高くなります。握りこぶしの裂傷は、指のつけ根を通る指の腱に及ぶこともあります。 かんだ人から... さらに読む に関連する手の感染症で最もよくみられるのは、誰かの口を殴ったときにできた拳のけがによるものです(英語ではclenched fist injuryやfight biteと呼ばれます)。 動物に咬まれる 動物による咬み傷 米国における動物による咬み傷の大半はイヌとネコによるものです。傷口はできるだけ早急に洗浄し治療する必要があります。( 咬み傷と刺し傷に関する序も参照のこと。) どんな動物も咬むことはありますが、米国における咬み傷の原因のほとんどはイヌと、イヌよりはかなり少ないですがネコによるものです。家庭用のペットとして一般化しているため、自分の飼い主やなわばりを守ろうとして起きるイヌによる事故が、動物による咬み傷の大部分を占めています。米国では、毎年... さらに読む ケースも手の感染症の原因としてよくみられます。人間や動物に咬まれた結果、数種類の細菌によって傷口が汚染されることがあります。どのような咬み傷でも、潜在的には危険があり、重い感染症や重篤な合併症(腱の感染症や 感染性関節炎 感染性関節炎 感染性関節炎は、関節液や関節組織の感染症で、通常は細菌感染が原因ですが、ウイルスや真菌の感染によって起こることもあります。 細菌、ウイルス、真菌は、血流を介して、または近くの感染部位から関節に入り、感染症を引き起こすことがあります。 通常は、数時間ないし数日以内に痛みや腫れ、発熱が生じます。 関節液を針で吸引して検査します。 抗菌薬の投与を直ちに開始します。 さらに読む など)を引き起こす可能性があります。
咬み傷が感染していると、痛み、腫れ、発赤、圧痛が起こります。
(手の病気の概要 手の病気の概要 手や指の病気には、 ガングリオン、 変形、 神経や血管に関連する病気、 変形性関節症、 ばね指、 キーンベック病、感染症などがあります。 手や指に影響する他の病気の例としては、 骨折、その他のけが、 関節リウマチ、 腱炎と腱鞘炎、 ドケルバン症候群、 レイノー症候群、 ばち状指、... さらに読む も参照のこと。)
咬み傷による手の感染症の診断
医師の診察
X線検査
培養検査
医師は診察で観察した感染の起きた咬み傷を根拠に診断を下しますが、感染の発生や悪化の原因になる骨折、歯、異物を見つけるため、しばしば X線検査 X線検査 筋骨格系の病気は、病歴と 診察の結果に基づいて診断されることがよくあります。医師が診断を下したり確定したりするのを助けるために、 臨床検査や 画像検査、 その他の診断方法が必要になることがあります。 筋骨格系の病気の診断には、臨床検査がしばしば役立ちます。例えば、赤血球沈降速度(赤沈)は、血液が入った試験管の中で赤血球が底に沈んでいく速さを測定する検査です。炎症が起きていると、通常は赤沈の値が上昇します。しかし、炎症は非常に多くの病態で... さらに読む を行います。
感染症を引き起こしている細菌の種類を特定するために、傷の内部を綿棒でぬぐうか、傷から膿のサンプルを採取して、検査室で細菌の増殖(培養検査 微生物の培養検査 感染症は、 細菌、 ウイルス、 真菌、 寄生虫などの微生物によって引き起こされます。 医師は、患者の症状や身体診察の結果、危険因子に基づいて感染症を疑います。まず、患者がかかっている病気が感染症であり、他の種類の病気ではないことを確認します。例えば、せきが出て、呼吸が苦しいと訴える人は、肺炎(肺の感染症)の可能性があります。また、喘息や心... さらに読む )を試みます。
咬み傷による手の感染症の治療
傷の徹底的な洗浄
抗菌薬
傷を受けた部分は徹底的に洗浄するべきです。通常、医師は外科的な手技を用いて、確実に傷の全体をきれいにします。その後、通常は傷口を開いたままにして排液させます。感染症が重度ではなく傷が深くない場合は、感染が広がるのを予防するために抗菌薬が経口投与されます。医師が関節の感染症(感染性関節炎 治療 感染性関節炎は、関節液や関節組織の感染症で、通常は細菌感染が原因ですが、ウイルスや真菌の感染によって起こることもあります。 細菌、ウイルス、真菌は、血流を介して、または近くの感染部位から関節に入り、感染症を引き起こすことがあります。 通常は、数時間ないし数日以内に痛みや腫れ、発熱が生じます。 関節液を針で吸引して検査します。 抗菌薬の投与を直ちに開始します。 さらに読む )を疑う場合、関節の永久的な破壊を予防するために抗菌薬が静脈内投与されます。どの抗菌薬が効果的なのかは、患者が生活する地域でよくみられる細菌によって決まります。感染症が重い場合は、患者を入院させて抗菌薬を静脈内投与します。
患者は、傷を清潔に保ち腫れを最小限に抑えるために、包帯をつけてできるだけ手を上げ、理想としては頭より高く上げます。できるだけ日常生活に困らない位置で副子をつけて手が動かないように保ち、治癒を促すこともあります。
手の副子
手の副子は、傷が治癒する間、日常生活に困らないような位置で、手が動かないよう固定するために役立ちます。 |