先天性嚢胞性異形成腎は片側または両側の腎臓に影響を及ぼします。先天性嚢胞性異形成腎は、単独の先天異常として発生する場合もあれば、ある症候群の一部として他の異常とともに生じる場合もあります。尿管や膀胱、まれに尿道、精巣、腹壁筋など、尿路の他の部分にも異常が生じる場合があります。(図「 尿路の構造 尿路の構造 」を参照のこと。)
腎組織の損傷が大きければ、 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が、数カ月から数年かけて徐々に低下します。 主な原因は糖尿病と高血圧です。 血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。 症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、食欲不振、錯乱、呼吸困難、体のむくみ(主に脚)などがあります。 診断は血液検査と尿検査によって下されます。 さらに読む になり、ときに症状が現れ、しばしば発育が遅れます。先天性嚢胞性異形成腎は、出生前の定期的な 超音波検査 超音波検査 超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を用いて内臓などの組織の画像を描出する検査です。プローブと呼ばれる装置で電流を音波に変換し、この音波を体の組織に向けて発信すると、音波は体内の構造で跳ね返ってプローブに戻ります。これは再度、電気信号に変換されます。コンピュータが、この電気信号のパターンをさらに画像に変換してモニター上に表示するとともに、コンピュータ上のデジタル画像として記録します。X線は使用しないため、超音波検査で放射線にさらされ... さらに読む や、幼少期に腎臓と関係のない理由で行われた超音波検査で見つかるのが一般的です。
影響を受けず正常に機能する腎組織がどの程度あるのか判断が難しいため、予後(経過の見通し)を予測することは極めて困難です。
治療としては、必要に応じて、合併している尿路の異常を修復する手術を行います。慢性腎臓病が末期腎不全(ESRD、末期腎臓病)に進行した場合は、 透析 透析 透析とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置のことで、腎臓が十分な機能を果たさなくなったときに必要になります。 透析が必要になる理由はいくつかありますが、最も多いのは、腎臓が血液から老廃物を十分にろ過できなくなること(腎不全)です。腎臓の機能は急速に低下することもあれば(... さらに読む または 腎移植 腎移植 腎移植とは、生きている人または死亡した直後の人から健康な腎臓を摘出し、末期腎不全の患者に移植することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 不可逆的 腎不全(腎臓が機能せず、治療しても治らない)の患者にとって、年齢にかかわらず腎移植は透析に代わる救命法です。腎移植は最も多く行われている臓器移植です。 腎移植は以下の病気がある場合に必要になります。 進行した不可逆的腎不全 さらに読む が必要になることがあります。
さらなる情報
役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
米国腎臓基金(American Kidney Fund[AKF]):腎疾患および腎移植、ならびに医療費の管理を支援するためのニーズに応じた経済的支援に関する情報
米国国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases[NIDDK]):研究成果、統計、地域の健康促進プログラムやアウトリーチプログラムなど、腎疾患に関する一般的な情報
全米腎臓財団(National Kidney Foundation[NKF] ):腎機能の基礎から腎疾患患者の治療や支援へのアクセスまでのあらゆる事項に関する情報