胃は、豆のような形をした、筋肉でできた大きな中空の臓器で、以下の4つの部分で構成されます。
噴門部(ふんもんぶ)
底部
体部
前庭部
(消化器系の概要 消化器系の概要 消化器系は口から肛門まで続く器官で、食物を摂取する、摂取した食物を栄養素に分解する(消化)、栄養素を血液中に吸収する、消化しにくい残りの部分を体から排泄するという働きをしています。消化器は以下の部分から構成されています。 口 のどと食道 胃 小腸 さらに読む も参照のこと。)
食道を通ってきた飲食物は、下部食道括約筋を通過して胃に入ります。
胃の上部は食べものを一時的に収容する場所として働きます。ここでは、噴門部と底部が弛緩(しかん)して、入ってきた食べものを収容します。その後、体部と前底部(胃の下部)がリズミカルに収縮して、食べものを消化しやすいように胃酸や酵素(胃液)と混合したり小さく粉砕したりします。
胃の内面を覆っている細胞は、粘液、塩酸、ペプシン(タンパク質を分解する酵素)の前駆体という3つの重要な物質を分泌します。粘液は、胃の粘膜を覆って、胃酸や酵素による損傷から保護しています。この粘液の層が ヘリコバクター・ピロリ ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染症 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)(ピロリ菌[H. pylori])感染症は、胃の炎症( 胃炎)、 消化性潰瘍(かいよう)、ある種の 胃がんを引き起こす細菌感染症です。 この感染症は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)(ピロリ菌[H. pylori])という種類の細菌によって引き起こされます。... さらに読む という細菌の感染やアスピリンやその他のステロイド系抗炎症薬(NSAID)の服用などの影響で破壊されると、胃に損傷が起きて 胃潰瘍 消化性潰瘍 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む の原因になる可能性があります。
胃の位置
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塩酸は、ペプシンがタンパク質を分解するのに必要になる強い酸性の環境をつくります。胃の中が強い酸性であることは、大半の細菌を殺すことで、感染を防ぐ役割も果たしています。胃酸の分泌は、胃に送られる神経信号や、ガストリン(胃から放出されるホルモン)、ヒスタミン(胃から放出される化学物質)に刺激されて起こります。ペプシンは、タンパク質の一種で肉の主な成分であるコラーゲンを消化する、唯一の酵素です。
胃から血液中に直接吸収される物質は、アルコールやアスピリンなど数種類しかなく、その吸収量もわずかです。