受診の最大限の活用

執筆者:Michael R. Wasserman, MD, California Association of Long Term Care Medicine
レビュー/改訂 2021年 5月
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    受診の前に相談したい事柄を整理して準備をしておけば、医師や他の医療従事者との時間を最大限に生かすことができます。(医療の最大限の活用に関する序およびオンライン診療の利用も参照のこと。)事前に準備しておくと、医療専門家とのより効果的なコミュニケーションに役立ちます。情報や質問は、受診の前に書き出しておくとよいでしょう。

    初診

    かかりつけ医の初診時には、医師の選択に関する質問や、今までに尋ねたことがない質問をするとよいでしょう(コラム「自分に合っている医師か?」を参照)。以下の質問が特に役立つ可能性があります。

    • 夜間や週末に突然健康上の問題が生じた場合、どのように対処すればよいですか。

    • 検査結果はどうやって知ればよいですか(例えば、検査結果を尋ねる場合の電話連絡先や電子メールアドレス)。

    • 事前指示書(リビングウィルや医療判断代理委任状など)はなぜ必要なのですか。事前指示書を準備するにはどうしたらよいですか。

    事前指示書がすでにある場合は、医師の診療記録用にコピーを渡すか、原本を持参してコピーをとってもらいます。市販薬、薬用ハーブ、ビタミン剤など、服用中の薬があれば、それらすべてを診察時に持参しましょう。

    初診時に医師は、過去や現在の健康状態、近親者の健康状態、治療、検査、生活習慣といったことを尋ねます。また医師が尋ねなくても、以下のような情報を医師が把握しているか確認するべきでしょう。

    • 過去の入院、在宅医療サービスの使用、専門医や他の医療従事者(代替医療も含む)による治療に関する情報、およびその医療従事者らの氏名や施設名、住所、電話番号

    • すでに予定されている診断検査や治療についての情報

    • 運動習慣、睡眠習慣、食事(カフェインの摂取など)、性行為、喫煙、医療従事者の処方ではない薬物(アルコール、市販薬、ビタミン剤、サプリメント、薬用ハーブなど)

    • 以前に診断されたかまたは疑われたことのある薬物アレルギーまたは薬物に対する不耐性

    • 個人的、文化的、スピリチュアルな背景など、医療の判断に影響を及ぼす可能性のあること

    • 使用している薬局(電子処方せんが利用できるように)

    こうした情報を伝えることは、ケアの質を改善することに役立ち、医療専門家の交代を円滑にします。例えば、かかりつけ医には、受診したことのある他の医療従事者や施設の連絡先を伝え、情報開示の同意を書面にして渡すとよいでしょう。そうすることで、関係する医療専門家が互いにコミュニケーションをとりやすくなります。また、かかりつけ医が診療記録などの情報のコピーを入手することにも役立ちます。

    再診

    患者は受診のたびに、自分が受けている医療に関する情報をもれなく医師に把握してもらうためのリストを作成するのがよいでしょう。そのリストには以下のような内容を含めます。

    • 健康に関連した質問

    • メンタルヘルスの問題も含めた症状や医学的な問題

    • 薬を服用したときに起きた最近の副作用

    • 別の医療従事者に勧められた診断検査や新しい治療

    • 処方通りに薬を服用していない場合は、その理由(例えば「薬を飲むと腹痛が起きる」「金銭的に薬を買うことができない」など)

    • 主要なライフイベント(退職、婚姻関係の変化、家族の死、引越など)を含めた、個人的情報の変化

    リストは事前に書き留めておきましょう。時間の限られた診察では、言おうとしていたことを簡単に忘れてしまったり、別のことに気を取られたりしてしまう可能性があります。またリストには優先順位もつけておき、最も重要な項目は1番目に記載します。症状は、過小や誇張のないよう注意しながら、できるだけ正確に細かく説明します。受診の前に、その病気にかかったことがある人や勧められた診断検査や治療を受けたことのある人について書かれたものを読んだり、そうした人と話をすると、より具体的で有益な質問ができるかもしれません。

    医師やスタッフに記入してもらわなければならない書類(保険、学校、就職関係の書式など)があれば持参しましょう。有効な保険証や必要な紹介状も持参し、診療費の支払い手段も確保しておきましょう。

    診療の予約時間の10~15分前に着くようにすれば(初診時は特に)、スタッフが余裕をもって保険証を確認し、必要な書類への記入をすませることができます。毎回の受診前または受診時に、オンラインまたは対面で最新の健康状態を記入するように医師から指示を受ける場合もあります。これによって、受診時に話し合うべき事柄の道筋をつけることができます。

    受診のときには、医師の言うことを注意深く聞き、デリケートな問題(膀胱のコントロールや性行為など)でも、できるだけ正直に隠さず答えることが肝心です。治療や侵襲的な診断検査の検討時には、以下の内容を確認しましょう。

    • その治療はどのくらい効果があるか。その診断検査はどのくらい正確か。

    • 検査結果によって、治療がどのように変わるか。

    • 副作用の可能性はどのくらいか。

    • 他の選択肢はあるか。

    • その治療の具体的な目標は何か。

    • 治療中はどんな点に注意して経過をみていけばよいのか。

    • 治療や検査に関する他の質問。

    分からないことがあれば説明してもらい、もしあれば指導書や資料が閲覧できるウェブサイトのリンクを教えてもらいましょう。医師に指導内容を書き出してもらい、診察の最後にそのメモを患者が復唱するようにすれば、指導内容を理解したかどうかを確認できます。うまく伝わっていなければ、医師がその場で訂正します。診察中にメモをとることも役立つはずです。文面での指導を受けられない場合や、視覚や発話、聴覚に問題がある場合は、他の方法で情報を把握します。例えば、指導を音声ファイルに録音したり、必要に応じて家族や友人に指導書を読んでもらったりします。薬を買いに薬局へ行くときも、同じ方法が使えます。

    帰る前に、質問や症状のリストをチェックしながら、十分でない点は何でも医師に質問しましょう。多くの質問が残った場合、医師は次の予約を入れるか、看護師、薬剤師、栄養士といった他の医療従事者への紹介状を書き、さらなる情報提供と指導を行います。

    診察後、勧められたフォローアップの予約日をすべてスケジュールに入れておきます。処方せんは必ず調剤してもらい、医師や薬剤師から渡された診察の要点をまとめた印刷物などの資料をしっかり読みましょう。

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