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骨盤内うっ血症候群

執筆者:

JoAnn V. Pinkerton

, MD, University of Virginia Health System

レビュー/改訂 2020年 12月
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骨盤内うっ血症候群は卵巣内やその近傍に静脈瘤がある女性に発生する,立位時や性交時に悪化する慢性疼痛である。

骨盤内うっ血症候群は慢性骨盤痛の一般的な原因である。静脈瘤および静脈不全は卵巣静脈でよくみられるが,しばしば無症候性である。なぜ一部の女性で症状が発生するのかは不明である。骨盤内うっ血症候群の女性の多くは20~45歳で,多胎妊娠歴がある。

症状と徴候

骨盤内うっ血症候群の女性では,妊娠後に骨盤痛が生じる。痛みはその後の妊娠のたびに悪化する傾向がある。

殿部,大腿部および腟に静脈瘤がある女性もいる。

一部の女性では,ときに透明な水様性帯下を認める。

他の症状として疲労,気分変動,頭痛,および腹部膨満が生じることがある。

内診では卵巣の圧痛や頸部移動痛を認める。

症状と徴候に関する参考文献

  • 1.Perry CP: Current concepts of pelvic congestion and chronic pelvic pain.JSLS (2):105–110, 2001.

診断

  • 臨床基準

  • 画像検査時に検出された卵巣静脈瘤

骨盤内うっ血症候群の診断には,痛みが6カ月以上存在することと,診察時の卵巣圧痛が必要である。

超音波検査が行われるが,臥位では静脈瘤が描出されないことがある。

骨盤内静脈瘤を確定するために必要であれば追加の検査(例,静脈造影,CT,MRI,磁気共鳴静脈造影)を推奨する専門家もいる。特定の静脈に選択的にカテーテルを挿入し造影剤を注入すること(静脈造影)により骨盤内静脈瘤を確定する場合もある。

骨盤痛が高度で,かつ原因が同定されない場合は,腹腔鏡検査を行う。

治療

  • 酢酸メドロキシプロゲステロン,非ステロイド系抗炎症薬(NSAID),およびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト

骨盤内うっ血症候群の治療には,高用量の酢酸メドロキシプロゲステロン,NSAID,およびGnRHアゴニストなどがある。これらの薬剤が無効で痛みが重度で持続する場合には,塞栓術や硬化療法を考慮することがある。

静脈造影の際に検出された静脈瘤を,局所麻酔および静注による鎮静を施した後,小さなコイルまたは塞栓物質を用いて塞栓する場合がある。この処置により鎮痛薬の必要性が最大80%低下する。

要点

  • 卵巣静脈瘤はよくみられる;なぜ静脈瘤のある女性の一部だけに骨盤内うっ血症候群が発生するのかは不明である。

  • 通常痛みは片側性で,立位時や性交時に悪化する;その他の症状には,腰痛,下肢の痛み,およびときに異常な月経出血がある。

  • 酢酸メドロキシプロゲステロン,NSAID,またはGnRHアゴニストで治療を試みる。

  • 痛みが持続し,重度の場合には,塞栓術や硬化療法を考慮する。

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