多胎妊娠

執筆者:Julie S. Moldenhauer, MD, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2020年 1月
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多胎妊娠では子宮内に胎児が複数存在する。

多胎児(多胎)妊娠は,最大で分娩30件当たり1件発生する。

多胎妊娠の危険因子としては以下のものがある:

  • 排卵誘発(通常クロミフェンまたはゴナドトロピンによる)

  • 生殖補助医療(例,体外受精)

  • 多胎妊娠の既往

  • 母体高齢

  • 西アフリカ系

合併症

多胎妊娠により,以下のリスクが増大する:

過度に増大した子宮は切迫早産を促進することが多く,早産の原因となる。平均妊娠週数は以下の通りである:

  • 双胎:35~36週

  • 品胎:32週

  • 四胎:30週

胎位は異常となりうる。子宮が第1子の娩出後に収縮して胎盤が剥離し,残りの胎児のリスクを上昇させることがある。ときに子宮の増大により分娩後の子宮収縮が障害され,子宮弛緩症および母体出血につながる。

一部の合併症は,多胎妊娠のみで発生する。一例として,双胎間輸血症候群がある(双胎が同じ胎盤を共有している場合;この症候群では胎児間で血流の交通があるため,血液共有の不均衡がおこる)。

診断

  • 出生前超音波検査

多胎妊娠は子宮が妊娠週数に比して大きい場合に疑われる;出生前超音波検査において明らかとなる。

治療

  • 適応があれば帝王切開

適応があれば帝王切開を行う。先進する方の胎児が頭位である場合を除いて,双胎には帝王切開が推奨される。より数の多い多胎妊娠では典型的には胎位にかかわらず帝王切開が行われる。

要点

  • 多胎妊娠では,過度に増大した子宮が切迫早産を促進し,早産となる傾向がある。

  • 妊娠高血圧腎症および妊娠糖尿病などの他に起こりうる合併症の有無を確認し,早産,帝王切開,および分娩後出血に備える。

  • 子宮が妊娠期間に対して大きい場合,超音波検査を行う。

  • ほとんどの多胎妊娠では,先進する方の胎児が頭位である場合を除いて,分娩は帝王切開で行う。

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