一般的に,気分循環性障害は 双極II型障害 双極性障害 双極性障害は,躁病エピソードおよび 抑うつエピソードにより特徴づけられ,これらは交互に生じることもあるが,多くの患者はどちらか一方が優勢である。正確な原因は不明であるが,遺伝,脳内神経伝達物質の変化,および心理社会的因子が関与する可能性がある。診断は病歴に基づく。治療は気分安定薬の投与で構成され,ときに精神療法を併用する。 通常,双極性障害は10代,20代,または30代で発症する(... さらに読む の前駆症である。しかしながら,重大な気分障害には至らないまでも,極端な気分変動という形で生じることもある。
臨床的にまれにみられる病型の慢性軽躁病では,高揚期が優勢で,睡眠が常に6時間未満と短い。この病型の人は,常に過度に快活で,自信家で,精力的で,様々な計画にあふれ,浪費家で,何事にも首を突っ込み,おせっかいである;また絶え間ない衝動に突き動かされ,他人に馴々しい態度で振る舞うことがある。
一部の人では,気分循環型および慢性軽躁病型の気質は,ビジネスの成功,リーダーシップ,目的達成,および芸術的創造性に寄与するが,対人関係および社会的文脈において望ましくない深刻な帰結に至る場合の方が多い。しばしばみられる結果としては,仕事や学校の成績の変動,衝動的で頻繁な転居,失恋や結婚生活の破綻の繰り返し,ならびにアルコールおよび薬物の一時的な乱用などである。
気分循環性障害の診断は,病歴に基づいて臨床的に行う。
気分循環性障害の治療
支持療法
ときに気分安定薬
患者には自らの極端な気質傾向とどのように折り合って生きるかを指導すべきであるが,しばしば対人関係が波乱に満ちたものとなるため,気分循環性障害とともに生きることは容易ではない。時間に融通の利く仕事が勧められる。芸術的傾向を有する患者には,循環気質の過剰さおよび脆さが容認されやすい芸術の道を進むことを勧めるべきである。
気分安定薬(例, リチウム リチウム いずれの薬剤にも重大な有害作用があり,薬物相互作用がよくみられ,全ての患者に効果を示す薬剤はないことから,薬剤の選択が困難となる場合がある。各患者で以前に効果的かつ忍容性良好であった薬剤に基づいて選択すべきである。治療歴がない(または不明の)場合は,患者の病歴(特定の気分安定薬の有害作用に注目する)と症状の重症度に基づいて選択する。 患者の当面の安全と管理が損なわれる重度の躁病性精神病に対しては,通常,緊急の行動コントロールとして鎮静作... さらに読む ,特定の 抗てんかん薬 抗てんかん薬 いずれの薬剤にも重大な有害作用があり,薬物相互作用がよくみられ,全ての患者に効果を示す薬剤はないことから,薬剤の選択が困難となる場合がある。各患者で以前に効果的かつ忍容性良好であった薬剤に基づいて選択すべきである。治療歴がない(または不明の)場合は,患者の病歴(特定の気分安定薬の有害作用に注目する)と症状の重症度に基づいて選択する。 患者の当面の安全と管理が損なわれる重度の躁病性精神病に対しては,通常,緊急の行動コントロールとして鎮静作... さらに読む ,特にバルプロ酸,カルバマゼピン,およびラモトリギン)の使用に関する決定は,機能障害と社会的利益または患者が経験するかもしれない創造性のほとばしりとのバランスにより判断する。ジバルプロエクス(divalproex)500~1000mg,経口,1日1回は,しばしば等価用量のリチウムよりも良好な忍容性を示す。
抗うつ薬の使用は,躁転および急速交代のリスクがあるため,抑うつ症状が重度で,かつ長く続く場合を除いて,避けるべきである。
支援団体は,患者が共通する経験や感情を共有するための懇談会を開催することにより,患者を支援することができる。