腰椎穿刺後およびその他の低髄液圧性頭痛

執筆者:Stephen D. Silberstein, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2020年 4月
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腰椎穿刺または自発性あるいは外傷性髄液漏により髄液の量および圧が減少することで,低髄液圧性頭痛が引き起こされる場合がある。

頭痛患者へのアプローチも参照のこと。)

腰椎穿刺による髄液の採取は,特発性または外傷性髄液漏の場合と同じく髄液の量および圧の減少をもたらす。

腰椎穿刺後の頭痛は一般的で,通常は数時間から1~2日後に起き,重度となりうる。体格が小さい若年の患者で最もリスクが高い。細いnoncutting針を使用することでリスクが低下する。髄液の採取量および腰椎穿刺後の臥床時間は発生率に影響しない。

自発性の髄液漏は,脊髄神経根部のくも膜憩室(嚢胞)が破裂した際に起こりうる。破裂は咳嗽またはくしゃみにより起こりうる。髄液漏は特定の頭部または顔面外傷(例,頭蓋底骨折)後にも起こりうる。

座位や立位で頭部の位置が高くなることにより,痛覚感受性のある脳底部の髄膜が伸展し,頭痛が生じる。体位によって変化する強度の頭痛で,しばしば頸部痛,髄膜症,および嘔吐を伴う。完全な臥位でのみ頭痛が軽快する。

診断

  • 臨床的評価

腰椎穿刺後の頭痛は臨床的に明らかであり,検査が必要になることはまれである;その他の低髄液圧性頭痛では脳画像検査が必要となりうる。ガドリニウム造影MRIでは,しばしば硬膜がびまん性に増強され,重症例では脳の下方への偏位が観察される。

少しの間でも患者が立位や座位でいた場合は,髄液圧は典型的には低下,または測定不能となる。

治療

  • 水分補給およびカフェイン

  • 通常,硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)

腰椎穿刺後頭痛に対する第1選択の治療は以下のものである:

  • 横臥

  • 水分補給

  • 弾性腹帯

  • カフェイン

  • 必要に応じて鎮痛薬

しかしながら,こうした治療から1日経過しても腰椎穿刺後頭痛が持続するようであれば,通常は硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ:腰椎硬膜外腔に患者の静脈血を数mL注入する方法)が効果的である。ブラッドパッチは自発性または外傷性髄液漏にも効果的なことがあり,これらの状況で外科的閉鎖が必要になるのはまれである。ブラッドパッチは硬膜外腔の内圧を上昇させ,髄液漏の部位にかかわらず髄液漏の発生率を低下させると考えられている。正常な髄液産生量が漏出の量を超えれば,症状は消失する。

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