呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患

執筆者:Joyce Lee, MD, MAS, University of Colorado School of Medicine
レビュー/改訂 2019年 9月
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呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患(RBILD)は,喫煙者に発生する末梢気道の炎症および間質性肺疾患から成る症候群である。症状としては,咳嗽や運動中の息切れなどがある。診断には胸部X線,高分解能CTのほか,ときに肺生検が必要である。治療は禁煙である。

呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患は特発性間質性肺炎の1つの型である。

喫煙者の多くは,軽度または中等度の末梢気道の炎症を特徴とする無症状の細気管支炎を発現する。ごく一部の患者では,臨床的意義のある間質性疾患を伴う,より重度の炎症が発現し,これをRBILDと呼ぶ。男女比は2:1である。

RBILDは組織学的に,膜性細気管支および呼吸細気管支の粘膜下炎症を特徴とし,細気管支および肺胞における,褐色に染まったマクロファージ(喫煙者でみられるような,鉄含有量の増加に起因する),粘液うっ滞,および立方上皮化生として現れる。肺胞中隔の瘢痕化が常に生じる。しかしながら,類似の所見は,一部の過敏反応,職業性肺曝露(通常鉱物塵埃による),ウイルス感染,および薬物反応でも生じることがある。

また,RBILDは組織学的に剥離性間質性肺炎と類似するが,RBILDにおける炎症はより斑状でより範囲が狭い。この類似性は,これら2つの疾患が喫煙によって生じる同一疾患の異なる臨床像であることを示唆している。

咳嗽および労作性息切れの症状は,他の間質性肺疾患,特に特発性肺線維症の症状に類似するが,より軽度である。診察時の断続性ラ音は,唯一の身体所見である。

診断

  • 胸部X線

  • 高分解能CT(HRCT)

  • ときに外科的肺生検

間質性肺疾患の評価が行われている患者では呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患を考慮する。診断検査には画像検査および生検などがある。

胸部X線所見としては以下のものがある:

  • びまん性の細かい網状または結節陰影

  • 気管支壁の肥厚

  • 著明な気管支血管束周囲間質

  • 規則的または不規則な小陰影

  • 末梢のリング状小陰影

HRCTでは,しばしば小葉中心性結節およびかすんだすりガラス濃度の斑状病変がみられる。

肺機能検査では閉塞性および拘束性の混合パターンがよくみられるが,結果が正常,または残気量の増加のみがみられることもある。ルーチンの臨床検査は役に立たない。

診断が依然として不明であり,禁煙を試みても症状が軽減しなかった場合,外科的肺生検が行われることがある。

治療

  • 禁煙

呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患の治療は禁煙および受動喫煙の回避であり,タバコへの曝露は改善を妨げ,再発をもたらす可能性がある。コルチコステロイドの効力を示すエビデンスは,症例報告によるものだけである。

臨床的な自然経過は不明であるが,予後は禁煙すれば良好である。

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