剥離性間質性肺炎は 特発性間質性肺炎 特発性間質性肺炎の概要 特発性間質性肺炎(IIP)は,類似した臨床的および画像的所見を共有する原因不明の 肺間質の疾患群であり,主に肺生検における病理組織パターンにより区別される。組織学的に8つのサブタイプに分類され,その全てが程度の異なる炎症および線維化を特徴とし,いずれも呼吸困難を引き起こす。診断は,病歴,身体診察,高分解能CT,肺機能検査,および肺生検に基づく。治療はサブタイプによって異なる。予後はサブタイプにより異なり,極めて良好なこともあるが,不良な... さらに読む の1つの型である。剥離性間質性肺炎の成人患者の大多数は喫煙者で,30代または40代に発症する傾向がある。
この疾患は均一に肺実質を侵す傾向がある。肺胞壁は膨張した立方形の肺胞上皮細胞で覆われている;肺胞中隔にリンパ球,形質細胞,およびときに好酸球の中等度浸潤がみられる。肺胞中隔の線維化は,存在するとしても軽度である。
最も顕著な特徴は,遠位気腔内に色素が沈着した多数のマクロファージを認めることであり,これはこの疾患の最初の報告時に剥離した肺胞上皮細胞と誤認された。蜂巣肺はまれである。同様の所見が,範囲はかなり狭いものの 呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患 呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患 呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患(RBILD)は,喫煙者に発生する末梢気道の炎症および間質性肺疾患から成る症候群である。症状としては,咳嗽や運動中の息切れなどがある。診断には胸部X線,高分解能CTのほか,ときに肺生検が必要である。治療は禁煙である。 呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患は 特発性間質性肺炎の1つの型である。 喫煙者の多くは,軽度または中等度の末梢気道の炎症を特徴とする無症状の細気管支炎を発現する。ごく一部の患者では,臨床的意... さらに読む (RBILD)においてもみられるため,剥離性間質性肺炎とRBILDは,喫煙によって生じる同じ疾患の異なる臨床像であると考えられる。
剥離性間質性肺炎の臨床像は,緩徐に悪化する呼吸困難および乾性咳嗽である。
剥離性間質性肺炎の診断
高分解能CT(HRCT)
ときに外科的肺生検
胸部X線で,両側肺底部に蜂巣肺を伴わないかすんだ陰影がみられることがあるが,剥離性間質性肺炎の最大20%の症例で胸部X線は正常である。HRCTでは,多病巣性またはびまん性の,肺底部の胸膜下すりガラス陰影がみられる。嚢胞が存在することもあり,しばしばすりガラス陰影のある領域にみられる。不規則な線状および網状陰影がよくみられるが,通常はこれが優勢な所見ではない。蜂巣肺がみえることもあり,少数の患者に生じるが,範囲は通常限られている。
外科的肺生検がときに必要となる。
剥離性間質性肺炎の治療
禁煙
ときにコルチコステロイドまたは細胞傷害性薬剤
禁煙 禁煙 ほとんどの喫煙者は禁煙したいと願い,それを試みているが,成功率は限られている。効果的な介入としては,禁煙カウンセリングとバレニクリン,ブプロピオン,ニコチン代替製品などの薬剤投与がある。 米国の喫煙者の約70%は,喫煙をやめることを望んでおり,少なくとも1回は禁煙を試みたことがあると言う。ニコチンの離脱症状は,禁煙の重大な障壁となりうる。 ( タバコおよび ベイピングも参照のこと。)... さらに読む は75%の剥離性間質性肺炎患者に臨床的改善をもたらすと推定される。改善しない患者はコルチコステロイドまたは細胞傷害性薬剤に反応することがある。
予後は良好であり,10年生存率は約70%である。