(ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群では,糸球体疾患が原因で尿タンパク排泄量が3g/日を超え,これに浮腫および低アルブミン血症が伴う。小児でより多くみられ,原発性および続発性いずれの原因もある。診断は随時尿検体の尿タンパク/クレアチニン比測定または24時間蓄尿での尿タンパクの測定により,原因は病歴,身体診察,血清学的検査,腎生検に基づき診断される。予後および治療は原因によって異なる。 ( 糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む も参照のこと。)
先天性および乳児ネフローゼ症候群は,一般的にまれな遺伝性の糸球体濾過の異常である。中心となる症状は,タンパク尿,浮腫,および低タンパク血症である。これらの疾患は,臨床像および病理組織像が十分に特異的でないため,遺伝子変異による診断が最適である。早期には,積極的な治療として,タンパク尿に対してアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬,および非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(例,インドメタシン);浮腫に対して利尿薬,静注アルブミン,および水分制限;ならびに抗菌薬,抗凝固療法,および栄養投与を用いることがある。腎摘出術,およびその後の 透析 血液透析 血液透析では,患者の血液をポンプで血液透析器に送り込むが,透析器は中空糸でできた細管の束またはサンドイッチ状に平行に挟んだ半透膜シートで構成される2つの液体コンパートメントを有する。いずれの構造においても,第1のコンパートメントの血液は半透膜の片側に沿ってポンプで送られ,膜を隔てた他方では電解質輸液(透析液)が別個のコンパートメントで血液とは反対方向にポンプで送られる。(その他の腎代替療法[RRT]については,... さらに読む または 腎移植 腎移植 腎移植は最もよく行われる実質臓器移植である。( 移植の概要も参照のこと。) 腎移植の主な適応は以下の通りである: 末期腎不全 絶対的禁忌としては以下のものがある: 移植片の生着を危うくしかねない併存症(例,重度の心疾患,悪性腫瘍),これらは徹底的なスクリーニングにより検出可能 さらに読む が,タンパク尿を止めるために必要になることがある。
びまん性メサンギウム硬化症
このネフローゼ症候群はまれである。遺伝形式は様々である。ホスホリパーゼCεをコードするPLCE1遺伝子の変異に起因する。2歳または3歳までに末期腎不全に進行する。
重度のタンパク尿がある患者では,重度の低アルブミン血症のために両側腎摘出術が必要になることがあり,栄養欠乏を改善して発育不良を軽減するため,早期に 透析 血液透析 血液透析では,患者の血液をポンプで血液透析器に送り込むが,透析器は中空糸でできた細管の束またはサンドイッチ状に平行に挟んだ半透膜シートで構成される2つの液体コンパートメントを有する。いずれの構造においても,第1のコンパートメントの血液は半透膜の片側に沿ってポンプで送られ,膜を隔てた他方では電解質輸液(透析液)が別個のコンパートメントで血液とは反対方向にポンプで送られる。(その他の腎代替療法[RRT]については,... さらに読む を開始すべきである。本疾患は通常,移植腎で再発する。
フィンランド型ネフローゼ症候群
本症候群は,フィンランドの新生児に1/8200の頻度で発生する常染色体劣性遺伝疾患であり,足細胞のスリット膜タンパク質(ネフリン)をコードするNPHS1遺伝子の突然変異に起因する。
フィンランド型ネフローゼ症候群は急速進行性であり,通常は1年以内に透析が必要となる。大部分の患児は1年以内に死亡するが,少数は腎不全が起こるまで栄養的にサポートされ,その後は 透析 腎代替療法の概要 腎代替療法(RRT)は, 腎不全患者において内分泌機能以外の腎機能を代替する治療法であり,ときに特定の中毒にも用いられる。RRTの方法としては, 持続的血液濾過および血液透析, 間欠的血液透析, 腹膜透析などがある。いずれの方法でも,透過膜を介した透析および濾過によって溶質を交換し,血液から水分を除去する。... さらに読む または 移植 腎移植 腎移植は最もよく行われる実質臓器移植である。( 移植の概要も参照のこと。) 腎移植の主な適応は以下の通りである: 末期腎不全 絶対的禁忌としては以下のものがある: 移植片の生着を危うくしかねない併存症(例,重度の心疾患,悪性腫瘍),これらは徹底的なスクリーニングにより検出可能 さらに読む によって管理される。しかしながら,本疾患は移植腎で再発する可能性がある。
その他の先天性ネフローゼ症候群
その他にも,いくつかのまれな先天性ネフローゼ症候群が,現在では遺伝学的に特徴づけられている。そのような疾患としては以下のものがある:
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(ポドシンをコードするNPHS2遺伝子の異常)
Denys-Drash症候群(WT1遺伝子の異常で,びまん性メサンギウム硬化症,男性の仮性半陰陽, ウィルムス腫瘍 ウィルムス腫瘍 ウィルムス腫瘍とは,腎芽,間質,上皮の各成分で構成される腎臓の胎児性がんである。遺伝子異常が発生機序に関与するとみられているが,家系内の遺伝は症例のわずか1~2%を占めるに過ぎない。診断は超音波検査,腹部CT,またはMRIにより行われる。治療には外科的切除,化学療法,放射線療法が含まれる。 ウィルムス腫瘍は通常5歳未満の小児にみられるが,ときにより年長の小児にも,まれに成人にも発生する。ウィルムス腫瘍は,15歳未満の... さらに読む を特徴とする)